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暴露幅とは(Margin of Exposure: MOE、暴露マージン)

暴露幅は、暴露マージンともいいます(Margin of Exposure: MOE)。

暴露幅とは、用量-反応評価の結果から導き出した無毒性量などの閾値や、それに相当する用量(NOAELやBMDL)と、摂取量の大きさとの違いを数的に示す指標であり、両者の比で示されます。

例えば、アクリルアミドの平均摂取量(0.001 mg/kg体重/日)と、発がんに対するBMDL(0.3 mg/kg体重/日)の暴露幅は、 MOE=BMDL(0.3)÷摂取量(0.001)=300 と算出されます。

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イディオタイプとは?

イディオタイプとは、免疫グロブリンの可変部におけるアミノ酸配列によって決定される抗原性です。

なお、生体は、抗イディオタイプ抗体を産生することにより、抗体産生のネットワーク調節に重要な役割を果たしています(イディオタイプネットワーク)。

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繊維性連結とは?

繊維性連結とは、膠原繊維と弾性繊維で結合されるものです。

繊維性連結には、「靭帯結合」、「縫合結合」、「釘植結合(ていしょくけつごう)」などがあります。

・靭帯結合は、腓骨(ひこつ)、脛骨(けいこつ)の腓脛間接でみられ、膠原繊維の靭帯による結合です。靭帯繊維は、少しの可動性があります。

・縫合結合は、頭蓋骨でみられ、その間隙に膠原繊維があります。縫合繊維は、不動です。

・釘植結合は、歯根が歯槽にはまる部位でみられ、その間隙を膠原繊維が埋め、不動です。

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生物

毒薬、劇薬、普通薬の違いとは?

毒薬

50%致死量(LD50)がおよそ30mg/kg以下の、毒性の強い薬のことです。

劇薬

LD50がおよそ300mg/kg以下の、毒薬よりは毒性の弱い薬のことです。

普通薬

LD50がおよそ300mg/kg以上の、比較的安全な薬のことです。

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シャルガフの法則とは?

シャルガフの法則とは、核酸において、アデニンとチミンの量比、および、グアニンとシトシンの量比が、常に1:1である法則のことです。

この法則は、米国のE・Chargaffが、ヒトや大腸菌などの様々な生物の組織由来のDNAを抽出し、ギ酸で分解した後、戸紙クロマトグラフィー(paper chromatography)で分画定量することで、四つの塩基の量を測定して発見されました。

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一次リンパ器官と二次リンパ器官の違い

一次リンパ器官

一次リンパ器官(一次リンパ組織)は、リンパ球が免疫担当細胞になるための分化と成熟に関係します。

ヒトの一次リンパ器官は、骨髄(胎生期は肝臓)と胸腺です。

二次リンパ器官

二次リンパ器官(二次リンパ組織)は、侵入してきた抗原や病原体に対して、免疫担当細胞が免疫反応を起こしたり、相互作用しあったりするのに必要な場を提供します。

ヒトの二次リンパ器官は、リンパ節、脾臓、粘膜付属リンパ組織などがあります。

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血球の分化について

血球の分化

血球の分化は、全能性幹細胞からはじまります。

全能性幹細胞は、骨髄系幹細胞およびリンパ系幹細胞に分化します。

①骨髄系幹細胞

→ 顆粒球単球系幹細胞(顆粒球-マクロファージ系幹細胞)、赤血球系幹細胞、巨核球系幹細胞

顆粒球単球系幹細胞

→ 骨髄芽球→前骨髄球→骨髄球→顆粒球

あるいは

→ 単芽球、前単球、単球

赤血球系幹細胞

→ 前赤芽球→赤芽球→網状赤血球→赤血球

巨核球系幹細胞

→ 巨核芽球→巨核球→血小板

②リンパ系幹細胞

→ Tリンパ系幹細胞、Bリンパ系幹細胞

呼称

分化の過程の血球の名称に対する略称を挙げます。

  • 全能性幹細胞(CFU-S)
  • 骨髄系幹細胞(CFU-GEMM)
  • 顆粒球単球系幹細胞(CFU-GM)
  • 赤血球系幹細胞(CFU-E)
  • 巨核球系幹細胞(CFU-Meg)
  • Tリンパ球幹細胞(CFU-TL)
  • Bリンパ球幹細胞(CFU-BL)
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細胞の形質膜を解説.

