今回は、仮想通貨交換業者の定義について解説します。
資金決済法の第二条第7項および8項、ならびに第六十三条の二に、定義に関する条文があります。
条文
第二条
7 この法律において「仮想通貨交換業」とは、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいい、「仮想通貨の交換等」とは、第一号及び第二号に掲げる行為をいう。
一 仮想通貨の売買又は他の仮想通貨との交換
二 前号に掲げる行為の媒介、取次ぎ又は代理
三 その行う前二号に掲げる行為に関して、利用者の金銭又は仮想通貨の管理をすること。
8 この法律において「仮想通貨交換業者」とは、第六十三条の二の登録を受けた者をいう。
第六十三条の二 仮想通貨交換業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行ってはならない。
この法律を見てもらうと、だいたいのことは分かりますが、一応まとめると、
仮想通貨交換業者とは内閣総理大臣の登録を受けて仮想通貨交換業を行う者です。
さらに、仮想通貨交換業とは、
「法定通貨」⇔「仮想通貨」、あるいは、「仮想通貨」⇔「仮想通貨」
の取引に関わることです。
関わり方は、
・交換(7項一号)
・媒介、取次ぎもしくは代理(7項二号)
・上記2つの行為に関して利用者の金銭や仮想通貨の管理をする(7項三号)
のいずれもが該当します。
用語としては、「交換」は仮想通貨の販売や買取のことで、「媒介」は板取引の提供と考えると、わかりやすいでしょう。
業として
最後に、条文のはじめのほうに戻りますが、「業として行うこと」の意味についても解説しておきます。
この「業として行うこと」という語は多義的ですが、金融庁からは、次のような解釈が示されています。
実務上は、この解釈を参考にすることになります。
事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)「16 仮想通貨交換業者」より(URLはこちら)
『法第2条第7項に規定する「業として行うこと」とは、「対公衆性」のある行為で「反復継続性」をもって行うことをいうものと解されるが、具体的な行為が「対公衆性」や「反復継続性」を有するものであるか否かについては、個別事例ごとに実態に即して実質的に判断するべきである。なお、「対公衆性」や「反復継続性」については、現実に「対公衆性」のある行為が反復継続して行われている場合のみならず、「対公衆性」や「反復継続性」が想定されている場合等も含まれる点に留意する。』
法の趣旨である、マネーロンダリング対策・テロ資金供与対策・利用者保護に沿った妥当な解釈だろうと思います。
なお、上記の解釈を、反対に捉えれば…
たとえば、取引所を開設して運営する行為であっても、
・特定少数を対象にする
・その場限り(1回だけ)
のいずれかを満たす態様であって、それが将来にわたって変わらないことが確実であれば、法上の「仮想通貨交換業」を行うことにはならない、という結論になるでしょう。
ちなみに、どのような態様であれば、「業として行うこと」に該当しないのかについて金融庁は具体的な事例を示してはいませんし、上記の金融庁の解釈はかなり幅や含みを持たせた解釈ですから、特定少数を対象にしていたり、その場限りであったりしても、金融庁から法上の「仮想通貨交換業」に該当すると認定される可能性はゼロではないという点にはご注意ください。