男性ホルモンは老化現象に深く関係することが明らかになってきている。
その昔、フランスの神経生理学者であるBrown Sequardが、イヌの睾丸エキスを自ら注射して、気力や体力、精力が若返ったという報告がされ、有名になりました。
このように、性ホルモンと老化の関係については、古くから注目されてきています。
現代では、男性ホルモン「アンドロゲン」に注目が集まっています。
雄は成長とともに体内のアンドロゲンの分泌量が上昇しますが、これにより、男性は身長が伸びたり、声が低くなったり、喉仏が発達したりします。
また、生殖活動のとき、分泌が急激に上昇することも知られています。
さらに、アンドロゲンには血管保護作用があることも知られています。
しかし、加齢とともに血中アンドロゲン 濃度は徐々に低下します。
アンドロゲンの分泌が低下すると、血管拡張反応が減少し、血管老化の原因となり、動脈硬化などの要因となることがわかってきています。
また、アンドロゲンの減少は、さまざまな老化に関連する疾患、たとえば、「動脈硬化」、「骨粗髪症」、「サルコペニア」、「認知症」、「加齢男性性腺機能低下(late onset hypogon adism;LOH)症候群」 などに関係しているという報告も、いくつもなされています。
アンドロゲンには適度な濃度というものが存在し、それを維持できる男性が長寿を達成できるようです。
現 在は、アンドロゲンの作用を有する、選択的アンドロゲン受容体修飾薬 (selective androgen receptor modし11ators: SARM)の開発が進んでいます。
近い将来、加齢によるアンドロゲンの減少を、SARMのような薬剤によって補うことのできる日が開発が来ると予想されています。