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遠隔医療

インフルエンザで遠隔診療を受けられる?

インフルエンザで遠隔診療を受けられるかを解説します。

インフルエンザと遠隔診療

遠隔診療は、1回目に対面診察をすることが必要です。

したがって、「急に高熱が出た」などのインフルエンザを疑う症状があっても、遠隔診療を受けることはできません。

これについて、「納得できない」,「どうしても遠隔診療を受けたい」という人も、中にはいるかもしれません。

しかし、医師がインフルエンザと確定診断するためには、検査が必要です。

また、治療薬は、基本的に、発症から48時間以内に服用することになっています。

もしも遠隔診療を受けられたとしても、薬や処方箋が届くまでの間に48時間を超えてしまう可能性が高いでしょう。

参考:遠隔診療を受けられる病気

救急医療相談なら利用可能

ネットで診断や処方箋の発行などができなくても、全国の市町村では、救急医療相談を設置しているところが多くあります。

電話で看護師などに質問することができ、「救急車を呼んだほうがいいか」,「病院に行った方がいいか」,「近くの救急病院はどこか」,「応急手当の方法」などの情報を教えてもらうことができます。

相談の結果、緊急性がある場合は、直ちに救急車を出してくれるケースもありますので、利用すると良いでしょう。


救急医療相談窓口の一覧

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遠隔医療

風邪で遠隔診療を受けられる?

風邪で遠隔診療を受けられるか解説します。

風邪と遠隔診療

遠隔診療の対象は、いまのところ、生活習慣病などの症状が安定している病気です。

しかも、1回目に直に対面診察をすることが必要です。

よって、「風邪の症状が出た」という理由だけでは、遠隔診療を受けることはできません。

参考:遠隔診療を受けられる病気

救急医療相談なら利用可能

しかし、遠隔診療が無理でも、電話で救急医療相談をすることができます。

「病院へ行くべきかどうか」や、「自宅でどのように過ごせば良いのか」などの相談をすることができます。

地域によって、医師や看護師などが相談に応じてくれますので、ぜひ利用しましょう。


救急医療相談窓口の一覧

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医療従事者向け

疾患、症状、徴候の違いとは?

徴候、疾患、症状は、それぞれ下記のように定義されます。

徴候

外から見て分かる客観的な変化を意味します。

たとえば、出血、膨化、嘔吐、下痢、発熱、発疹などです。

症状

外からは分からない体の主観的な機能の変化を意味します。

たとえば、頭痛や吐き気などです。

疾患

疾患とは、上記の「徴候」および「症状」をはっきりと示す病気のことを意味します。

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生物

一次リンパ器官と二次リンパ器官の違い

一次リンパ器官

一次リンパ器官(一次リンパ組織)は、リンパ球が免疫担当細胞になるための分化と成熟に関係します。

ヒトの一次リンパ器官は、骨髄(胎生期は肝臓)と胸腺です。

二次リンパ器官

二次リンパ器官(二次リンパ組織)は、侵入してきた抗原や病原体に対して、免疫担当細胞が免疫反応を起こしたり、相互作用しあったりするのに必要な場を提供します。

ヒトの二次リンパ器官は、リンパ節、脾臓、粘膜付属リンパ組織などがあります。

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医療従事者向け

包埋とは(embedding)

組織中の細胞を見やすくするために、組織を薄く切る必要があります。

しかし、やわらかいものは薄く切ることができません。

そこで、薄く切るために、組織片に適切な素材を浸透させ、材料を固めます。

一般的な素材として「パラフィン」が使用されます。

上記の操作を「包埋」といい、パラフィンのことを「包埋剤」といいます。

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医療従事者向け

好気培養と嫌気培養の違いとは?

細菌の培養は、発育に酸素を必要とする好気性菌と、酸素があると発育できない嫌気性菌とでは、異なる方法が採られます。

すなわち、好気培養と、嫌気培養です。

好気培養

好気培養では、シャーレ内の培地、あるいは、緩く蓋を被せた試験管内の培地に、細菌を接種して35〜37度程度の孵卵器に入れます。

なお、培地が液体培地である場合は、浸透させながら培養します。

嫌気培養

一方、嫌気培養では、菌を接種した培地を、ガスパックなどの酸素吸収•炭酸ガス発生剤とともに、密閉容器(嫌気ジャー)に入れて培養します。

嫌気性グローブボックス/嫌気チェンバー/嫌気チャンバーを備えた施設であれば、その中で培養します。

なお、培地として、システインやチオグリコール酸などの、還元剤が添加された培地(培地の酸化還元電位が低下している)が用いられることがあります。

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医療従事者向け

デ・エスカレーションとは?(de-escalation)

