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黄桃の育種増殖方法事件(平成10(行ツ)19 号、最高裁昭和52年10月13日第1小法廷判決)

事件名
 黄桃の育種増殖方法事件

争点
交配や選抜による植物新品種の伝統的な育種方法において、発明完成のための「反復可能性」は、どの程度あればよいのか?

事実関係

・特許されていた黄桃の育種増殖方法について、無効審判が請求されました。(請求の理由:詳細は不明)
・特許庁は、無効審判の請求不成立審決をしました。(理由:不明)
・特許権者が出訴しました。
・東京高裁は、審決取消訴訟を棄却しました。(理由:不明)
・特許権者が上告しました。


本判決について

・最高裁は、特許権者の上告を棄却しました。

・以下、判旨です。

「技術内容は、その技術分野における通常の知識経験を持つ者であれば何人でもこれを反復実施してその目的とする技術効果を挙げることができる程度にまで具体化され、客観化されたものでなければならないから、

その技術内容がこの程度に構成されていないものは、発明としては未完成のものであって、特許法2条1項にいう「発明」とはいえない(最高裁昭和39年(行ツ)第92号同44年1月28日第三小法廷判決・民集23巻1号54頁参照)。
(規範)
したがって、同条にいう「自然法則を利用した」発明であるためには、当業者がそれを反復実施することにより同一結果を得られること、すなわち、反復可能性のあることが必要である。そして、この反復可能性は、「植物の新品種を育種し増殖する方法」に係る発明の育種過程に関しては、その特性にかんがみ、科学的にその植物を再現することが当業者において可能であれば足り、その確率が高いことを要しないものと解するのが相当である。
(論証)
けだし、右発明においては、(いったん)新品種が育種されれば、その後は従来用いられている増殖方法により再生産することができるのであって、確率が低くても新品種の育種が可能であれば、当該発明の目的とする技術効果を挙げることができるからである。
(あてはめ)
これを本件についてみると、前記のとおり、本件発明の育種過程は、これを反復実施して科学的に本件黄桃と同じ形質を有する桃を再現することが可能であるから、たといその確率が高いものとはいえないとしても、本件発明には反復可能性があるというべきである。
なお、発明の反復可能性は、特許出願当時にあれば足りるから、その後親品種である晩黄桃が所在不明になったことは、右判断を左右するものではない。
(結論)
これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は独自の見解に立って原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。

 

解説

本件は、植物の育種増殖方法が、完成された「発明」かどうかが争われ、
「反復可能性」の解釈について言及された事件です。

本件の育種増殖方法は、二つのプロセスからなります。
まず、「育種方法」。二つの品種を交配し、新品種を生み出すプロセスのことです。
つぎに、「増殖方法」です。新品種を新品種から増やすプロセスのことです。

★育種方法

品種1 + 品種2 → 新品種

☆増殖方法

新品種 → 新品種、新品種、新品種

本件では、この植物の育種増殖方法が、完成された「発明」かどうかが争われていました。
裁判で「反復可能性」が問題になったのは、「★育種方法」の確率が低かったためです。

最高裁は、本判決において、いったん新品種を発明の実施により得られることができるのであれば、その後、「☆増殖方法」により本願発明の効果(新品種の生産)が得られるのだから、「★育種方法」の確率は低くても構わないと述べています。

この判決文を読んで注意しなければいけないのは、判旨で、「そして、この反復可能性は、「植物の新品種を育種し増殖する方法」に係る発明の育種過程に関しては、その特性にかんがみ、科学的にその植物を再現することが当業者において可能であれば足り、その確率が高いことを要しないものと解するのが相当である。」と言っていることです(赤字の部分に注意)。

つまり、植物の育種増殖方法の「★育種方法」の確率は低くていい、といっているにすぎないのです。

「植物の育種増殖方法」以外の技術については、言及していないのです。

ですので、この事件を他の技術分野にまで一般化するのは禁物です。

たとえば、機械の分野の発明でも確率が低くてもいい、と考えるのは安易です。

感想等

もし、この事件で、「育種増殖方法(=★育種方法+☆増殖方法)」としてではなく、「★育種方法」として出願されていた場合、どのように判断されていたのでしょうか?

