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片麻痺や半身麻痺の要介護者を入浴介助する方法

脳梗塞などにより片麻痺(半身麻痺)になった家族などの要介護者の入浴を介助する方法を紹介します。

1.バスチェアに座る

浴槽の横にバスチェア(洗い台)を置いておきます。

バスチェアの高さは、浴槽の縁の高さと同じにします。

要介護者と一緒に浴室に入り、要介護者の動く方の手を、浴槽のへりに置いてもらいます。

置いた手と、動く方の足を使って、腰を持ち上げて体を回転させ、バスチェアに腰を掛けてもらいます。

介助者がサポートするときは、おしりを持って支えると良いでしょう。

2.動く足を浴槽に入れる

動く方の足から浴槽に入ってもらいます。

このときも、介助者がサポートする場合は、おしりを持って支えると良いでしょう。

高齢者はお湯をいっぱいにすると良い

片マヒ(半身マヒ)の高齢者の場合、筋力が弱く、バランスを保つことが難しくなります。

そこで、お湯をいっぱいにして、浮力を得られるようにすると良いでしょう。

3.立ち上がってもらう

体が温まってお風呂を出るときになったら、立ち上がってもらいます。

動く方の手を、浴槽の縁に置くか、手すりにつかまってもらいます。

そして、体を前方に丸めて、動く方の手と足を使って介助者の前方に立ち上がってもらいます。

このとき介助者がサポートする場合は、おしりを前に押し出すように介助すると良いでしょう(要介護者のおしりを持ち上げようとすると、介助者の負担になり腰を痛めやすくなります)。

4.バスチェアに座ってもらう

立ち上がったところで、体を回転させ、バスチェアに座ってもらいます。

足は浴槽の中にいれたままです。

5.足を出す

そして、介助者が、麻痺して動かない方の足を持ってあげて、浴槽からその片足を出してあげます。

最後に、要介護者が自分で動く方の足を出します。

まとめ

入浴の介助は力を使う大変な仕事と思われがちですが、以上のコツを押さえれば、意外に体力を使わずに行うことができます。

できるだけ、高齢者に自分の力を使ってもらえるように促すことがポイントです。

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介護の褥瘡予防とスキンケア

介護の場面で頻発する褥瘡について、予防する方法とスキンケアの方法について解説します。

褥瘡とは

床ずれは「褥瘡(じょくそう)」と呼ばれます。

褥瘡とは、寝たきりなどによって、体重で圧迫されている部分の血流が滞ることで、皮膚の一部が赤い色味を帯びたり、ただれたり、傷ができてしまうことです。

褥瘡はなぜ発生する?

褥瘡は、活動性が低下して横になっている時間が長くなったときや、圧迫されている部分を「痛い」と感じる意識が鈍ってきたとき、加齢などで組織の耐久性が低下したときなどに発生しやすくなります。

