ワンポイントアッセイとは、反応開始一定時間後に反応を停止し、生成物の量あるいは基質の減少量を測定する方法です。
この測定法は、反応開始時に有する検体および試薬の吸光度を除去するため、すべての検体を盲検する必要があります。
なお、この方法は「エンドポイントアッセイ」と呼ばれていたこともあります。
現在、用手法の酵素検査はこの方法で測定されています。
ワンポイントアッセイとは、反応開始一定時間後に反応を停止し、生成物の量あるいは基質の減少量を測定する方法です。
この測定法は、反応開始時に有する検体および試薬の吸光度を除去するため、すべての検体を盲検する必要があります。
なお、この方法は「エンドポイントアッセイ」と呼ばれていたこともあります。
現在、用手法の酵素検査はこの方法で測定されています。
疫学研究の基礎知識を解説します。
疫学研究は、観察研究と介入研究とに大別されます。
観察研究は、観察によって、曝露要因と健康影響の関連を明らかにします。観察研究では、人為的な操作を加えません。
一方、介入研究は、対象者に何らかの処置をして、その結果をみる研究手法です。
研究の始めで、曝露と結果の因果関係がまだよく分からないときは、まずは観察研究から始めます。
例えば、研究仮説が、「長時間労働をしている会社員は、うつ病を発症しやすい」である場合、本当に長時間労働が、うつ病の発症の原因となっているのかをまず確かめる必要があります。
実際に観察研究を行い、因果関係が認められれば対策が立案できます。つまり、「労働時間を減らすと、うつの発症が減少する」 を研究仮説とする介入研究を計画することができます。
実際に介入研究を行い、労働時間を減らした群では、そうでない群と比較してうつ病発症が減少していれば、仮説を証明するエビデンスとなります。
観察研究は、記述疫学と分析疫学に大別されます。
記述疫学とは、人間集団中の疾病の頻度および分布を、人,場所,時間別に観察し、目的とする疾病の発症パターンの特徴を明らかにします。
例えば、人口動態統計や、労働者健康状況調査、健康診断受診状況調査などは記述疫学の手法を用いた研究です。
一方、分析疫学では、「疾病」と「記述疫学から得られた、疾病と関連があると疑われた要因(仮説要因)」と間の統計学的関連を確かめ、その要因の因果性の推定を行います。
分析疫学は、曝露指標と結果指標のデータを、どのタイミングで収集するかの違いによって、さらに横断研究,コホート研究,症例対照研究に大きく分けることができます
ある一時点での曝露(原因)と結果(疾病の有無〉とを同時に調べる研究を、横断研究といいます。
横断研究は、調査がシンプルで時間やコストがかからないという点がメリットです。
例えば、「運動時間の短い人ほど、高血圧になりやすい」ことを明らかにしたい場合は、調査時点の運動時間と血圧を調査することになります。
ただし、横断研究では、調査によって曝露と疾病との間に関連があることを示せたとしても、因果関係までは明らかにできません。
コホート研究は,ある特定の人間の集団を継時的に追跡し,その集団からどのような疾病・死亡が起こるのかを観察して,曝露と疾病との間の因果関係を明らかにする研究です。
仮説を検証するためのターゲットとなる曝露指標をベースライン時に収集し,一定の時間を置いて結果指標を追跡時に収集します。
前向きに追いかけるので,前向き研究,縦断研究とも呼ばれます。
例えば,「喫煙者は非喫煙者よりも心疾患を発症する傾向がある」ことを明らかにしたい場合は、まず、心疾患を発症していない対象者を、喫煙状況で分類しておきます。
そして数か月~数年後に、対象者を調査し、新規の心疾患の発症の状況について調べます。
その結果、二つの群で心疾患の発症率に差があれば、喫煙と心疾患との間に因果関係があると言うことができます。
コホート研究は、曝露と疾病の時間的な前後関係が明確であるため、観察研究の中では、結果の信頼性が高いです。
また、複数の疾病について曝露の影響を調べることができるという利点もあります。
ただ、前向き調査であるため、時間と費用と労力がかかるという欠点があります
症例対照研究とは、疾患群と非疾患群とで、曝露の程度を比較することで、曝露と結果との関連を調べる研究です。
つまり、過去にさかのぼって、特定の要因への曝露状況を調べ、曝露要因と結果との関連を検討します。
例えば、研究仮説が「喫煙者は、結核にかかりやすい」であるとすると、症例対照研究では「既に結核を発症している患者」が まずターゲットとなります。
同時に、「結核を発症していない喫煙者」を選び、対照群とします。
これらの対象者に、過去の喫煙歴について質問して比較します。