また、一般的に、植物の「育種増殖方法」の発明のうち「☆増殖方法」の確率が低い場合、どのように反復可能性が判断されるべきでしょうか?

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発明の未完成と拒絶理由(昭和49年(行ツ)第107号、最高裁昭和52年10月13日第1小法廷判決)

最高裁昭和52年10月13日第1小法廷判決

争点
 「発明未完成」を拒絶理由とする通知は、特許法上、認められるか?

事実関係
・Xは、米国にした出願に基づいて、優先権を主張して「薬物製品」を出願
・特許庁は、拒絶審決をした(理由:不明)
・出願人は、出訴した。
・東京高裁は、出願人の訴えを認め、拒絶審決を取り消すべき旨の判決をした。
(東京高裁は、審決は特許法に定めのない拒絶理由で出願を拒絶しており、違法であると述べた。)
・特許庁長官が上告した。

本判決について

・最高裁は、原判決を破棄し、東京高裁に事件を差し戻しました。

・以下、判旨です。

「特許法(以下「法」という。)2条1項は、「この法律で『発明』とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」と定め、「発明」は技術的思想、すなわち技術に関する思想でなければならないとしているが、特許制度の趣旨に照らして考えれば、その技術内容は、当該の技術分野における通常の知識を有する者が反復実施して目的とする技術効果を挙げることができる程度にまで具体的・客観的なものとして構成されていなければならないものと解するのが相当であり、技術内容が右の程度にまで構成されていないものは、発明として未完成のものであつて、法2条1項にいう「発明」とはいえないものといわなければならない(当裁判所昭和39年(行ツ)第92号同44年1月28日第三小法廷判決・民集23巻1号54頁参照)。

ところで、法49条一号は、特許出願にかかる発明(以下「出願の発明」という。)が法29条の規定により特許をすることができないものであることを特許出願の拒絶理由とし、法29条は、その1項柱書において、出願の発明が「産業上利用することができる発明」であることを特許要件の一つとしているが、そこにいう「発明」は法2条1項にいう「発明」の意義に理解すべきものであるから、出願の発明が発明として未完成のものである場合、法29条1項柱書にいう「発明」にあたらないことを理由として特許出願について拒絶をすることは、もとより、法の当然に予定し、また、要請するところというべきである。

原判決が、発明の未完成を理由として特許出願について拒絶をすることは許されないとして、本件審決を取り消したのは、前記各法条の解釈適用を誤つたものであるといわなければならない。論旨は理由があり、右の違法は判決の結論に影響を及ぼすことが明らかであるから、その他の論旨について判断するまでもなく、原判決は破棄を免れない。そうして、本件は、本願発明が本件審決のいうとおり発明として未完成のものであるかどうかを審理判断させるため、原審に差し戻す必要がある。」

解説

この判例の評釈(旧特許判例百選p14~15)によれば、篠原勝美氏が次のような見解を述べています。

1.未完成発明は、審判や訴訟で問題になる。審査実務の現状は、本判決の先例としての価値を失わせるものではない。

2.本判決は、「原子力エネルギー発生方法装置事件」を引用し、出願にかかる発明の内容が、「実施可能性」「反復可能性」「具体性」「客観性」を欠く場合には発明は未完成であるとし、現行法のもとでも、発明未完成の拒絶理由が認められることを確認した。

3.本判決の判旨は、ウォーキングビーム事件に引用され、黄桃育種の事件でも同様の判示があるように、判例法として確立している。

4.黄桃育種の事件によれば、「反復性」は100%でなくともよい

5.発明未完成が問題となる場面には、つぎの場面がありえる。


 ‐ 進歩性の引用発明
‐ 29条の2や39条の先願発明
‐ 先使用による通常実施権の成立要件(正当な知得経路で、「発明」を完成させることが要件だからです)
‐ 優先権の主張要件(先の出願に記載された発明が、優先権のもとになるからです)
‐ 分割出願の出願日の遡及効(分割出願に発明が記載されていないときは、出願日の遡及がないからです)
‐ 職務発明の成立時期(発明完成と同時に使用者が通常実施権を有するからです)

