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視床下部と下垂体の機能と役割

以下では、互いに強く関連する視床下部と下垂体の機能と役割について解説します。

視床下部と下垂体

視床下部のニューロンは、「神経分泌細胞」と呼ばれ、その軸策は視床下部の毛細血管の近くに終わり、そこから血中にいくつかのホルモンを分泌します。

視床下部から分泌されたホルモンは、下垂体に作用します。

なお、視床下部の毛細血管と、下垂体前葉の毛細血管とをつないでいるのは、下垂体門脈(静脈)です。

下垂体前葉ホルモン

下垂体前葉は、「成長ホルモン」、「甲状腺刺激ホルモン」、「卵胞刺激ホルモン」、「黄体化ホルモン」、「プロラクチン」、「副腎皮質刺激ホルモン」を分泌します。

①成長ホルモン(GH)

下垂体前葉の中で一番豊富なホルモンであり、その分泌量は、視床下部から放出される「成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)」および「成長ホルモン抑制ホルモン(GHIH)」によって調節されます。

成長ホルモンは、インスリン様成長因子IGFの合成と分泌を促進します。IGFは、肝臓、骨格筋、骨などからGHに応答して分泌されます。

IGFは、タンパクの合成の刺激します。また、筋量と骨量の維持、脂肪組織での脂肪分解、肝臓でのグリコーゲン分解などを助けます。

なお、GHRHおよびGHIHは、主に血中のグルコース濃度により調節されます。すなわち、低血糖の場合、視床下部が刺激され、GHRH分泌が促進されます。逆に、高血糖の場合、GHRH分泌が抑制され、GHIH分泌が促進されます。

②甲状腺刺激ホルモン(TSH)

甲状腺刺激穂ホルモン(TSH)は、甲状腺を刺激して、甲状腺ホルモンの合成と分泌を促進します。

TSHの分泌量は、サイロトロピン放出ホルモン(TRH)という視床下部から放出されるホルモンによって調節されます。

なお、TRHの分泌は、甲状腺ホルモンの血中濃度に依存します。つまり、ネガティブフィードバックによって、TRH分泌は促進あるいは抑制されます。

③卵包刺激ホルモン(FSH)および黄体化ホルモン(LH)

女性では、卵包刺激ホルモン(FSH)は、毎月、数個の卵胞の成長を開始させ、黄体化ホルモン(LH)は、排卵のトリガーとなります。排卵後、LHは卵胞の黄体形成と、黄体からのプロゲステロンの分泌を刺激し、さらに、FSHおよびLHは、エストロゲン分泌を刺激します。

男性では、FSHは、清掃での精子形成を刺激し、LHは、清掃からのテストステロン分泌を刺激します。

なお、性腺刺激ホルモン(ゴナトトロピン)と放出ホルモン(GnRH)は、 FSHおよびLHの分泌を刺激します。また、女性ではエストロゲン、男性ではテストステロンが、GnRH、FSH、LHの分泌を抑制します。

④プロラクチン(PRL)

プロラクチンは、乳腺での乳汁の産生を促進します。

プロラクチンの放出は、プロラクチン抑制ホルモン(PIH)により抑制されています。

女性では、生理前にPIHが減少し、プロラクチンの血中レベルが上昇します。生理が始まると、PIHが分泌され、プロラクチンの血中レベルが低下します。妊娠中は、エストロゲン濃度が高くなり、このエストロゲンがプロラクチン放出ホルモンの分泌を促し、結果、プロラクチンの放出が刺激されます。

⑤副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)

