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Column

院内残薬問題とは?

院内残薬問題とは、抗ガン剤などを調整するときに、余った薬剤を捨ててしまう問題をいいます。

たとえば、110mgの薬剤を患者に与えるとき、100mgの製品と、20mgの製品を組み合わせて調剤し、残った10mgを廃棄します。

これは、残った薬剤を保存することで、品質が劣化したり、汚染菌が混入したりするリスクを排除するために行われています。

なお、病院は、使用した薬剤については、製品ごとに保険請求できるため、余った分を捨てても、収入に影響がありません。

つまり、経営に影響がないため、薬剤を廃棄しないように努力する動機がありません。

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医療従事者向け

針刺し事故の後にすべき感染症の検査と投薬

針刺し事故とは

針刺し事故とは、医療従事者が、患者に注射をした後に、注射針を誤って自分や周りの人に刺してしまうことをいいます。

事故後の感染症検査

血液等の媒介で感染し得る病原体の主なものは, B 型肝炎ウイルス(Hepatitis B virus:HBV)、C 型 肝 炎 ウ イ ル ス(Hepatitis C virus:HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(Human immunode ciency virus:HIV)です。

事故が起きた場合、注射をした患者が、これらHBV、HCV、HIVの感染者か否かを確認する必要があります。

すなわち、患者のHBs抗原、抗HBs抗体、抗HCV抗体、抗HIV抗体の有無を確認します。

また、事故者である医療従事者についても、抗HBs抗体および抗HIV抗体の有無を確認します。可能であれば、抗HCV抗体の有無についても確認します。

B型肝炎ウイルスの検査と薬

B型肝炎ウイルスの場合、1 回の針刺しにおける感染率は、その時のウイルスの感染力にもよりますが、感染力が 高い場合は 20 〜 30%といわれています。

事故者のHBS抗体が陰性の場合、事故から24時間以内に、HBIGすなわち高力価抗HBSヒト免疫グロブリン(静注用ヘブスブリン®IH)と、HBワクチンとを接種します。

HBワクチンは三角筋に投与しす。さらに、HBワクチンと異なる部位にHBIGを接種します。

事故後、1年間は経過観察が必要です。

なお、HBワクチン接種は1クール3回接種(0、1、6ヵ月)が推奨されています。

3回接種後の 抗体獲得率は80 〜 95%で、そのうち約20% の抗体は、数年後に検査で検出されないレベルまで減弱するといわれています。

しかし, この場合はHBVに対する免疫応答は保たれているため、HBワクチンの追加接種は必要ありません。

C型肝炎ウイルスの検査と薬

C型肝炎ウイルスの場合、1 回の針刺しにおける感染率は 2 〜 3%ですが, いったんキャリアになるとその 1/3 が肝細胞癌を引き起こすといわれています。

感染防御できるワクチンが無いため、HCV抗体の投与や、HCV-RNA検査、肝機能検査を継続し、1年間の経過観察のみを行ういます。

観察期間にASTやALTが上昇し, HCV-RNAが陽 性となった場合にはIFN治療を考慮する必要があります。

IFN 投与は、慢性化を防止するためには必須であり、感染後3ヵ月以内にIFNを投与すれ ば,4週間の投与期間でも80%が完治します。

なお、IFN 投与は発熱全身倦怠感などの副作用が強いと言われます。

HIVウイルスの場合の検査と薬

HIVウイルスの場合、1 回の針刺しにおける感染率は 0.2 〜 0.3%です。

HIV感染の危険性は血液の量と傷の深さ、HIVウイルスの量によって影響し,、曝露した血液量が多い、深い傷である、中空針による切創である場合などにリスクが高くなります。

事故から1〜2時間以内に、抗HIV薬(HIV曝露後予防内服(Post-Exposure Prophylaxis; PEP)薬)を2剤以上、4週間継続して予防内服します。

具体的な薬剤は、ウイルス DNA が宿主細胞 DNA に組み込まれる段階の前半に有効な HIV 逆転写酵素阻害剤と、後半に有効な HIV プロテ アーゼ阻害剤です。

基本は、ジドブジン+ラミブジン(AZT+3TC)あるい はテノホビルジソプロキシルフマル酸塩+ エムトリシタビン(TDF+FTC)の核酸系逆転写酵素阻害薬2種の組み合わせが推奨されています。

