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糖尿病の病態

糖尿病は名前の通り「尿に糖が出る病気」 ですが、体にとって問題なのは、血糖値が高いことです。

血糖値が高くなる仕組み

健康な人は、膵臓で「インスリン」というホルモンを分泌します。

インスリンは、血液中のブドウ糖が細胞の中に取り込まれるように働きかけます。

具体的には、肝臓や筋肉、脂肪組織などの細胞表面にあるインスリン受容体と結合し、ブドウ糖の細胞内への取り込みを促進します。

これにより、健常者の血糖値は、狭い範囲でコントロールされてい ます。

しかし、糖尿病の人は、このインスリンの作用が不足しているため、血糖値が高くなります。

インスリンの作用不足とは

インスリンの分泌は、夜間から早朝空腹時にかけて分泌されるインスリンの「基礎分泌」と、食事に応じて急速に分泌される「追加分泌」とがあります。

糖尿病の患者は、糖尿病初期には、追加インスリン分泌の作用が低下し、病状が進行すると、基礎インスリン分泌の作用も低下するようになります。

その結果、食後の血糖値が上昇し、また、食前の血糖値へ戻るのに時間がかかるようになります。

さらに、やがては空腹時の血糖値まで上昇するようになります。

このときのインスリン作用不足の原因は、大きく分けて二通りあります。

ひとつは、膵β細胞から十分なインスリンが分泌されなくなることです(インスリン分泌不全)。

もうひとつは、筋肉、肝臓、脂肪組織などの末梢組織にインスリンが効きにくくなることです(インスリン抵抗性の増大)。

糖尿病の分類

糖尿病は、1 型糖尿病と2 型糖尿病に大別されています。

1 型糖尿病

1 型糖尿病は、膵β細胞の破壊・消失によるインスリン分泌の欠乏が原因です。

主に自己免疫学的機序により膵β細胞が破壊されます。

多くは数か月の経過で発症しますが、数日〜1 週間で発症する「劇症1型糖尿病」や、数年かけてゆっくりとインスリン分泌の低下が進行する「緩徐進行1型糖尿病」もあります。

2 型糖尿病

2 型糖尿病は、インスリン分泌低下やインスリン抵抗性をきたす複数の遺伝素素因に、過食、運動不足、肥満、ストレスなどの環境因子と加齢が加わることで発症します。

日本では、糖尿病の患者の95%以上が2型です。

糖尿病の症状

高血糖が持続すると、症状として、口渇、多飲、多尿、体重減少、易疲労感などを呈します。

ただし、自覚症状に乏しい場合があります。

合併症

急性合併症

高度のインスリン作用不足は、急性の代謝失調を引き起こします。

糖尿病性ケトアシドーシス

高度のインスリン欠乏と、コルチゾールやアドレナリンなどのインスリン拮抗ホルモンの増加により、高血糖、高ケトン血症、アシドーシスをきたします(糖尿病性ケトアシドーシス)。

これは、主に 1 型でインスリン依存状態の患者にみられます。

高浸透圧高血糖症候群

著しい高血糖(600mg/dL以上)と高度な脱水によって高浸透圧血症となり、循環不全をきたします(高浸透圧高血糖症候群)。

2 型糖尿病の高齢者によくみられます。

糖尿病性ケトアシドーシスと高浸透圧高血糖症候群は、いずれも重症例では意識障害を呈するので、両者は合わせて「糖尿病昏睡」と総称されます。

慢性合併症

慢性的な高血糖は、脂質異常症や高血圧とともに全身の血管を傷害します。

細かい血管が傷害され、網膜症、腎症、神経障害が発生します(細小血管障害:ミクロアンギオパシー)。

また、より太い血管が傷害され、虚血性心疾患、脳血管障害、下肢閉塞性動脈硬化症が発生します(大血管障害:マクロアンギオパシー)。