症例対照研究では、曝露指標と結果指標との関連はオッズ比(Odds Ratio:OR)で示されます。
オッズとは「確率」のことで、オッズ比とは、事象が起こる確率と起こらない確率の比です。
つまり、症例群の曝露オッズと対照群の曝露オッズの比であり、オッズ比が大きくなるほど,曝露要因と結果指標との関連が強いと判断されます。
症例対照研究は、既に疾患や症状を持つ人を対象とするため、時間がかからない利点があり、また、難病などの稀な疾患に適しています。
なお、症例対照研究では、選択バイアスや情報バイアスなどの偏りが生じないように注意する必要があります。
介入研究とは、分析疫学によって疾病との因果関係との推定がなされた要因(危険因子/予防因子)を、慎重に除去/適用して(介入)、集団を一定期間観察し、疾病の増減などを実験的に確かめる研究です。
介入研究は、無作為化比較試験、非無作為化比較試験、前後比較試験に大別できます。
無作為化比較試験とは、介入群と、非介入群(対照群)を用意し、研究参加者を無作為にグループ分けします(無作為割り付け)。
無作為割り付けは、研究参加者のあらゆる特性について、グループ間の偏りを取り除くことができます。
非無作為化比較試験とは、無作為割り付けを行わない介入研究です(準実験研究と呼ばれることもあります)。
非無作為化比較試験は、無作為化が不可能な場合などに用いられます(例えば、健康を害するおそれのある要因の影響を調べたいとき、ランダムに対象者を選ぶことには倫理的な問題があり、実施できません)。
非無作為化比較試験は、上記の無作為化比較試験よりも実施しやすいという利点はありますが、介入を受けるグループと受けないグループとの間に違いが生じやすく、介入後に生じたグループ間の差を純粋な介入の効果と結論づけることが難しいという欠点があります。
前後比較試験とは、介入を受けるグループのみ用意し、介入の前後での変化を比較する試験です。
前後比較試験は、介入を受けないグループと結果を比べることができませんので、生じた変化が介入によるものか、その他の要因によるものか、判定ができないという欠点があります。
ポストアンチバイオティックエフェクトとは、患者に薬剤を投与するときに、投与のタイミングに時間的な間隔を設けた場合でも、前回に投与した薬剤の効果が残っていることを意味します。
これにより、投与間隔が長い場合でも、薬剤の効果が加算されていくというメリットがあります。
核酸や蛋白の合成阻害剤にこのPAEがあり、たとえば、アミノ配糖体、キノロン、マクロライド、テトラサイクリン系の薬剤には、PAEがあります。
また、βラクタム剤では、グラム陽性球菌には、PAEがあることが知られています。
サブテロメアについて解説します。
サブテロメアは、染色体の端部にある配列です。
染色体の端から順に「テロメア」→「サブテロメア」と並んでいます。
サブテテロメアは、24種類の染色体(1〜22番染色体、X染色体、Y染色体)の各腕(短・長腕)に存在します。
1個の細胞の中には、各染色体の各腕について2個ずつサブテロメアが存在します。1個は父親由来で、もう1個は母親由来です。
なお、男性の場合、X染色体もY染色体も1本ずつしかありません。したがって、X染色体・Y染色体の各腕のサブテロメアはそれぞれ1個です。
サブテロメアの近傍は、染色体が複製されるときに切断されやすいと言われてます。
そして、切断されたときには、他の染色体部分に付着する傾向(転座)があります。
こうして、1個のサブテロメアが失われた状態は「サブテロメア微細欠失」と呼ばれています。サブテロメア微細欠失となったヒトは、サブテロメアの部分モノソミーと診断されることになります。
他方、1個のサブテロメアが過剰となった状態は「サブテロメア微細重複」と呼ばれています。サブテロメア微細重複となったヒトは、サブテロメアの部分トリトミーと診断されることになります。
炎症マーカーについて概要を解説します。
炎症は、体内の組織の傷害・崩壊や悪性腫瘍の転移などに対応し、組織を修復しようとする反応です。
目に見える症状としては、痙痛や発熱、腫脹、発赤があります。
「炎症マーカー」とは、この炎症反応を把握するための検査の対象となるものです。
代表的なものにCRPがあります。
体内に病原微生物が侵入して、組織の損傷が生じたりすると、マクロファージなどの免疫系の細胞は、サイトカインを産生します。
サイトカインの刺激により、肝臓から、CRPなどの急性相反応物質が血中に放出されます。
CRPは、炎症が無い状態では、ほとんど産生されていません。
しかし、炎症が起これば数時間以内に上昇し、2〜3日で最高値を示します。
その後、炎症の収束につれて、7日〜10日ほどで消失します。