一般に、感染症の治療では、培養の同定・感受性検査の結果が出るまでの間、想定する感染部位・起因微生物をカバーする抗菌薬で治療します(エンピリック治療:empiric therapy)。

そして、培養の同定・ 感受性検査の結果が出たときには、その結果を踏まえて、臨床的にも効果が認められ、かつ、患者にとって最適な抗菌薬で治療していくのが良いとされています(いわゆる原因治療あるいは標的治療:definitive therapy) 。

このように、治療の過程で、広域なスペクトルの抗菌薬から、狭域なスペクトルの抗菌薬に変えることを、デ・エスカレーション(de-escalation)といいます。

デエスカレーションの問題点

しかし、デスカレーションには、運用の点で問題を含んでいます。

なぜなら、「現に効いている薬を別のものに変更する必要性はない」と考えて、デエスカレーションをしない医師もいるためです。

しかし、広域スペクトルの抗菌薬は、むやみに使うと薬剤耐性菌の出現を許すことになります。

また、その耐性菌は、環境や医療従事者を介し、ほかの患者に伝播する恐れもあります。

抗菌薬の種類は有限ですから、将来の患者に使える抗菌薬を、できる限り残しておくことが必要になるのです。

したがって、たとえ、目の前の患者が、広域スペクトルの抗菌薬によって改善したとしても、デエスカレーションし、より狭域な抗菌薬に変更する必要があります。

なお、病院の中には、抗菌薬の適正な使用を支援するチーム:AST(抗菌薬適正使用支援チーム)を設置しているところがあります。

チームの活動内容には、主治医へのデエスカレーションの提案が含まれています。

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病気

食道カンジダ症の診断、治療、予後

食道カンジダ症

食道カンジダ症とは、皮膚や食道の常在菌である真菌のカンジダが食道内で増殖し、胸焼け、胸痛、嚥下時痛などの症状を引き起こす疾患です。

カンジダ食道炎は、免疫不全患者や、白血病患者、悪性腫瘍患者に多く、ほかにも、長期に副腎皮質ホルモン剤を服用している患者や、抗生物質内服患者、コントロール不良の糖尿病患者などにも認められます。

