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医療従事者向け

サブテロメアとは?

サブテロメアについて解説します。

サブテロメア

サブテロメアは、染色体の端部にある配列です。

染色体の端から順に「テロメア」→「サブテロメア」と並んでいます。

サブテテロメアは、24種類の染色体(1〜22番染色体、X染色体、Y染色体)の各腕(短・長腕)に存在します。

1個の細胞の中には、各染色体の各腕について2個ずつサブテロメアが存在します。1個は父親由来で、もう1個は母親由来です。

なお、男性の場合、X染色体もY染色体も1本ずつしかありません。したがって、X染色体・Y染色体の各腕のサブテロメアはそれぞれ1個です。

サブテロメア微細欠失とサブテロメア微細重複

サブテロメアの近傍は、染色体が複製されるときに切断されやすいと言われてます。

そして、切断されたときには、他の染色体部分に付着する傾向(転座)があります。

こうして、1個のサブテロメアが失われた状態は「サブテロメア微細欠失」と呼ばれています。サブテロメア微細欠失となったヒトは、サブテロメアの部分モノソミーと診断されることになります。

他方、1個のサブテロメアが過剰となった状態は「サブテロメア微細重複」と呼ばれています。サブテロメア微細重複となったヒトは、サブテロメアの部分トリトミーと診断されることになります。

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検査

炎症マーカー(CRP,WBC,DIFF)

炎症マーカーについて概要を解説します。

炎症マーカーとは

炎症は、体内の組織の傷害・崩壊や悪性腫瘍の転移などに対応し、組織を修復しようとする反応です。

目に見える症状としては、痙痛や発熱、腫脹、発赤があります。

「炎症マーカー」とは、この炎症反応を把握するための検査の対象となるものです。

代表的なものにCRPがあります。

CRP(C反応性蛋白)

体内に病原微生物が侵入して、組織の損傷が生じたりすると、マクロファージなどの免疫系の細胞は、サイトカインを産生します。

サイトカインの刺激により、肝臓から、CRPなどの急性相反応物質が血中に放出されます。

CRPは、炎症が無い状態では、ほとんど産生されていません。

しかし、炎症が起これば数時間以内に上昇し、2〜3日で最高値を示します。

その後、炎症の収束につれて、7日〜10日ほどで消失します。

CRPの半減期

なお、CRPの血中の半減期は、約18時間です。

血中濃度が素早く変動するため、炎症の状態を鋭敏に反映します。

CRP の生体内における動態、臨床検査 vol.64 no.9 2020年9月より引用
CRP の生体内における動態、臨床検査 vol.64 no.9 2020年9月より引用

CRPと病態

CRPが上昇する疾患には、たとえば、細菌感染症、ウイルス感染症、外傷、手術後、全身性エリテマトーデス、サルコイドーシス、心筋梗塞、悪性腫瘍、クローン病、潰瘍性大腸炎、慢性関節リウマチ、急性膵炎、敗血症、肺炎、血管炎などがあります。

CRPの上昇の程度はその組織障害の程度を示します。

以上の理由で、CRPは、病態把握や経過観察に用いられています。

CRPの検査

検体は血清を用います。

基準範囲は0.3mg/dL以下です。

なお、慢性的な炎症のある患者では、CRPの測定値が恒常的に0.3mg/dLを上回る値となっていることがほとんどです。

白血球数と自血球分画

白血球数や白血球分画も、炎症の有無や程度を判断するのに重要な指標となります。

白血球には好中球、リンパ球、単球、好酸球、 好塩基球の5種類の細胞があります。

CRPの増加に加えて、白血球数の増加と好中球の割合の増加を認めたときは、細菌感染症を疑います。

白血球の半減期

なお、白血球の血中の半減期は、約6時間です。

したがって、炎症が起きれば、CRPよりも早く上昇し、また、炎症の改善があれば、自血球数の減少は、CRPの低下よりも早く現れます。

白血球の検査

検体は、EDTA採血管を用い、全血を使用します。

白血球分類は、自動分析機で測定可能です。

精査が必要な症例では、血液標本をつくり、数や形態を顕微鏡で観察します。

基準値は成人で、自血球数が「3,500~9,000/μL」、また、白血球分類が、好中球「40〜60%」、リンパ球「18〜50%」、単球「2~10%」、好酸球「1〜5%」、好塩基球「0〜2%」です。