副腎皮質刺激ホルモン(コルチコトロピン:ACTH)は、副腎の皮質から分泌されるグルココルチコイド(糖質コルチコイド)と呼ばれるホルモンの産生と分泌を促します。

なお、グルココルチコイドは、ネガティブフィードバックにより、CRHとACTHの両方の分泌を抑制します。

下垂体後葉ホルモン

下垂体後葉には、1万個以上の神経分泌細胞の軸索と、その神経終末があります。

神経分泌細胞は、細胞体の中で、オキシトシンと、抗利尿ホルモン(ADH)を合成し、それらのホルモンを、分泌小胞に詰め込みます。小胞は、軸索を移動し、軸索の終末へ移動し、さらに、神経インパルスによって、ホルモンは、下垂体後葉の毛細血管網内へ放出されます。

下垂体後葉は、これら2つのホルモンを貯留し、放出します。

①オキシトシン

出産中と、主産後にオキシトシンは、子宮と乳房に作用します。

出産中は、子宮筋の平滑筋の収縮を増強します。

出産後は、新生児の吸入に応じて、乳汁の放出を促進します。

②抗利尿ホルモン(ADH)

抗利尿ホルモン(バソプレシン)は、腎臓に作用し、より多くの水分を血液に戻すように働きかけます(血圧上昇の効果もあり)。

なお、視床下部では、血液浸透圧をモニターしており、浸透圧受容器が、ADHの分泌量を調節します。

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癌のIVC療法の歴史、治療法、効果

高濃度ビタミンC点滴療法(IVC療法)について紹介します。

高濃度ビタミンC点滴療法(IVC療法)

高濃度ビタミンC点滴療法(IVC)は、人の医療において悪性腫瘍に対する副作用を伴わない新しい治療として注目されています。

すなわち、高濃度ビタミンCを血管注射により投与することで、癌の発生、進行、転移を抑制するのに高い効果が見られるという研究です。

なお、現時点では、ヒトに対するビタミンCの抗がん効果は、検証されているところであり、有効性が十分実証されているわけではありません。

歴史

ビタミンCを癌の治療に用いる研究は、1976年キャメロンとポーリングによる論文に始まり、米国のリオルダン医師による論文(2004年)や、アメリカ国立衛生研究所・国立がんセンター・食品医薬品局の科学者らによる高濃度ビタミンC点滴療法によって選択的に癌細胞を死滅させるという基礎論文(2005年)などがあります。

治療法

一般的な治療方法としては,アスコルビン酸を点滴して効果を発揮する血中濃度(400mg/dL以上)へと上げていきます。

その後は血中のアスコルビン酸濃度をモニタリングしながら、がん患者ごとに病状によって投与量や頻度を決定していきます。

効果

IVCの有効性については、完全寛解が3%、生存期間の延長が80%との報告があります。

効果がある癌として報告されている癌は、乳がん、肺がん、前立腺がん、悪性リンパ腫、肝臓がん、胃がん、腎臓がんなど多岐にわたっています。

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癌になると低ナトリウム血症になる仕組み

低Na血症とは

低ナトリウム血症(以下、低Na血症)は、血清Na濃度が135 mEq/L未満の場合です。

低Na血症は特異的な症状に乏しいため、検査で偶然に発見されることが多いです。

これは、ナトリウムの摂取不足が原因ではありません。

低Na血症の主な原因としては、つぎの二通りあります。

原因1

水を飲みすぎることで血液が薄まって低Na血症となる場合です。

原因2

腎臓で水の再吸収とNaの排泄とが促進されることで血液が薄まって低Na血となる場合です。

がん患者と低NA血症

がん患者の場合、二番目の原因で低NA血症になります。

具体的には、がん細胞から、不必要に「バソプレシン」というホルモンが分泌されます。

バソプレシンは、抗利尿ホルモン(ADH)とも呼ばれるホルモンで、腎臓に作用します。

腎臓は、バソプレシンの作用を受けて、作成した尿から、水を積極的に再吸収してしまいます。

その結果、体内に水がたまって血液が薄まり、結果として低Na血症となります。

すべてのがん患者に認められる訳ではありませんが、このような原理で発生する低NA血症は、がん患者の何割かに認められる症状です。

治療法

一般的には、点滴でナトリウムを補充しつつ、がんの治療を行います。