食道カンジダ症は、その特徴的な内視鏡所見から、カンジダ食道炎とも呼ばれています。

診断

確定診断のためには、内視鏡検査を行います。

食道カンジダ症の場合、食道内視鏡検査で、食道内に水洗浄で容易にはがれない、斑状またはびまん性の白苔を認めます。

この白苔はカンジダ症に 特有で、多発している場合が多く、点状や線状に配列したり、癒合して縦列形成あるいは地図状白苔として認められたりします。

背景粘膜は浮腫状で発赤を呈し、易出血性です。

さらに白苔部位の病理検査(粘膜生検)や、微生物検査(塗抹・培養)などで酵母様真菌を確認することで診断されます。

また、抗真菌薬による診断的治療で症状が改善傾向となる場合は、そのことが食道カンジダ症と判断する根拠になりえます。

なお、問診も重要で、HIV感染などの病歴や、嚥下困難、嚥下時痛などの症状が診断のヒントになります。

治療

内視鏡検査で所見が認められ、なんらかの自覚症状や他覚症状を認めるときに治療の対象となります。

診断後、または診断的治療目的でフルコナゾールの内服を開始します。

内服開始から数日~1週間以内に症状の改善が得られていることを確認します。

軽症は内服治療で十分ですが、重症例は点滴治療を行います。

予後

基礎疾患にもよりますが、予後は良好で、治癒後の再発は少ないと報告されています。

ただ、まれに食道潰瘍形成や出血、穿孔、ろう孔形成、狭窄、真菌性敗血症をきたすことがあります。

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医療従事者向け

特発性細菌性腹膜炎の検査、診断、治療

特発性細菌性腹膜炎(spontaneous bacterial peritonitis、SBP)とは、消化管穿孔などの腹腔内の感染病巣が認められない腹膜炎です。

この腹膜炎は、進行した肝硬変患者で肝機能がひどく低下したときに、一過性の菌血症から腹水に細菌が播種し、腹水中で細菌が増殖し、SBPが起こるとされています。

頻度は明らかでないものの、腹水を有する非代償性肝硬変の10~20%に併発すると推定されています。

検査

診断のために、腹水の生化学検査と腹水培養検査をおこないます。
消化管穿孔や二次性腹膜炎を考慮し、腹部造影CTを施行する場合もあります。

原因菌

単一菌による感染がほとんどで、SBPの起炎菌は腸内細菌であるグラム陰性桿菌が多く、大腸菌が40%以上を占めています。

腸内細菌叢の大部分を占めるのは嫌気性菌ですが、腹水は好気的な環境にあるため、これらが起炎菌になることは稀です。

もしも、バクテロイデス属などの偏性嫌気性菌が腹水中から検出された場合は、消化管穿孔を考える必要があります。

診断

一般には、腹水中の好中球数が250/mm3以上で細菌培養が陽性の場合にSBPと診断します。

ただし、SBPと鑑別を有する疾患として、胃潰瘍の穿孔、急性虫垂炎の破裂、憩室炎、腸管の悪性腫瘍、腸捻転や腸間膜動脈血栓症などによる腸管壊死などがあります。

また、急性膵炎などの腹腔内感染巣(消化管穿孔など)により生じる腹膜炎(二次性細菌性腹膜炎)との鑑別も必要です。

なお、SBPの亜型として、腹水中の多核白血球が250/mm以上で腹水培養陰性の場合や、腹水中の多核白血球が250/mm未満で腹水細菌培養が陽性の場合などが存在します。

治療

腹水中の多核白血球が250/mm以上を認める場合や、250/mm以上を認めなくても感染の兆候がある場合は、経験的治療(エンピリック治療)として、広域スペクトルの抗菌薬の投与を開始します。

二次性腹膜炎の可能性がある場合は、クリンダマイシンやセフメタゾールなど嫌気性菌をカバーする抗菌薬の併用を検討します。

平均的な治療期間は約10~14日とされています。

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病気

肝膿瘍の症状、診断、検査、治療

肝膿瘍とは、肝臓に膿瘍を認める状態です。

膿瘍は、肝臓外から原因となる細菌や原虫などが肝組織内に侵入・増殖して形成されます。

症状

発熱、倦怠感、悪寒、戦懐、右上腹部の圧痛、食欲不振、吐気・嘔吐、体重減少などの非特異的症状が2週~1カ月ほど持続します。

症状としては、発熱が最も多く、上腹部痛の割合も高くなっています。

肝腫大も特徴的な所見です。

原因微生物

病原体により化膿性肝膿瘍(細菌性肝膿瘍)と原虫性肝膿瘍(アメーバ性肝膿瘍)とに大別されます。

化膿性肝膿瘍は、単独感染の場合と混合感染の場合があります。

細菌としては、単独感染の場合は、Klebsiella属または、Streptococcus anginosis Groupが多く、混合感染の場合は、E.coliなどの腸内細菌科とBactrioides属が多いです。

なお、真菌ではCandida sppが原因となります。また、免疫抑制状態の症例などでは、真菌や結核感染が原因となる場合もあります。

他方、原虫では、Entamoeba histolytica(赤痢アメーバ)が原因となります。

感染経路

細菌性肝膿瘍における病原体の肝内への侵入経路には、胆道、門脈、動脈、直達、外傷、侵襲的治療などがあげられます。

経胆道性が全体の40~60%を占め最も多いと報告されています。

他方、原虫性肝膿瘍(すなわち赤痢アメーバによる肝膿瘍)は、感染性を有する嚢子型アメーバ(シスト)の状態で経口的に侵入し、腸管内で栄養型アメーバとなり、その後、結腸粘膜を通過し、大腸から経門脈的に肝臓に移行して膿瘍を形成します。

赤痢アメーバの日本での感染は、男性同性愛者の感染が代表的で、20~50歳代の大都市に居住する男性に集中しており、近年は性感染症の1つとされ、B型肝炎やC型肝炎、梅毒やHIVを伴う事例が多く報告されています。

また、知的障害者施設における集団感染や、異性間の感染も見られます。

診断・検査

この疾患に特有の症状が存在しないことから、症状のみで診断することは困難です。

したがって、不明熱の鑑別疾患に、肝膿瘍を含めることが重要となります。

なお、ALP高値をみた場合に想起すべき疾患の1つであるとも言われています。

腹部エコー検査、腹部造影CT検査を行うことで、膿瘍を確認することができます。

また、血液培養を実施します。

アメーバ赤痢の関与を確認するため、血清赤痢アメーバ抗体も検査します。

膿瘍穿刺液の細菌学的検査も有用です。

また、既往歴や海外渡航歴、性的接触歴なを聴取することも大切です。

治療

細菌性肝膿瘍では多くの場合、抗菌薬治療を行い、同時に、ドレナージを行います。

ドレナージは、経皮経肝膿瘍ドレナージ(PTAD)を施行し、膿瘍腔を生理食塩水にて洗浄後、抗菌薬を直接注入します。

抗菌薬としては、アンピシリン・スルバクタム(商品名ユナシン)、タゾバクタム(商品名ゾシン)など広域スペクトル薬剤を選択します。

アメーバ性肝膿瘍を疑う場合は、抗菌薬治療のみで改善することが多く、ドレナージをせずに、メトロニダゾール(商品名フラジール)にて治療します。

法律

赤痢アメーバによる感染の場合は感染症法5類感染症であり7日以内に届出をする必要があります。