補足

平成5年の審査基準で、発明完成、未完成に関する記載はすべて削除されました。
現状では、明細書の記載の「実施可能要件」で対処されるようです。すなわち、現在、tっ特許庁は、29条1項柱書の拒絶理由については、法上の「発明」に該当しない内容の出願に対して発せられる運用となっています。

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拒絶審決取り消し訴訟と固有必要的共同訴訟(平成6年(行ツ)第83号、最高裁平成7年3月7日第3小法廷判決)

最高裁平成7年3月7日第3小法廷判決

論点

拒絶審決取り消し訴訟は、拒絶査定不服審判の請求人が複数いるときに、単独でできるのか?

事実関係

・甲と乙とが、共同で実用新案登録出願をした。

・審査官は、進歩性違反で拒絶査定をした。

・甲と乙は、共同で拒絶査定不服審判を請求した。

・審判官は、拒絶審決をした(理由:進歩性違反)。

・甲が単独で審決取り消し訴訟を提起した。

・東京高裁は、甲が単独で審決取り消し訴訟を提起することは適法とした。そして、引例の理解が誤りとして審決を取り消すべきと判決した。

・特許庁長官が、上告した。

本判決の結論

・破棄自判

・判旨(現行法に合わせて改変)

「実用新案登録を受ける権利の共有者が、その共有に係る権利を目的とする実用新案登録出願の拒絶査定を受けて共同で審判を請求し、請求が成り立たない旨の審決を受けた場合に、右共有者の提起する審決取消訴訟は、共有者が全員で提起することを要するいわゆる固有必要的共同訴訟と解すべきである(最高裁昭和五二年(行ツ)第二八号同五五年一月一八日第二小法廷判決・裁判集民事一二九号四三頁参照)。

けだし、右訴訟における審決の違法性の有無の判断は共有者全員の有する一個の権利の成否を決めるものであって、右審決を取り消すか否かは共有者全員につき合一に確定する必要があるからである。

実用新案法が、実用新案登録を受ける権利の共有者がその共有に係る権利について審判を請求するときは共有者の全員が共同で請求しなければならないとしている(同法41条の準用する特許法132条3項)のも、右と同様の趣旨に出たものというべきである。

そうすると、本件訴えを適法とした原審の判断には法令の解釈適用を誤った違法があり、この違法は原判決の結論に影響することが明らかである。論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。

そして、前記説示に照らせば、被上告人の本件訴えは不適法として却下すべきである。

解説

最高裁は、以前から、拒絶審決の審決取消訴訟は、固有必要的共同訴訟と解してきました。

本判決で、最高裁は、改めて、固有必要的共同訴訟であることを強調しました。

なお、破棄された東京高裁の判決は、保存行為説を採用していました。

これは実案登録を受ける権利(特許を受ける権利)の財産的性質を重視したことによります。

すなわち、自己の財産的利益を防御するための手続的機会を与ようとする考え方です。

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筆記具のクリップ取付装置事件、平成21年2月27日判決言渡(平成19年(ワ)第17762号)

本件は、実用新案権者である原告が実用新案権の侵害を理由として被告に損害賠償を請求したところ、被告が無効の抗弁を主張し、原告がこの無効の抗弁に対して、訂正により無効の抗弁が排斥される旨の主張(対抗主張)をした民事訴訟です。

この対抗主張(以下、「訂正の主張」とする)は、訴訟上の再抗弁に位置づけられると解されているところ、近年、この再抗弁の要件事実について言及する裁判例が蓄積しつつあるので紹介します。

Ⅰ 本判決の事実および争点

1.事実

原告 被告 被告補助参加人
5.11.26 出願
 

 

 

 

10.3.2 登録
 

 

 

 

 

 

18.11.??  12.31

被告製品を譲渡

 

 

19.1.19 訂正審判請求
 

 

 

 

19.3.20 訂正審決(後日、確定)
 

 

 

 

(H19.??.??. 侵害訴訟の提起?)
 