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病気

小児の脱水症の症状、診断、治療

脱水症は小児科によくある疾患ですので、解説します。

なぜ小児は脱水しやすいか

子供が脱水症になりやすいのは、体液の回転が早いからです。

つまり、水が入ってから出て行くまでのスピードが、大人よりも早いです(約3倍の早さ)。

脱水がよく起きるのは、急性胃腸炎のときや(下痢,嘔吐,発熱により水分摂取が低下)、インフルエンザ,ヘルペス性口内炎などの熱性疾患のとき、あるいは、肺炎や気管支喘息などの呼吸器疾患のときです。

脱水の症状と診断

脱水症では、皮膚緊張度(ツルゴール)の低下、口腔粘膜の乾燥、採血や点滴ラインの確保時などの痛覚刺激に涙がでない、などが典型的な徴候です。

また、短期間で体重が減少したときは、体液が減少していると考えます。

普段の体重から、5%未満の減少は「軽症」、5〜9%の減少は「中等症」、9%以上は「重症」と判断します。

中等症以上の脱水症では、心拍数の増加が認められ、また、全身状態が明らかに悪化します。

中等度〜高度の脱水では、下記の「低張性脱水」では意識状態の低下から昏睡を認め、また、下記の「高張性脱水」では易刺激性の充進・けいれんなどを認めます。

脱水の分類

脱水には、大きく分けて3つのタイプがあります。

低張性脱水(血清Na値:135 mEq/L未満)

細胞外液が低張になることにより自由水が細胞内に流入し、体外への細胞外液の喪失以上に細胞外液量の低下が生じている状態です。

等張性脱水(血清Na値:135~145 mEq/L)

電解質のin-outのバランスは取れていますが、細胞外液が減少した状態です。

高張性脱水(血清Na値:145 mEq/L以上)

浸透圧勾配によって、細胞内液中の自由水が細胞外液に移動するため、細胞外液量の減少は比較的少ないものの、神経系細胞やアストロサイトなどの細胞内液が減少し、それに伴って神経系細胞の細胞容積が減少している状態です。