褥瘡が発生してしまった場合は、できるだけ早く治癒するためのケアを行います。

褥瘡の問題点

褥瘡は治療できる病気ですが、ひとたび褥瘡が発生してしまうと、さまざまな問題が発生します。

ひとつは、治療費です。

褥瘡はいったん発生してしまうと治癒までには長い期間を要します。

長期間の薬剤使用や医療衛生材料の使用料や、医師や看護師が処置に要する時間(人件費)も費用として必要です。

ふたつ目は、苦痛です。

痛みによる苦痛もありますが、自分の体に醜い傷があるという、精神的な苦痛も感じてしまいます。

また、治療の長期化で、患者本人や家族にとって、大きなストレスとなります。

褥瘡の予防

体圧を分散する

褥瘡を予防するためには、最も体に圧迫のかかる部位の圧迫を、できるだけ取り除くことが必要です。

体圧を取り除くために、体圧分散マットレスなどを使用することが望ましいです。

体圧分散マットレスは、体がマットレスに沈み込み、圧力を小さくする機能などをもっています。

背抜きする

背抜きとは、ベッドに張り付いていた後頭部・背部・瞥部・踵部などを一旦ベッドから 離す行為のことをいいます。

ベッド側に張り付いている体の圧力を解放して、重苦しさや痛みを取り除くことができます。

やり方は、後頭部・背部・聲部・踵部などの下を滑りやすい布をっけた手でゆっくり滑らせます。

背抜きをすると、体への圧力が解放され、寝ている方はとても安楽になります。

体位変換する

体位変換とは寝ている方の体の向きを変えることです。

目安としては、体位変換は2時間ごとといわれます。

体圧分散マットレスを使用している場合は、4時間を超えない範囲で体位変換を行ってもよいとされます。

スキンケア

高齢者は皮膚にシワがあるため、体を拭いても、あまり清潔にはなりません。

拭きすぎると、高齢者の弱い皮膚には刺激が強すぎ、皮膚を傷めてしまいます。

そこで、洗浄剤を泡立てて洗います。

泡は、ネットやスポンジなどを利用すると良いでしょう。

栄養管理をする

年をとると口から食べること(経口摂取)が難しくなってきます。

しかし、一般的に、口から食べ物を摂取できる人に褥瘡の発生が少ないといわれます。

反対に、口から食べられない場合、十分な栄養の量と質が摂取できなくなるため、褥瘡の発生が多くなります。

栄養管理のコツとしては、食欲を増すために旬のものを食べたり、栄養を補うために栄養補助食品を使うのが良いでしょう。

カロリーが不足しがちな高齢者は、おやつを食べることも大事です。

なお、目標とすべき検査データとしては、血清アルブミン値が3.0 g/dL 以上が望ましいと言われます。

アルブミンは傷を治すのに不可欠な栄養素のたんぱく質です。

アルブミンが不足すると、ヒトの体は、筋肉からタンパク質を引っ張ってきます。

すると、筋肉量が低下し、やせて骨が飛び出し、わずかな圧迫などで皮膚に傷ができ治りにくくなります。

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要介護者が高い浴槽を跨げないときの解決方法

介護をしている中で問題になるのが、お風呂の浴槽の縁(ふち)の高さです。

浴槽の高さが高すぎると、またげないため、浴槽に入りにくくなってしまいます。

据え置きタイプの浴槽によくある問題ですが、そのような高低差を解消する解決策がありますので紹介します。

解決方法

1.すのこ

お風呂場の床全体にすのこを敷くのが良いでしょう。

すのこから浴槽までの高さをだいたい40センチに調節すると、またぎやすくなります。

なお、すのこに隙間が無いように注意しましょう。

足の指をはさんだり、つまづいたりしてしまうと、危険だからです。

このとき、浴槽と同じ高さに合わせた椅子(洗い台)をすのこの上に載せて使うと、浴槽へ入りやすくなります。

木製かプラスチック製か

なお、すのこには、木製のものと、プラスチック製のものがあります。

木製には温もりや、香りがある利点がありますが、ヌメリが出たり、水分を多くふくむとカビが発生したりしますので、使用後は干して乾燥させると良いでしょう。

お手入れの簡単さを優先するなら、プラスチック製を選ぶと良いでしょう。

2.バスボード

バスボードは、浴槽の両縁に渡すボードです。

入浴のとき、いったん浴槽の縁に設置したバスボードへ腰掛けて、浴槽に移動するために利用します。

3.バスリフト

バスリフトは、浴槽内昇降機とも呼ばれ、浴槽に取り付けるリフトです。

座面部分が上下に昇降することで、浴槽内での立ち座りを補助することができます。

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オムツで退院した高齢者のオムツを外す介護の方法は?

