ミクロボイドとは、ゴム材料に伸張と圧縮が繰り返されて生じるミクロンスケールの空隙のことです。
スコーチとは?(ゴム用語)
スコーチとは、配合ゴムの貯蔵中や、加硫(架橋)行程前の作業中に、初期加硫(架橋)してしまうことをいいます。
スコーチは、「早期加硫」あるいは「焼け」ともいいます。
なお、スコーチを制御するために、スコーチリターダーを配合します。
ウォッシュコートとは?(触媒用語)
触媒のウォッシュコートとは、担体としてハニカム(蜂の巣)状のものを用いる場合に、担体を金属塩が溶解した溶液に浸し、引き上げ、乾燥させて活性部分を担持させる方法のことです。
主に、自動車や、発電所の排ガス処理の触媒において用いられます。
曳糸性(えいしせい)とは、粘り気のある液状の材料を引き延ばした時に、どれほど糸の形になりやすいかを表す用語です。
置換型固溶体(substitutional solid solution)とは、結晶格子中の母体金属の原子の位置に、合金元素が置き換わるタイプの 固溶体です。
メルトマスフローレイトとは?(MFR)
メルトマスフローレイト(MFR)は、熱可塑性樹脂の溶融時の流動性を表す数値です。
具体的には、シリンダ内で溶融した樹脂を、一定の温度と荷重条件のもとで、ピストンによって、シリンダ底部に設置された規定口径のダイから、10分間あたり押し出される樹脂量を測定した値(g/10min)を意味します。
測定方法としては、押出物を手動で切取り、MFRを算出するA法と、ピストンの移動時間および移動距離を自動測定してMFRを算出するB法とがあります。
A法はMFRが0.1~25(g/10min)の材料に適用され、B法は0.1~50(g/10min)の材料に適用されます。
規格としては、ISO 1133、JIS K 7210-1999となりますので、参照願います。
徐冷点とは、その温度以下ではガラスの歪みがなくならないという温度です。
ガラスの内部応力が数分で消失する温度であり、約1013dPa・sの粘度に相当する温度とみなされています。
測定方法として、JIS R3103-02に規定される方法があります。
歪点とは(ひずみてん:Strain Point)
歪点とは、それ以上になると、ガラスがゆがみ始める温度です。
別の言い方だと、それ以下では、ガラスの歪みが生じない温度といえます。
つまり、歪点とは、ガラスの粘性流動が事実上、起り得ない温度です。
歪点は、徐冷域における下限温度に相当します。
ガラスの内部応力が数時間で消失する温度であり、約1014.5dPa・sの粘度に相当する温度とみなされています。
測定方法として、JIS R3103-02に規定される方法があります。
定義
タクチシチーとは、高分子の立体規則性のことです。
解説
光学異性をもつ単位構造からなる高分子には、3種類の立体異性体が存在します。
・ランダムに、違う異性体が連なっているものを、「アタクチック」といいます
・同じ異性体が連なっているものを、「イソタクチック」といいます(「アイソタクチック」ともいいます)。
・交互に違う異性体が連なっているものを、「シンジオタクチック」といいます。
それぞれの構造を、ポリスチレンの例で見ると、下図のようになります。



軟化点とガラス転移点

軟化点
定義
軟化点は、固体物質を加熱していくときに、物質が軟化し、変形し始める温度のことです。
軟化点は、「軟化温度」とも呼ばれます。
解説
非結晶性の固体物質は、粒子間の結合力に均一性がないため、温度上昇につれて部分的に結合が切れて、しだいに軟化し、変形し始めます。
このときの温度が「軟化点」です。 固体状態から流動状態へは、連続的に変化するので、一定の軟化温度を示すことはなく、特定の温度域に亘って軟化していきます。
なお、軟化点の測定では、測定対象となる物質の種類によって、採るべき測定法が異なるので、注意が必要です。
ガラス転移点
定義
ガラス転移点は、ガラス転移が生じる温度、すなわち、過冷却状態からガラス状態に変わる温度のことです。
なお、ガラス転移点は、「ガラス転移温度」ともいいます。
解説
融解状態の高分子物質は、ゆっくり冷やすと、ある温度で、結晶化します(この温度は融点です)。
しかし、融解状態の高分子物質を急に冷やすと、融点に達しても、結晶化せず、液体のまま冷やされていきます(過冷却の状態)。
そして、液体の状態でどんどん冷やされていくと、そのまま凝固して固体状態になります。
このように、非晶質が凝固した硬い状態を「ガラス状態」といいます。
そして、この変化のことを「ガラス転移」といい、ガラス転移が生じる温度(過冷却状態からガラス状態に変わる温度)を「ガラス転移点」といいます。
ガラス転移点は一般的には熱膨張曲線の解析から求められます。
軟化点とガラス転移点の違い
上記のように、両者は異なる概念であり、軟化点の方が、ガラス転移点よりも高い温度となっています。