脱水の治療

経口補液療法

脱水症の治療は、経口補液療法(oral dehydration therapy:ORT)が基本です。

軽症および中等症の脱水では、経口補水が可能なときはORTを試します。

一方、中等症以上の脱水があり、嘔気などがあり経口補水が十分に期待できないときは、経静脈的輸液を選択します。

経静脈的輸液

経静脈的輸液は,初期輸液と維持輸液の2種類に分類されます。

初期輸液

脱水症の多くは初期輸液(欠乏輸液とも呼ばれる)のみで十分です。

初期輸液には、「生理的食塩水」、「細胞外液型製剤」、あるいは「低張性輸液製剤(開始液:1号液など)」を用います。

初期輸液を迅速に行い、数時間のうちに、失った体液のおよそ半分〜2/3を補充します。

排尿を確認し、全身状態が改善したところを治療の目安とします。

維持輸液

維持輸液は、一日に必要とされる水分・電解質の補充と、最低限のエネルギーの補充を目的とする輸液です。

維持輸液には、基本的には、低張性輸液製剤(低張液)を用います。

この維持輸液が必要になるのは、初期輸液の後も、嘔吐および下痢の持続などで体液喪失が継続し、経口補水療法のみでは脱水が再び起きる可能性があるときです。

また、意識状態の低下や、全身状態の悪化で飲水ができない場合や、何らかの理由で経口的な水分摂取が不能な場合も、維持輸液が必要になります。

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遠隔医療

高血圧と遠隔診療

高血圧の患者さんの中には、仕事や家庭の都合で、通院のための時間がとれない方が多くいます。

そんな患者さんに役立つ、高血圧の遠隔診療の受け方について解説します。

1.遠隔診療が可能な医療機関を探す

すでに高血圧と診断されているときでも、遠隔診療をするためには、遠隔診療ができる医療機関にかかり、対面で診察をする必要があります。

そこで、まずは、通院できる範囲で、遠隔診療できる医療機関を探します。

2.対面診察を受ける

対面診察をして、医師の診断を受けます。

現在の病状を把握するために、血圧検査や血液検査が必要になることもあります。

3.遠隔診療できるかどうかを医師が判断する

問診の結果や、血圧値、血液データなどから判断して、遠隔診療にできると医師が判断すれば、その後の診察を、遠隔診療にできます。

4.遠隔診療を受ける

ビデオ通話などを通じて、現在の生活スタイルや、食事内容、自己測定した血圧の結果などを確認します。

5.処方箋が家に届く

診察後、血圧の管理のための経口降圧薬薬の処方箋が送られてきますので、薬局で受け取ります。

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Column

抗がん剤による下痢の原因と対応

抗がん薬を投与すると、投与後24時間以内に下痢が発生したり、 投与後2〜 10日ほどで発生したりします。

1日に4〜6回以上、激しい下痢や血液の混じった便が出ます。

下痢は脱水、電解質異常などをきたす可能性があり、重症化すると腎不全、循環不全、敗血症などに至る可能性もあります。

発症早期より適切に対処,コントロールすることが重要です。

下痢の原因

抗がん薬で下痢になるのは、つぎのようなパターンがあります。

・抗がん剤により消化管の交感神経が刺激を受け、腸の蠕動運動が亢進して起こる下痢

・抗がん剤やその代謝物が腸管の粘膜を障害して起こる下痢

・細菌やウイルス感染による下痢

下痢への対応

下痢に対して、整腸薬や止痢薬などを服用します。

また、抗がん剤を減量したり休止したりします。

発熱を伴うものは感染性腸炎を考慮し、抗生剤の内服もします。

また、腹部を保温し、安静にして休みます。

食事については、腸粘膜への刺激や負担を軽減することが重要です。

消化が良く、栄養価の高い食品を、少量ずつ、回数を多く摂取します。

また、新鮮な食品を使って調理し、低脂肪・高たんぱくな食事とします。

食べるときはしっかりとよく噛んで食べることが大事です。

そして、水分を補うため、常温か人肌程度の温度のお茶やイオン飲料を積極的に飲むようにします。

さらに、体にとって、ナトリウム・カリウムは重要な電解質ですから、ナトリウムやカリウムが不足しないように、塩分と糖分などを含んだ水分(汁物や市販のスポーツ飲料)を摂ると良いでしょう。

なお、味付けの濃い食品や、刺激の強い食品、アルコールは、なるべく避けるようにします。

また、発酵しやすい食品にも注意が必要です。生野菜やごぼう・れんこん・さつまいも・豆類などは、腸内で発酵してガスになるので、食べ過ぎに注意しましょう。

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Column

血球回転とは?

血球回転とは、血球が新生されてから、寿命がきてから崩壊するまでの間の過程が繰り返される現象の定量的処理のことをいいます。

正常血球回転数

赤血球

・産生率 : 2.5×10 (細胞数/kg/日)

・循環血球数 : 3.07×1011 (細胞数/kg)

・血管内寿命 : 120 (日)

血小板

・産生率 : 2.5×10 (細胞数/kg/日)

・循環血球数 : 2.5×1010 (細胞数/kg)

・血管内寿命 : 9.5 (日)

好中球

・産生率 : 0.85×10 (細胞数/kg/日)

・循環血球数 : 0.4×10 (細胞数/kg)

・血管内寿命 : 0.3 (日)

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検査

ROC曲線とは?