オムツを外すには

お年寄りが入院すると、病院でオムツをつけられてしまい、そのまま退院するケースが見受けられます。

病院は介護するところではないので、排泄処理をオムツに任せてしまう傾向があるようです。

しかし、まだ自力で排泄する能力があるのに、オムツにされてしまう場合があります。

オムツに慣れてしまうと、尿意や便意を感じにくくなってしまったり、濡れを感じる皮膚感覚が薄れたりしてしまうという問題が発生します。

この状態になると、オムツなしの状態に戻すには、幾分かの努力が必要です。

尿意や便意を意識してもらう

オムツを外すためには、要介護者に、どれだけ尿意や便意があるかを確認することが必要です。

まずは尿意や便意を逃さないように、できるだけ意識してもらうことからはじめましょう。

少しでも尿意や便意を感じる時があるという場合は、尿意や便意を感じた時にトイレにいってもらう、尿器や便器に排泄してもらうことを繰り返してトレーニングします。

体が不自由な場合

なお、体が不自由で、尿意や便意を感じてすぐにトイレにいくことが難しい場合があります。

そのようなときは、ベッドの横にポータブルトイレを設置し、すぐに排泄できるようにする工夫が有効です。

排泄のタイミングを把握する

尿意や便意をまったく感じず、いつもオムツに排泄してしまうときは、毎日いつ頃にどれだけの排泄量があるか、表などを作成して介護者が把握できるとよいでしょう。

タイミングよくトイレに連れて行くことができれば、排泄のトレーニングをすることができます。

排尿や排便する感覚を徐々に取り戻していけるよう繰り返すことが大切です。

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寝たきりの要介護者を陰部洗浄する方法

ベッドで寝たきりの要介護者の陰部を洗浄する方法を解説します。

一日一回は洗浄する

寝たきりの方の陰部は、非常に汚れやすいです。

不衛生な状態が続くと尿路感染などの原因になりますので、できれば、一日一回は、陰部の洗浄をしましょう。

手順

防水シートなどを敷く

まず、ベッドが濡れないよう、要介護者の下半身の下に、ビニールシートなどを敷きます。

吸水シートやフラットタイプの紙おむつでも良いでしょう。

ぬるま湯をかけて拭く

空のペットボトルなどを利用して、お湯をかけます。

ガーゼや柔らかい布で陰部を丁寧にふきます。

なお、ペットボトルの蓋に小さい穴を開けて簡易シャワーを作れば、少しずつお湯をかけることが簡単にできます。

水分をふき取る

最後に仕上げとして、乾いたタオルで水分をふき取ります。

強く拭き取ると、皮膚を傷つけてしまいますので、やさしく拭き取ります。

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寝たきりでもベッドでオムツを使わずに排泄してもらう方法

要介護者が寝たきりでも、ベッドで排泄してもらう方法を解説します。

尿器と便器で排泄してもらう

高齢者などが衰えや病気によりトイレに移動できなかったり、ポータブルトイレが使えない場合、ベッドの上で排泄をしてもらうしかありません。

しかし、体は不自由でも、意識はしっかりしているとき、要介護者がオムツを嫌がることもあるでしょう。

そんなときは、尿器や便器で排泄してもらうのが良いと思います。

使い方

尿器や便器は置き場所を決めておくと良いでしょう。

尿意や便意を感じた時に自分ですぐに取れるように、ベッドの頭側の近くに置くのがおすすめです。

寝まきを腰まで上げて、尿器や便器を差し込んで排泄してもらいます。

介助

ただし、寝たきりの人にとっては難しいことがあるので、多少は尿や便がこぼれることが想定されます。

介助者による後始末は少なからず必要になりますので、防水シートを引いておくなどしておくのが良いでしょう。

また、排泄中は、その場を離れる、あるいは、バスタオルをかけておくなど、羞恥心への配慮が欠かせません。

なお、冬場は尿器や便器が冷たくなりますので、事前にお湯やストーブで温めてから渡すようにしましょう。

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ひとりで要介護者がトイレに移動できる方法

介護をしているときに、排泄のたびに呼びつけられてトイレへ連れて行くのは大変です。

排泄介助ではなく、できるだけ、ひとりで移動してもらう方法を実践してもらうのがよいでしょう。

たとえば、以下の工夫ができます。

なんとか歩ける場合

物につかまれば何とか歩けるという場合、トイレまでの動線の中に、手すりを設置したり、重たい家具を置いたりしましょう。

これにより、高齢者はつたい歩きができるようになり、ひとりでトイレに行けるようになります。

また、トイレに一番近い部屋を寝室にすることも有効です。

立つことはできる場合

歩けないが立つことはできる場合、室内用の車椅子で移動すると良いでしょう。

トイレに車椅子が入れない場合は、トイレまで手すりで移動できるように手すりを設置すると良いでしょう。

また、トイレを広く回収し、車椅子が入れるようにするのもオススメです。

なお、この場合、ベッドから車イスに移動しやすいよう、ベッドサイドに手すりを設ける、重たい家具を置いて手をつけられるようにする等の方策が有効です。

歩けもせず立てもしない場合

歩けないし立てないというときは、お年寄りには難しいですが、這って(はって)トイレに行ってもらいます。

また、ベッド横にポータブルトイレを置くこともできます。

まとめ

