薬剤耐性菌の種類

代表的な薬剤耐性菌としては、つぎのものが挙げられます。

グラム陽性球菌

グラム陽性球菌では、黄色ブドウ球菌、腸球菌、肺炎球菌が主に問題となり、以下のような耐性菌があります。

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA)

mecA 遺伝子によりPBP2’(PBP2プライム)を産生します。β‐ラクタム系抗菌薬はこの PBP2’に対 する親和性が低いため、細胞壁の合成が阻害されません。

バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA),バンコマイシン中等度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)

バンコマイシン耐性遺伝子(van遺伝子)により、バンコマイシンの結合部位であるD-アラニル-D-アラニン(ペプチドグリカンの構成単位のムレインモノマー末端)が、D-アラニル-D-ラクテートに変異しています。そのため、細胞壁の合成が阻害されません。

バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)

バンコマイシン耐性遺伝子(van遺伝子)の種類により9種類が確認がされています。VanA、VanB、VanC、VanD、VanE、VanG、VanL、VanM、VanNです。

ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP),ペニシリン中等度耐性肺炎球菌(PISP)

PBPをコードする遺伝子(pbp1a、pbp2x、pbp1a、pbp2b)の変異により、PBPが変異しています。そのため、細胞壁の合成が阻害されません。

グラム陰性球菌

グラム陰性球菌では、淋菌(リン菌)が問題となります。

ペニシリン耐性菌として、ペニシリナーゼ産生淋菌(PPNG)と染色体性ペニシリン耐性淋菌(CMRNG)とに分類されます。

前者はペニシリナーゼの産生により、後者はPBP2の産生を支配するpenA遺伝子の変異により、細胞壁の合成が阻害されません。

グラム陰性桿菌

グラム陰性桿菌では、さまざまな菌種が問題となります。

インフルエンザ菌

アンピシリン耐性菌として、βラクタマーゼ陽性アンピシリン耐性インフルエンザ菌(BLPAR)、βラクタマーゼ陰性アンピシリン耐性インフルエンザ菌(BLNAR)、βラクタマーゼ陽性アモキシシリン/クラブラン酸耐性インフルエンザ菌(BLPACR)に分類されます。

メタロβラクタマーゼ(MBL)産生菌

さまざまな抗菌薬を分解する酵素を産生する菌として、IMP型メタロβラクタマーゼ産生菌、NDM-1型メタロβラクタマーセ産生菌などがあります。

セリンβラクタマーゼ産生菌

さまざまな抗菌薬を分解する酵素を産生する菌として、基質特異性拡張型βラクタマーゼ (ESBL)産生菌、KPC型βラクタマーゼ産生菌、AmpC型βラクタマーゼ産生菌、OXA型βラクタマーゼ産生菌などがあります。

そのほか

上記のほか、多剤耐性緑膿菌(MDRP)、多剤耐性アシネトバクター・バウマニ(MDRAB)などが問題となります。

抗酸菌

抗酸菌では、多剤耐性結核菌などが問題となります。