血液ガスのパラメータに、ベース・エクセス(base excess:BE)があります。
定義
BEは、「体温37℃ , pCO2が40Torrにある血液をpH7.40に戻すために必要な塩基の量」を表します。
計算方法
BEは、つぎのSiggaard -Andersenの式を使って算出されます。
BE =(1−0.014×Hb)×{[HCO3―]−24+(9.5+1.63×Hb)×(pH-7.4)}
基準範囲
基準範囲は、0±2mEq/Lです。
意義
生体内で緩衝に関与しているのは、代謝性因子と呼吸性因子とがあります。
BEは、「PaCO2 が 40Torr のとき」という条件をつけることで、呼吸性因子の影響を除外しています。
つまり、BEは、呼吸性因子を一定と仮定することでその影響を除外し、血液のpHにかかわる代謝性因子のみを量的に表現します。
BEがマイナスの場合は塩基不足(代謝性アシドーシス)、プラスの場合は塩基過剰(代謝性アルカローシス)を意味します。
BEが実測値ではない理由
代謝性因子の指標は、HCO3のほかにも、血色素(ヘモグロビン)、血漿蛋白質(アルブミンなど)、リン酸塩などがあります。
しかし、血液ガスの測定装置では、全ての代謝性因子を直接測定できません。
そこで、赤血球による緩衝系(ヘモグロビン値:Hb)を加味して、代謝性因子の全体の変化量を計算で間接的に求め、BEとしています。
BEの解釈の注意点
上に述べたように、BEは呼吸性因子の影響を除外しています。
したがって、BEのみで酸塩基平衡の全体を評価することはできません。
参考:重炭酸イオンによるアシドーシスの補正
酸血症すなわちアシデミア (pH<7.35)で、かつBEがマイナスのときは、塩基が不足している代謝性アシドーシスといえます。
このとき、その分のアルカリを加えてpHを7.40に近付けて補正することができます。
通常は重炭酸ナトリウムを投与します。