ROC曲線について解説します。

概要

ROC曲線は、検査の感度と特異度の関係を視覚的に表します。

ROC曲線は、検査間の有用性の比較や、最適なカットオフ値の設定に有用です。

ROCは「receiver operator characteristic」の略です。

解説

ROC理論は、第2次世界大戦中に、レーダーのノイズから敵機を正しく検出するために考え出された理論です。

ROC曲線は図に示すように、縦軸を検査の「感度」とし、横軸を検査の「偽陽性率(1一特異度)」としたグラフです。

ROC曲線
ROC曲線

ちなみに、グラフA,B,Cに対応するヒストグラムのイメージは、つぎのようになります。

疾患群と非疾患群のヒストグラム
A:疾患群と非疾患群の分布が、全く同じ
疾患群と非疾患群のヒストグラム
B:疾患群と非疾患群の分布が、多く重なる
疾患群と非疾患群のヒストグラム
C:疾患群と非疾患群の分布が、少し重なる

疾患群と非疾患群の両者の分布が同じになる検査では、ROC曲線は、グラフAのように対角線となります。

一方、両者の測定値の分布が離れている検査では、分離の程度に応じて、ROC曲線は、グラフBやCのように左上の方向に向かって膨らみます。

曲線がグラフの左上(感度が1で、1一特異度が0)に近づくほど、正確な検査と評価できます。

上記の図の場合は、グラフCの検査が、もっとも正確な検査と評価されます。

なお、疾患群と非疾患群の両者の分布が、下図のように完璧に分離されている理想的な検査の場合、ROC曲線は、左上の角(感度が1で、1一特異度が0)を通る、直角に折れ曲がった線となります(赤の破線のようなグラフになり、曲線ではなくなります)。

疾患群と非疾患群の分布が、完全に分離している
疾患群と非疾患群の分布が、完全に分離しているときのROC曲線
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Column

インスリン療法と自己注射

経口血糖降下薬を使用しても血糖コントロールが不十分になる糖尿病患者さんには、インスリン療法が行われます。

現在、糖尿病患者さんのインスリン分泌パターンや生活スタイルに合わせ、たくさんの種類のインスリン自己注射があります。

ここでは、インスリン製剤と、インスリン療法の実際について紹介します。

自己注射の種類

インスリン自己注射には、さまざまな種類があります。

ペンに組み込まれているタイプ (インスリンプレフィルド/キット製剤)

プレフィルド/キット製剤は、中に詰められているインスリン製剤がなくなったらそのまま廃棄します。

例)ノボラピッド注フレックスペン

通常、成人では、1回に2〜20単位を毎食直前に皮下注射します。

インスリン製剤のカートリッジ交換タイプ(インスリンカートリッジ製剤)

カートリッジ製剤は、 外側のペンは再利用して、自分でカートリッジのみを交換します。

なお、カートリッジ製剤のほうが、プレフィルド/キット製剤より価格が安めに設定されていますが、外側のペンの故障に備えて、予備のプレフィルド/キット製剤を常備しておくと安心です。