 

 

 

 

 

 

 

19..1 無効審判請求
19.11.15 訂正請求①

(訂正請求②により、後に取下擬制される)

 

 

≪無効審判に係属≫
20.3.4 訂正請求②
 

 

 

 

 

 

H20.10.2 訂正請求②が

認められた上で無効審決

20.??.?? 高裁へ審決取消訴訟を提起
 

 

 

 

≪審決取り消し訴訟に係属≫
21.2.27 侵害訴訟

について棄却判決

 

 

2.争点

(1) 「被告製品が本件考案の構成要件を充足するか」
(2) 「本件登録実用新案が実用新案登録無効審判により無効にされるべきものと認められるか」
(3) 「本件訂正請求が認められることにより,本件考案の無効理由が解消され,本件考案に係る本件実用新案権の行使が許容されるか」

Ⅱ 本判決における裁判所の判断

争点1 被告製品は本件考案の技術的範囲に属し、その譲渡行為は実用新案権を侵害するとした。

争点2 本件考案は,実用新案法3条2項の無効理由を有し、権利行使は制限されるとした。

争点3 本件訂正請求によって,被告及び補助参加人らが主張する無効理由は解消されないとした。

結論  下記の判旨に記載の、訂正の主張の要件事実①および③を検討することなく棄却判決。

Ⅲ 訂正の主張に関する裁判例

1.キルビー事件(最判平12年4月11日平成10年(オ)第364号)
最高裁は判決文中で、「特段の事情」として「訂正審判の請求がされていることなど」を例として挙げた。この「特段の事情」の趣旨は、成文化された無効の抗弁でも引き継がれたものと解されている 。

2.104条の3施行後の裁判例
訂正の主張の要件事実を述べた他の裁判例に、〔多関節搬送装置事件〕(東京地判平成19年2月27日判夕1253号241頁)、[半導体素子搭載用基板事件](東京地判平成19年9月21日平成18(ワ)1223号)、〔現像ブレードの製造方法事件〕(東京地判平成20年11月28日平成18(ワ)1223号)がある。これらの裁判例は、いずれも本判決と同旨の要件事実を述べているが、本判決と同様に、それらを要件とする理由は述べられていない。

3.ナイフの加工装置事件(最判平成20年4月24日平成18年(受)1772号)
この判決により、無効主張を否定し又は覆すために、訂正を理由とする無効主張に対する主張をなしえることが最高裁により確認された 。この事件は本判決文中で引用されている(判旨参照)。

Ⅳ 判旨

争点(3)について
「実用新案権による権利行使を主張する当事者は,相手方において,実用新案法30条,特許法104条の3第1項に基づき,当該実用新案登録が無効審判により無効にされるべきものと認められ,当該実用新案権の行使が妨げられるとの抗弁の主張(以下「無効主張」という。)をしてきた場合,その無効主張を否定し,又は覆す主張(以下「対抗主張」という。)をすることができると解すべきである(最高裁判所平成18年(受)第1772号同20年4月24日第一小法廷判決参照)。
本件において,被告及び補助参加人らは,本件考案が,・・・無効理由を有しているとして,無効主張をしており・・・その無効主張を認めることができる。また,本件登録実用新案の実用新案登録無効審判事件においては,・・・本件訂正請求を認めつつ,本件訂正考案についての実用新案登録を無効とする旨の審決がされたが,同審決が確定したことを認めるに足りる証拠はない。
このような事情の下で,原告は,本件訂正請求により,上記の無効理由が解消される旨の対抗主張をしているところ,当該主張については,上記の無効主張と両立しつつ,その法律効果の発生を妨げるものとして,同無効主張に対する再抗弁と位置付けるのが相当である。そして,その成立要件については,上記権利行使制限の抗弁の法律効果を障害することによって請求原因による法律効果を復活させ,原告の本件実用新案権の行使を可能にするという法律効果が生じることに照らし,原告において,その法律効果発生を実現するに足りる要件,すなわち,①原告が適法な訂正請求を行っていること,②当該訂正によって被告が主張している無効理由が解消されること,③被告製品が当該訂正後の請求項に係る考案の技術的範囲に属することを主張立証すべきであると解する。」