細胞の形質膜について解説します。

形質膜の概要

形質膜(plasmamembrane)は、「原形質性の膜」あるいは「原形質(細胞質)をとり囲んでいる膜」という意味の用語です。

形質膜は、細胞膜とも呼ばれます。

形質膜は、細胞の内外を隔てる膜で、脂質二重層の生体膜からなり、疎水基を膜の中央部に向け、かつ、親水基を膜の内面および外面に向けています。

ヒトの細胞膜は、物性的には、厚さ2nmの親水性の内層と外層、および、厚さ3.5nmの疎水性の中間層の3層構造です。

形質膜に関するタンパク質

形質膜は、主に、リン脂質と膜タンパク質とからなります。

ほかには、少量のコレステロ-ルと、糖脂質があります。

形質膜の構造

脂質二重層

リン脂質、コレステロール、糖脂質の3種類の脂質分子で構成された層が、脂質二重層です。

膜タンパク

膜タンパクは、実際には、タンパク質に糖が結合した糖タンパク質です。

膜タンパク質には、内在性タンパク質と、表在性タンパク質の2種類があります。

内在性タンパク質は、脂質二重層の中に伸び、あるいは、貫いて伸びています。

表在性タンパク質は、膜の内表面あるいは外表面にゆるく結合しています。

膜タンパクの多くは、脂質二重層の中を自由に移動できます。

形質膜と輸送

物質が形質膜を横切る方法(輸送方法)には、受動輸送、能動輸送、小胞による輸送の3種類があります。

受動輸送

受動輸送には、「拡散」と「浸透」があります。

拡散は、物質がもつ運動エネルギーにより、物質が移動することです。 高濃度から、低濃度へ、濃度勾配に従って移動します。

拡散は、単純拡散と促進拡散に分類されます。

単純拡散には、脂溶性物質の拡散(脂質二重層を通ることによる移動)や、イオンの拡散(イオンチャンネルを通ることによる移動)があります。

促進拡散は、内在性膜タンパク質の手助けによる物質の拡散のことです。促進拡散で移動する物質としては、たとえば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、尿素があります。

浸透は、形質膜を通る、水の移動を意味します。

水分子は、脂質二重層や、水チャンネル(内在性タンパク質)を介して、形質幕を横切って移動します。

能動輸送

能動輸送は、「ポンプ」呼ばれるタンハクでできたトランスポーターの形を変化させ、細胞膜を横切って、物質の濃度勾配と逆方向に、物質を運び出す輸送のことを意味します。

能動輸送される主な物質は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、ヨウ素イオン、塩化物イオンなどのイオン類です。

もっとも重要なポンプは、細胞からNaを吐き出し、K+を取り込むポンプ(ナトリウム-カリウムボンプ)です。

すべての細胞は、多数のナトリウム-カリウムホンプをもっており、これらのホンフは、Naの濃度勾配に逆らって、Naを細胞外に排出することで、サイトゾルのNaの濃度を低く保っています。同時に、ポンプは、Kの濃度勾配に逆らって、Kを移動きせます。

なお、シアン化物のようなATPの賛成を阻害する薬物は、細胞の能動輸送をとめてしまいます。

小胞輸送

小胞は、細胞膜がちぎれててきた小さな袋です。

その役割は、細胞のある場所から、別の場所へ物質を移送すること、細胞外液から物質を取り入れること、細胞外液に物質を放出することです。

小胞の移動には、物質が細胞内に移動する「エンドサイトシートス(細胞内取り込み)」と、小胞が形質膜に融合して小胞内の物質を細胞外に出す「エクソサイトシートス(細胞外放出)」の2種類があります。

