関節液の結晶は、主に、尿酸ナトリウム(MSU)とピロリン酸カルシウム(CPP)がある。
MSUは、monosodiurn urateの略語、CPPは、calcium py-
rophosphateの略語である。
両者は、顕微鏡検査(鏡検)で鑑別が可能。
関節液の細胞数が2,000個/μLを超えると、結晶性の関節炎、関節リウマチ、化膿性関節炎を鑑別する必要がある、と言われる。
関節液の鏡検は、結晶性関節炎と化膿性関節炎との区別に重要である。
化膿性関節炎は、発症から24-48時間以内に適切な抗菌薬投与がされないと、永続的な関節の機能不全を引き起こす可能性や、致命的になる可能性があるため、鑑別できる環境があるのであれは、鑑別を急ぐことが必須となる。
結晶の形状から結晶の種類を判別する
典型的な形状の結晶が観察されたときのみ陽性報告する。
結晶が小さいなど、判断が難しい場合は、陽性とはせず再検査を実施すべきである。
尿酸ナトリウム(MSU)
先端の鋭い針状結晶なら尿酸ナトリウム(MSU)と判断する。
ピロリン酸カルシウム(CPP)
平行六面体あるいは桿状で大小不同の多彩な結晶ならCPP と判断する。
偏光顕微鏡
尿酸塩結晶は強い負の複屈折性を示す一方で、CPP結晶は弱い正の複屈折性を示すため、区別することができる。
尿酸塩結晶は結晶長軸に対して鋭敏色板のZ軸を平行にすると結晶が黄色になり、垂直にすると結晶が青色に見える。ピロリン酸カルシウム結晶は平行で青色、垂直で黄色に見える。
ちなみに、偏光顕微鏡装置では、たとえば、痛風検査用アナライザU-GAN(オリンパス社)は、結晶の同定に有用と言われている。
参考に、痛風は高尿酸血症がベースとなり、血清尿酸の体液中の溶解限界(6.4mg/dl)を超えると関節液中に尿酸塩結晶が析出し、関節内の組織に沈着していく。
ピロリン酸カルシウムの沈着する原理は、よく分かっていない。
なお、国家試験との関係では、第66回臨床検査技師国家試験問題の午前 問2に、ピロリン酸カルシウムが認められる疾患について尋ねる問題が出題されている。