Ⅴ 論点に関する学説

1.訂正の主張の可否

下級審の裁判例は、無効の抗弁に対する訂正の主張を認めている 。これに異論を述べる学説は見当たらない。学説が訂正の主張を認める論拠は、(1)実効性ある紛争解決の実現(2)審級の利益や上級審への負担の考慮(3)再審請求の可能性の増加を防止すること等である 。

2.訂正の主張の訴訟上の位置づけ

訂正の主張を、無効の抗弁に対する再抗弁とする説が通説である 。その論拠は、(1)「訂正後の特許が無効理由を有しない」という事実は「訂正前の特許が無効理由を有する」という抗弁事実と両立すること(2)無効の抗弁の法律効果の否定につながることである 。

3.再抗弁の要件について

以下、便宜的に訂正審判の請求と無効審判における訂正の請求をまとめて「訂正請求等」とする。

要件①:適法な訂正請求等を行っていること

ⅰ)適法性については、当然必要であると解されている。ただし、独立特許要件が問題となる場合の特許要件の充足性についての主張立証責任の分配については検討の余地があるとされる 。

ⅱ)訂正請求等を行っていることが必要か否かは、以下のように学説が分かれる。

「訂正請求等を不用とする説」
この説の論拠は、(1)被疑侵害者が無効審判の請求をすることなく無効の抗弁ができることとのバランス(2)訂正の請求等には時期的制限、共同請求の制限及び専用実施権者等の承諾をとる必要があること (3)単なる名目的な訂正の請求等が行われる可能性があること (4)訂正請求等の負担を特許権者に強いることになること等である。

「訂正請求等を必要とする説」
この説の論拠は、(1)訂正後の特許請求の範囲の無効理由の判断のため、訂正後の特許請求の範囲を明確にする必要があること(2)侵害訴訟は原告の権利行使に起因するのだから訂正を請求する必要を甘受すべきであること 等である。この説はさらに2つに分かれる。

― 訂正請求等の確定も必要とする説
この説の論拠は、訂正請求等が確定する前の判断は、上訴による取消しや、再審の対象となる可能性があり法的安定性を欠くことである 。

― 訂正請求等の確定までは要しないとする説
この説の論拠は(1)訂正が確定したからといって、未だ無効になる可能性はあり、真に法的安定性が実現するわけではないこと(2)訂正請求等により無効理由が解消すると見込まれる場合にまで確定を要することは迅速な紛争解決に寄与しないこと等である 。

要件②:訂正によって被告が主張している無効理由が解消されること
この要件の存在に関して異
論を述べる学説は見当たらない。ただし、無効理由の主張立証責任の分配については検討の余地があるとされる 。

要件③:被告製品が当該訂正後の請求項に係る考案の技術的範囲に属すること
この要件に関しては、結論として訂正の主張の要件にしてよいとする意見が有力なようである。しかし、要件事実論の観点から、議論の余地があるという意見がある 。すなわち、上記要件①②を立証すれば、特許法第104条の3の文言「当該特許が特許無効審判により無効にされるべきものと認められる」を否定できると考えられるため、訂正の主張の要件としては不要ではないかという意見である。

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法律

特許請求の範囲に記載のない発明を目的とする分割出願(昭和53年(ツ)第101号、最高裁昭和55年12月18日第1小法廷判決)

事件名

半サイズ映画フィルム録音装置事件

論点

旧・特許法は、10条で、2以上の発明を包含する特許出願の一部を新たな特許出願にできるという規定でした。

そこで、「2以上の発明」の、「発明」という文言は、特許請求の範囲の発明をいうのか、発明の詳細な説明や図面の発明も含むのか、これが論点になりました。

事実関係

・出願人は、原出願を出願し、出願公告された。
・出願人が、原出願の明細書に書かれた発明を、分割出願した。
・特許庁は、拒絶審決をした。
(特許庁は、出願公告後に特許請求の範囲を変えようと思うと、せまい範囲で訂正するしかないのに、公告後に明細書から分割を認めると、広い範囲で訂正したことと同じことになり、訂正の制度が無意味になる、と言いました。)

・出願人が出訴

・東京高裁は、請求を認容し、審決を取り消しました。
・特許庁長官が上告

本判決の結論

・棄却

・判旨(長いので、まとめました)