なお、小胞の移動には、ATPによるエネルギーが必要です。

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上皮の分類について

上皮の分類は、以下のようになります。

大きくは、単層上皮と重層上皮に分類されます。

単層上皮

単層上皮とは、一層の細胞からなる上皮です。

拡散、浸透、透過、分泌、吸収を行う部位にみられます。

単層上皮は、詳細には、単層扁平上皮、単層立方上皮、単層円柱上皮に分けられます。

単層扁平上皮

単層扁平上皮とは、扁平な上皮細胞が1層に並んだものです。

心臓、血管、リンパ管、肺胞、腎臓のボーマン嚢や鼓膜の内側などの表面を覆います(内皮)。

また、腹膜のような漿膜の上皮層をなします(中皮)。

単層立方上皮

単層立方上皮とは、丈の低い六角柱状の細胞が1層に並んだものです。

縦断像では、四角形の細胞の中央に円形の核が見られます。

卵巣の表面や、眼の水晶体の前面を覆います。

また、眼の網膜色素上皮や、腎尿細管や分泌腺などの小さな導管を形成します。

さらに、甲状腺のような腺の分泌部を形成します。

単層円柱上皮

非線毛単層円柱上皮

分泌と吸収の役割をもち、消化管、腺の導管、胆嚢の内面を覆います。

吸収上皮細胞(微繊毛を持つ)と、杯細胞(頂上部から粘液を分泌)とに分類されます。

線毛単層円柱上皮

上部気道系の一部、卵管、子宮、副鼻腔、脊髄の中心管の内面を覆います。

重層上皮

重層扁平上皮

角化重層扁平上皮

皮膚の表面をなします。

非角化重層扁平上皮

口腔、食道、口頭蓋の一部、膣の内面、舌の表面などを覆います。

重層立方上皮

成人の汗腺、食道腺の導管、男性尿道の一部を覆います。

重層円柱上皮

尿道の一部、食道腺などの太い腺の導管、肛門部の粘膜の一部、眼の結膜の一部を覆います。

移行上皮

移行上皮は腎盂、尿管、膀胱の上皮です。

形態は多列を示しますが内容積に応じて上皮の高さを変化させます。

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ホメオスタシスとフィードバックシステム

ホメオスタシスを分かりやすく解説します。

ホメオスタシスとは

人体は、外部環境が変化しても、内部環境を一定の状態に維持します。

これを「ホメオスタシス」あるいは「恒常性」といいます。

つまり、生体では、外部環境が変化しても、内部環境の浸透圧、PH、温度、糖、タンパク質濃度などが一定に保たれます。

特に、細胞は、体液で囲まれているので、外部環境の直接の影響を受けません。

ホメオスタシスを支える仕組み

ホメオスタシスは、ネガティブフィードバックシステムと、ポジティブフィードバックシステムとにより支えられています。

ネガティブフィードバックシステム

外部の刺激に対して、逆の反応が起きる場合のシステムを、ネガティブフィードバックシステムといいます。

たとえば、血管壁に存在する圧感受性神経細胞は、血圧の上昇を感知し、神経インパルスを脳に送ります。

その後、脳から心臓へ、心拍数を低下させる神経インパルスが送られます。

ネガティブフィードバックシステムが働く対象の主なものには、血圧のほかにも、血糖や、体温などがあります。

ボジティフフィードバックシステム

外部の刺激によって反応が促進されたり、強められたりする場合のシステムを、ボジティブフィードバックシステムといいます。

つまり、効果器は、調節されている状態に生じた最初の変化を、さらに増強する生理学的反応を引き起こします。

ボジティフフィードバックシステムが働く対象の主なものには、排卵、出産、血液凝固などがあります。