例)ヒューマログ注カート

通常、成人では、1回に2〜20単位を毎食直前に皮下注射します。

特徴的なペン型注入器

例)ランタスXR注ソロスター

1 本に 450 単位が入っている持効型溶解インスリン製剤です。

通常、成人では、初期は1日1回4~20単位を皮下注射します。

例)ライゾデグ配合注フレックスタッチ

持効型溶解インスリン製剤と超速効型インスリン製剤が配合されています。

通常、成人では、初期は1回4~20単位を1日1~2回皮下注射します。

インスリン療法の実際

未開封のインスリン製剤は、冷蔵庫で保存しておきます。

冷蔵庫から取り出したら、はじめに、インスリン製剤を空打ちして、インスリン製剤が確実に針先から出るのを確認します。

そして、腹部や上腕などに針先を刺します。

刺す場所は、前回注射したところから数cm離れたところを選びます。

その後、5〜10秒程度かけて皮下へ注射します。

インスリン製剤の目盛りがゼロになったことを確認して、さらに10 秒ほど待ってから、注入ボタンを押したまま針を抜きます。

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遠隔医療

糖尿病と遠隔診療

糖尿病の患者さんの中には、仕事や家庭の都合で、通院のための時間がとれない方が多くいます。

そんな患者さんに役立つ、糖尿病の遠隔診療の受け方について解説します。

1.遠隔診療を実施している医療機関を探す

すでに糖尿病と診断されているときでも、遠隔診療をするためには、遠隔診療ができる医療機関にかかり、対面診察する必要があります。

そこで、まずは、通院できる範囲で、遠隔診療できる医療機関を探します。

2.対面診察を受ける

対面診察をして、医師の診断を受けます。

現在の病状を把握するために、血液検査が必要になることもあります。

3.遠隔診療するかどうかを医師が決める

問診や血液データなどから判断して、遠隔診療にできると医師が判断すれば、その後の診察を、遠隔診療にできます。

4.遠隔診療を受ける

ビデオ通話などを通じて、現在の生活スタイルや、自己測定した血糖値の結果などを確認します。

5.処方箋が家に届く

診察後、血糖管理のための経口血糖降下薬の処方箋が送られてきますので、薬局で受け取ります。

また、毎日のインスリン療法が必要になる糖尿病患者さんについては、インスリン自己注射の処方箋が送られてきますので、薬局で受け取ります。

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病気

糖尿病性ケトアシドーシス

糖尿病性ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis:DKA)について解説します。

糖尿病性ケトアシドーシスとは

糖尿病性ケトアシドーシスは、高血糖、高ケトン血症(ケトーシス)、アシドーシスが揃った病態です。

DKAの発症は、1型糖尿病の発症時や1型糖尿病患者がインスリン注射を中断したとき、シックデイのとき等にみられます。

また、2型糖尿病の患者(特に若年の肥満者)が、清涼飲料水を多飲し続けたときなどにも発症します(清涼飲料水ケトーシス)。

糖尿病性ケトアシドーシスの原理

糖尿病性ケトアシドーシスの原因は、インスリンの極端な低下です。

また、グルカゴン、カテコラミン、コルチゾール、成長ホルモンなどのインスリン拮抗ホルモンの増加によりインスリンの作用が妨げられるのも原因です。

糖尿病患者では、インスリンの作用が不足すると、エネルギー源としてグルコースを利用できなくなります。

グルコースが利用できないとき、代替エネルギとして脂肪組織から遊離脂肪酸が動員されます。

遊離脂肪酸はミトコンドリアでβ酸化されますが、遊離脂肪酸の量が多いと「アセト酢酸」や「β-ヒドロキシ酪酸」、「アセトン」などのケトン体が産生されます。

ケトン体は弱酸ですが、大量に産生されるとアシドーシスとなります。

糖尿病性ケトアシドーシスの症状

口渇、多飲多尿、疲労、全身倦怠、体重減少、 吐き気、嘔吐、腹痛、顔面紅潮、粘膜や口腔内の乾燥頻脈などが認められます。

病状が進行すると、傾眠傾向、低血圧、過呼吸けいれん、ケトン臭を呈し、さらに進行すれば昏睡状態になり、クスマウル大呼吸,体温の著しい低下などが起こります。

クスマウル大呼吸

換気量の増加した規則的な呼吸型で、呼吸数は一般に緩徐です。呼気相が努力性である点が特徴的で、糖尿病や尿毒症時のケトアシドーシスの際に出現します。

糖尿病性ケトアシドーシスの検査

病歴などから糖尿病ケトアシドーシスを疑ったら、まず、簡易血糖測定器で血糖値を測定します。

高血糖であれば、血液ガスや、血中ケトン体の測定、一般生化学検査や尿一般定性検査を行います。

典型的には、つぎのような所見となります。

・血糖 300mg/dL以上

・ナトリウム 正常〜軽度低下

・カリウム 軽度高値

・BUN 上昇

・尿ケトン 陽性〜強陽性(+〜3+)

・動脈血pH 7.3未満

・血漿浸透圧 300mOsm/L以上

・HCO3― 10mEq/L未満

治療

補液

はじめは、生理食塩水を500〜1000 mL/時の速さで点滴します。

経過とともに、速度を遅くしていきます。

血糖値が300を下回ったところで、3〜5%ブドウ糖を含んだ補液とします。

インスリン

はじめに速攻型インスリンを静注し、その後に、インスリンを持続注入します。

尿中ケトン体が消失するまで継続します。

経口摂取が可能になったところで、皮下注射に切り替えます。

そのほか

必要に応じて、カリウム補充や、重炭酸補充をします。