ひとりで排泄する期間をなるべく伸ばすことで、要介護者の尊厳を保つことができます。

また、体の機能が衰えるのを防ぐこともできます。

要介護者と話し合い、介助者の負担を減らせるよう協力しあうことが大切です。

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排泄介助に疲れたときにオムツを強制するデメリットと対策

高齢者にトイレのたびに呼ばれると、介護者である家族は大変な苦労をします。

トイレが頻繁にあるときは、なおさらです。

体力面・精神面ともに疲れてしまうので、オムツに変えたいと思ってしまうのは無理もありません。

オムツにはデメリットがある

しかし、自ら進んでオムツを履きたがる人はおらず、「トイレだけは最後まで自分でしたい」と考えている高齢者は意外に多いものです。

そうすると、つい、介助者がオムツを強制してしまいがちです。

ところが、オムツの強制は悪い結果をもたらすことが多いため、勧められません。

ここではオムツのデメリットを紹介します。

認知症のきっかけになる

オムツをつけることは、高齢者の自尊心を傷つけ、生きる意欲を減退させます。最悪の場合、うつ状態になることがあります。

また、オムツによってトイレへの移動が無くなるので、活動量が低下します。

これらが認知症の発症を促してしまいます。

皮膚に負担をかける

おむつの内部は湿りますから、それだけで皮膚に負担をかけます。

特に高齢者の皮膚はもともと乾燥気味ですから、荒れやすくなってしまいます。

さらに、尿や便による刺激が一層の負担となります。

姿勢が崩れる

おむつには厚みがあるため、股が閉じにくくなったり、骨盤が傾いた姿勢になったりします。

それにより、呼吸を深くしにくくなったり,食事の時にご飯を飲み込みにくくなったりしてしまいます。

また、身体の動きに少し制限がかかり、膝を立てる動作や寝返りがしづらくなる問題も起こります。

対策

おむつは,排泄トラブルへの対策に有効ですが、『排泄介護が大変だからおむつを着ければいい』というものではありません。

安易にオムツに頼らないで、自分ひとりでトイレにいける方法を模索することが大切です。

ただし、介助者の疲れが限界に達しているような場合で、どうしても介助の負担を減らしたいというときは、上に挙げたデメリットを認識した上で、高齢者とオムツの着用についてしっかりと話し合うことが重要でしょう。

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介護と便秘の対策

在宅介護の現場で多いのが、高齢者が便秘になってしまうことです。

便秘になると、ストレスがかかり、感情が荒くなるなど介護者の負担にもなります。

できれば薬などに頼らずに便秘を解消したいところですので、対策をいくつか紹介します。

便意を感じたらトイレへ

お年寄りに多いのが、立ちあがるのが大変などの理由で、便意を感じてもトイレに行かないケースです。

人間の体は、トイレを我慢しているうちに、便意をだんだん感じにくくなってしまいます。

そこで、便意を感じたときは、必ず伝えてもらうようにし、その都度トイレへ連れて行きましょう(排泄最優先の原則)。

介助者にとっては面倒ですが、便秘を解消できれば、その他の介護もスムーズにいきますので多少の辛抱を受け入れましょう。

決まったタイミングでトイレへ

たとえば、便意を感じていなくても朝食後にトイレへ行くなど、決まった時間にトイレへ行ってもらいましょう。

踏ん張って排便するのを繰り返してもらうことで、排泄の習慣がつきやすくなるので、オススメです。

なお、一度に全ての便を出し切ろうと思うと、肛門に負担をかけてしまいます。

一部の便を出すだけでも良いので、習慣化することが大切と考えましょう。

食物繊維の多い食べ物を食べる

食物繊維の多い食べ物を摂ることで、排便を促すことができます。

たとえば、胚芽米(はいがまい)やオートミールを食べたり、繊維の多い果物や野菜を摂ると良いでしょう。

水分摂取を多くする

水分を多めにとると、便を柔らかくすることができ、便秘の解消につながります。

とくに、朝食前に冷たい水を飲むと、腸の運動を活発にできるのでオススメです。

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介護での胃ろうのメリットとデメリット

自宅の介護でたびたび問題になるのが、「胃ろう(胃瘻)」を造設するかどうかです。

※胃瘻とは、お腹に穴をあけ、胃に直接、栄養を送り込む方法です

ここでは、介護での胃ろうのメリットとデメリットを紹介します。

胃瘻のメリット

胃瘻は、どうしても食べられない人のための技術であり、確実に栄養が取れるというメリットがあります。

たとえば、「脳の神経に異常があり食事を飲み込めない」、「口の筋肉が極端に衰えている」などの場合には、必要な技術です。

また、病気や手術後など、体力が回復するまでの間、栄養を補給する場合にも、効果的です。

胃瘻のデメリット

しかし、安易に造設すると、以下のようなデメリットが生じます。

・食べる楽しみが奪われる
・舌や喉の機能が低下する
・唾液がなくなり口に細菌が繁殖しやすくなる
・チューブをつなぐことがストレスになる

いずれも高齢者の生活の質に関わる問題ですので、慎重な判断が求められます。

終末期と胃ろう

たびたび、終末期に胃ろうで無理やり栄養を入れているケースが見受けられます。

重要なのは、介護される高齢者が苦痛に感じないことですから、延命のための胃ろうにならないよう、注意が必要です。