願書に添付した明細書の発明の詳細な説明や図面に記載された発明であつても、その要旨とする技術的事項のすべてがその発明の属する技術分野における通常の技術的知識を有する者においてこれを正確に理解し、かつ、容易に実施することができる程度に記載されているならば、右明細書の発明の詳細なる説明ないし右願書に添付した図面に記載されているものであつても差し支えない、と解する。

なぜなら、

①特許制度の趣旨が、産業政策上の見地から、自己の発明を特許出願により公開することにより産業の発展に寄与した発明者に対し、公開の代償として、第三者との間の利害の適正な調和をはかりつつ発明を一定期間独占的、排他的に実施する権利を付与してこれを保護しようとするにあり、

②また分割出願の制度を設けた趣旨が、特許法のとる一発明一出願主義のもとにおいて、一出願により二以上の発明につき特許出願をした出願人に対し、右出願を分割するという方法により各発明につきそれぞれその出願の時に遡つて出願がされたものと看做して特許を受けさせる途を開いた点にあること、③他に異別の解釈を施すことを余儀なくさせるような特段の規定もみあたらないからである。

背景

当時は29条の2がなかったので、明細書に書いた発明が、後願の出願人に権利化される場合がありました。

なので、先願の出願人に分割を認めて、先願の出願人が権利化できるチャンスを与えるほうがよかったようです。

解説

「2以上の発明を包含する特許出願」が何を意味するかは、現行法の解釈にも意義を有するもので、
現行法44条の、「2以上の発明」も同じように解釈できるでしょう。

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医療

病院で働く栄養士のための新しい資格の創設が必要

高齢者の増加により、病院の入院患者の平均年齢も上がっている。

高齢者は回復が遅いため、入院期間が長くなる。

すると、ベッドの回転率が落ちる(病院の収益を圧迫する)。

回転率を上げるためには、早く退院させるため、早期の栄養管理とリハビリが欠かせない。

しかし、栄養管理は、ふつうの医者はあまり関与しない。

関与するのは、栄養士だ。

しかし、患者の栄養管理は、実はふつうの栄養士にとって、とても難しい。

なぜなら、栄養士は、「人の体」や、「病気」について学校で全く学ばないからだ。

つまり、医学については、一般人並みの知識しかないのに、患者の栄養管理を担当しなければならない。

ここでいくつか重要なことがある。

患者は、必ずしも出されたご飯を全部食べられるわけではないから、栄養コントロールが難しい。

一方で、嚥下能力が低いなどの理由でそもそも食べられない患者は、鼻からチューブを使ったり、胃ろうを作ったりして栄養を入れる。

場合によっては、血管に直接栄養を入れる。

さらに、心臓、腎臓、肝臓などに病気があれば、それに合わせた栄養管理をしなければならない。

以上が意味することは、医学を学んで初めて、医者や看護師をサポートできる栄養士になることができるということだ。

しかし、前述のように、学校では医学のことは学ばないから、現状では、就職してから病院の中で学ぶことになる。

したがって、病院の栄養管理に対する取り組み姿勢によって、栄養士への教育内容に違いが出る結果、病院ごとに栄養管理の質は大きく異なってくる。

ベッド回転率の向上のため、あるいは病院間の栄養管理の質の差を是正するためには、医学の分かる栄養士が必要である。

今後、病院で働く栄養士に、医学知識を担保できるような、何らかの資格を創設してはどうかと考える。

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サイト制作

アドセンスのレスポンシブ広告ユニットのサイズを指定する方法と黄色い余白を非表示にして消す方法

昔の情報ですが、改めて。

アドセンスのレスポンシブ広告ユニットを使用していると、つぎのような問題があります。

▶︎スマホの場合に、レクタングルで表示してほしいときに小さいバナーになってしまうら

▶︎パソコンの場合に、コンテンツ幅よりも小さい広告になるとき、余白が黄色く表示されてしまいデザイン的に良くない

背景の黄色に関しては、ネットを探すと、CSSで、ins { background: #ff9}を変更する方法が見つかりますが、まだ使い勝手を向上させる方法があります。