なお、CRPの血中の半減期は、約18時間です。
血中濃度が素早く変動するため、炎症の状態を鋭敏に反映します。
CRPが上昇する疾患には、たとえば、細菌感染症、ウイルス感染症、外傷、手術後、全身性エリテマトーデス、サルコイドーシス、心筋梗塞、悪性腫瘍、クローン病、潰瘍性大腸炎、慢性関節リウマチ、急性膵炎、敗血症、肺炎、血管炎などがあります。
CRPの上昇の程度はその組織障害の程度を示します。
以上の理由で、CRPは、病態把握や経過観察に用いられています。
検体は血清を用います。
基準範囲は0.3mg/dL以下です。
なお、慢性的な炎症のある患者では、CRPの測定値が恒常的に0.3mg/dLを上回る値となっていることがほとんどです。
白血球数や白血球分画も、炎症の有無や程度を判断するのに重要な指標となります。
白血球には好中球、リンパ球、単球、好酸球、 好塩基球の5種類の細胞があります。
CRPの増加に加えて、白血球数の増加と好中球の割合の増加を認めたときは、細菌感染症を疑います。
なお、白血球の血中の半減期は、約6時間です。
したがって、炎症が起きれば、CRPよりも早く上昇し、また、炎症の改善があれば、自血球数の減少は、CRPの低下よりも早く現れます。
検体は、EDTA採血管を用い、全血を使用します。
白血球分類は、自動分析機で測定可能です。
精査が必要な症例では、血液標本をつくり、数や形態を顕微鏡で観察します。
基準値は成人で、自血球数が「3,500~9,000/μL」、また、白血球分類が、好中球「40〜60%」、リンパ球「18〜50%」、単球「2~10%」、好酸球「1〜5%」、好塩基球「0〜2%」です。
脱水症は小児科によくある疾患ですので、解説します。
子供が脱水症になりやすいのは、体液の回転が早いからです。
つまり、水が入ってから出て行くまでのスピードが、大人よりも早いです(約3倍の早さ)。
脱水がよく起きるのは、急性胃腸炎のときや(下痢,嘔吐,発熱により水分摂取が低下)、インフルエンザ,ヘルペス性口内炎などの熱性疾患のとき、あるいは、肺炎や気管支喘息などの呼吸器疾患のときです。
脱水症では、皮膚緊張度(ツルゴール)の低下、口腔粘膜の乾燥、採血や点滴ラインの確保時などの痛覚刺激に涙がでない、などが典型的な徴候です。
また、短期間で体重が減少したときは、体液が減少していると考えます。
普段の体重から、5%未満の減少は「軽症」、5〜9%の減少は「中等症」、9%以上は「重症」と判断します。
中等症以上の脱水症では、心拍数の増加が認められ、また、全身状態が明らかに悪化します。
中等度〜高度の脱水では、下記の「低張性脱水」では意識状態の低下から昏睡を認め、また、下記の「高張性脱水」では易刺激性の充進・けいれんなどを認めます。
脱水には、大きく分けて3つのタイプがあります。
細胞外液が低張になることにより自由水が細胞内に流入し、体外への細胞外液の喪失以上に細胞外液量の低下が生じている状態です。
電解質のin-outのバランスは取れていますが、細胞外液が減少した状態です。
浸透圧勾配によって、細胞内液中の自由水が細胞外液に移動するため、細胞外液量の減少は比較的少ないものの、神経系細胞やアストロサイトなどの細胞内液が減少し、それに伴って神経系細胞の細胞容積が減少している状態です。
脱水症の治療は、経口補液療法(oral dehydration therapy:ORT)が基本です。
軽症および中等症の脱水では、経口補水が可能なときはORTを試します。
一方、中等症以上の脱水があり、嘔気などがあり経口補水が十分に期待できないときは、経静脈的輸液を選択します。
経静脈的輸液は,初期輸液と維持輸液の2種類に分類されます。
脱水症の多くは初期輸液(欠乏輸液とも呼ばれる)のみで十分です。
初期輸液には、「生理的食塩水」、「細胞外液型製剤」、あるいは「低張性輸液製剤(開始液:1号液など)」を用います。
初期輸液を迅速に行い、数時間のうちに、失った体液のおよそ半分〜2/3を補充します。
排尿を確認し、全身状態が改善したところを治療の目安とします。
維持輸液は、一日に必要とされる水分・電解質の補充と、最低限のエネルギーの補充を目的とする輸液です。
維持輸液には、基本的には、低張性輸液製剤(低張液)を用います。
この維持輸液が必要になるのは、初期輸液の後も、嘔吐および下痢の持続などで体液喪失が継続し、経口補水療法のみでは脱水が再び起きる可能性があるときです。
また、意識状態の低下や、全身状態の悪化で飲水ができない場合や、何らかの理由で経口的な水分摂取が不能な場合も、維持輸液が必要になります。
高血圧の患者さんの中には、仕事や家庭の都合で、通院のための時間がとれない方が多くいます。
そんな患者さんに役立つ、高血圧の遠隔診療の受け方について解説します。
すでに高血圧と診断されているときでも、遠隔診療をするためには、遠隔診療ができる医療機関にかかり、対面で診察をする必要があります。
そこで、まずは、通院できる範囲で、遠隔診療できる医療機関を探します。
対面診察をして、医師の診断を受けます。
現在の病状を把握するために、血圧検査や血液検査が必要になることもあります。
問診の結果や、血圧値、血液データなどから判断して、遠隔診療にできると医師が判断すれば、その後の診察を、遠隔診療にできます。
ビデオ通話などを通じて、現在の生活スタイルや、食事内容、自己測定した血圧の結果などを確認します。
診察後、血圧の管理のための経口降圧薬薬の処方箋が送られてきますので、薬局で受け取ります。
抗がん薬を投与すると、投与後24時間以内に下痢が発生したり、 投与後2〜 10日ほどで発生したりします。
1日に4〜6回以上、激しい下痢や血液の混じった便が出ます。
下痢は脱水、電解質異常などをきたす可能性があり、重症化すると腎不全、循環不全、敗血症などに至る可能性もあります。
発症早期より適切に対処,コントロールすることが重要です。
抗がん薬で下痢になるのは、つぎのようなパターンがあります。
・抗がん剤により消化管の交感神経が刺激を受け、腸の蠕動運動が亢進して起こる下痢
・抗がん剤やその代謝物が腸管の粘膜を障害して起こる下痢
・細菌やウイルス感染による下痢
下痢に対して、整腸薬や止痢薬などを服用します。
また、抗がん剤を減量したり休止したりします。
発熱を伴うものは感染性腸炎を考慮し、抗生剤の内服もします。
また、腹部を保温し、安静にして休みます。
食事については、腸粘膜への刺激や負担を軽減することが重要です。
消化が良く、栄養価の高い食品を、少量ずつ、回数を多く摂取します。
また、新鮮な食品を使って調理し、低脂肪・高たんぱくな食事とします。
食べるときはしっかりとよく噛んで食べることが大事です。
そして、水分を補うため、常温か人肌程度の温度のお茶やイオン飲料を積極的に飲むようにします。
さらに、体にとって、ナトリウム・カリウムは重要な電解質ですから、ナトリウムやカリウムが不足しないように、塩分と糖分などを含んだ水分(汁物や市販のスポーツ飲料)を摂ると良いでしょう。
なお、味付けの濃い食品や、刺激の強い食品、アルコールは、なるべく避けるようにします。
また、発酵しやすい食品にも注意が必要です。生野菜やごぼう・れんこん・さつまいも・豆類などは、腸内で発酵してガスになるので、食べ過ぎに注意しましょう。
血球回転とは、血球が新生されてから、寿命がきてから崩壊するまでの間の過程が繰り返される現象の定量的処理のことをいいます。
・産生率 : 2.5×109 (細胞数/kg/日)
・循環血球数 : 3.07×1011 (細胞数/kg)
・血管内寿命 : 120 (日)
・産生率 : 2.5×109 (細胞数/kg/日)
・循環血球数 : 2.5×1010 (細胞数/kg)
・血管内寿命 : 9.5 (日)
・産生率 : 0.85×109 (細胞数/kg/日)
・循環血球数 : 0.4×109 (細胞数/kg)
・血管内寿命 : 0.3 (日)
ROC曲線について解説します。
ROC曲線は、検査の感度と特異度の関係を視覚的に表します。
ROC曲線は、検査間の有用性の比較や、最適なカットオフ値の設定に有用です。
ROCは「receiver operator characteristic」の略です。
ROC理論は、第2次世界大戦中に、レーダーのノイズから敵機を正しく検出するために考え出された理論です。
ROC曲線は図に示すように、縦軸を検査の「感度」とし、横軸を検査の「偽陽性率(1一特異度)」としたグラフです。
ちなみに、グラフA,B,Cに対応するヒストグラムのイメージは、つぎのようになります。
疾患群と非疾患群の両者の分布が同じになる検査では、ROC曲線は、グラフAのように対角線となります。
一方、両者の測定値の分布が離れている検査では、分離の程度に応じて、ROC曲線は、グラフBやCのように左上の方向に向かって膨らみます。
曲線がグラフの左上(感度が1で、1一特異度が0)に近づくほど、正確な検査と評価できます。
上記の図の場合は、グラフCの検査が、もっとも正確な検査と評価されます。
なお、疾患群と非疾患群の両者の分布が、下図のように完璧に分離されている理想的な検査の場合、ROC曲線は、左上の角(感度が1で、1一特異度が0)を通る、直角に折れ曲がった線となります(赤の破線のようなグラフになり、曲線ではなくなります)。