それは、グーグルが公式に許可している方法で、サイズを指定してやると、いずれも解消できます。

support.google.com

サンプルコードを掲載します。コードには、CSSのmedia queries(メディアクエリ)を使用しています。

この指定の仕方では、デバイスの表示幅が481px未満ではレクタングル(300×250)、表示幅が481pxから768pxではバナー中サイズ(468×60)、表示幅が769px以上ではバナー大サイズ(728×90)となります。

数値を変えることで、サイトに合わせた表示設定が可能となります。

▼サンプルコード

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お役に立ちましたでしょうか。

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医療

血糖値の高い人がヘモグロビンA1cの値が0.1下がっても喜んではいけない理由

糖尿病の患者など血糖値の高い人が、血糖値の1〜2ヶ月の推移をみるために測る項目に、ヘモグロビンA1cがある。

血糖値が高いままだと、ヘモグロビンA1cの値は高いままだ。

しかし、血糖のコントロールをしていれば、この値は維持あるいは低下することになる。

ゆえに、患者はヘモグロビンA1cの値の些細な変化にも一喜一憂することになる。

たとえば、1ヶ月前より0.1下がったから成果が出た、あるきは、0.1上がったから成果ぎ出なかったといった具合に。

しかしながら、ここで、検査というものには、必ず誤差を含むものであることを知っておかなければならない。

同じ血液を二回測ると、0.1ずれることはあり得る。

0.1程度の変動では、喜んでも意味がないかもしれないし、また、落ち込む必要はないのかもしれないということだ。

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ビジネス

iPhoneのSuica(FeliCa)は電池切れでも使えるかはこちらから。

iPhone7にFeliCa(フェリカ)が搭載されて以降、利用者が増えています。

FeliCaとは、ソニーが開発した非接触技術の名前です。

かざすだけで高速データを送受信でき、さらに、データは何度も書き換えられ、カード本体を再利用できるエコロジーなシステムとなっています。

厳重なセキュリティーで、公共交通機関の乗車券システムから、電子マネー、マンションの鍵まで幅広い用途で使われています。

たとえば、最も身近な例では、おサイフケータイや、Suica、電子マネーのnanaco、WAONに利用されています。

iPhoneにFeliCa技術が搭載されるということは、iPhoneを『おサイフケータイ』として使えたり、Suicaと同じようにiPhoneを使って電車に乗れるようになったりします。

大変便利なサービスですが、心配なのは、iPhoneの電池が切れても使えるのかということではないでしょうか。

しかし、心配することはありません。

iPhoneが電池切れになっても、FeliCa技術を利用することは可能となっています。

ただし、Suicaのチャージ、定期券の更新などは、オンラインで行いますので(Apple Payに登録したクレジットカードを使う)電池が残っていることが必要です。

電子マネーは、現金(キャッシュ)のように、持ち運ぶ必要がなく、盗難の心配もありませんし、何より衛生的です。

iPhoneのFeliCaを利用したApple Payにより、今後も、電子マネー生活を楽しむ人が増えていくでしょう。

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外国人旅行者向けに使い捨てWi-Fiルーターを販売してはどうだろうか

外国人旅行者。

彼らの日本に対する不満のひとつは、Wi-Fi環境の悪さである。

街中で無料Wi-Fiが少ないうえに、なかには接続後に登録画面に誘導するものもあり手間がかかる。

かといって、いちいちSIMカードを買うのは面倒だし、設定が必要になるので手間がかかる。機種によっては使えないかもしれないなどの不安もある。

東京オリンピックに向けて改善の余地がある。

しかし、無料Wi-Fiスポットをつくるのは手間も時間もかかる。

税金を投入するのが勿体ないという人もいるだろう。

そこで、4G(LTE)のWi-Fiルーターを使い捨てで販売してはどうかと思う。

1日用なら2000円、3日用なら5000円のように日数と値段を調整して売る。

幸い、日本は携帯電話会社の通信網が発達しているので、通信環境は問題なく、不満は無くなるだろう。

空港や家電量販店、コンビニなどで売れば、かなりの販売が見込めるのではないか。

心配は悪用だが、販売のときにパスポートの提示でも求めれば、悪用の心配は減るだろう。

日本人が買うときも、マイナンバーカードなど身分証の提示で買えるようにすれば良い。