また、この2種の組み合わせに追加して、プロテアーゼ阻害薬であるロピナビル/リトナビル(LPV/r)などを服用することも推奨されています。

ただし、薬には、副作用が多い、飲みづらい、長期の安全性が確立していないなどのデメリットがあるためメリットとデメリットを考慮して服用を決定する必要があります。

なお、事故後2時間以内で決断がつかない場合は1回目を服用して、次の服用時間までに決めることにしてもかまいません。

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検査

血液培養の注意点などの解説

血液培養とは、血液を培養ボトルに入れ、35℃〜37℃で振盪培養し、菌を検出する検査です。

以下に血液培養の注意点などを解説します。

採取のタイミング

原則として、敗血症を疑う状況で採取します。

菌を検出するためには、抗菌薬を投与する前に採取することが重要です。

採取部位

上肢の静脈からの採取が推奨されています。

下肢からの採血や、カテーテルを経由した採血は、コンタミネーションの危険が増します。

ただし、カテーテル関連血流感染症を疑う場合は、カテーテルからの採取が重要です。

なお、動脈血から採血するメリットは確認されていません。

消毒

消毒には、「アルコール+ポピドンヨード」、「ヨードチンキ」あるいは「クロルヘキシジンアルコール(0.5%以上)」が適しています。

なお、アルコールのみでは、バシラス属やクロストリジウム属が消毒しきれません。

採血量

好気ボトルと嫌気ボトルの2本を組み合わせて「1セット」とします。

1セットあたりの採血量は20~30mlとし、各ボトルに10〜15ml注入します。

ボトルに注入する血液量には、下限と上限があります。

下限を下回ると、検出感度が下がります。

上限を上回ると、偽陽性や偽陰性の発生頻度が高まります。

なお、もし末梢循環不全などで十分量の血液を採取できない場合、血液を好気ボトルのみに注入して培養検査を行います。
これは起因菌の多くが好気ボトルで培養可能だからです。

セット数

望ましくは、24時間以内に2セットないし3セットの採取を実施します。

同時に2セットないし3セットの採取をしても構いません。

典型的には、左右の上肢から採取し、2セットとします。

複数セット採取のメリットとしては、検出感度の向上や、コンタミネーションの判断に有用であること等が挙げられます。
なお、感染性心内膜炎の診断には、時間をずらして3セット採取することが有効です。

培養時間

培養時間は、5日間で充分とされます。

ただし、つぎの菌種は、5日間では発育困難な場合があるので、起炎菌として疑う場合は、5日の時点で陰性でも、延長培養することが薦められます。

・Helicobacter cinaedi
・Francisella spp
・Brucella spp
・Bartonella spp
・Aggregatibacter spp
・Cardiobacterium spp
・Mycobacterium spp
・Nocardia spp
・Campylobacter spp
・Candida glabrata
・Cryptococcus neoformans等。

また、次の菌はボトルでの発育が困難とされます。

Leptospira sppおよびLegionella spp

陽性判定後

機器により陽性判定されたボトルは、転倒混和し、スライドに滴下して染色します。

そして、染色結果をもとに、血液寒天培地を基本に、チョコレート寒天培地、グラム陰性菌用培地、嫌気性菌用培地など、使う培地を選び、また、培養方法を決定します。

その他

血液が固まらないようにするため、ボトルには、抗凝固剤のSPSが含有されています。

抗凝固剤のSPSは、ほかの抗凝固剤に比べ、菌に対する発育を抑制する効果が低いため、血液培養ボトルに含有させるのに適しています。

ただし、SPSは、ナイセリア属や一部の嫌気性菌については、発育を抑制してしまうというデメリットがあります。

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遠隔医療

遠隔診療サービス一覧

遠隔診療サービスを一覧で紹介します。

CLINICS

アプリを利用して遠隔診療を受けることができます。

診療メニューが豊富で、さまざまな診療科の専門医による診察を予約できます。

健康保険が使える保険診療から、健康保険が使えない自由診療まで、幅広く対応しています。

なお、保険診療のメニューは、原則として、初診は対面診察となります。

アプリをみる

運営は株式会社メドレーです。

遠隔診療ポケットドクター

ポケットドクターを導入している医療機関で使うことができるサービスです。

アプリで、かかりつけ医の遠隔診療を受けることができます。

アプリをみる

運営はMRT株式会社です。

なお、MRT株式会社は、個人向けの遠隔健康相談サービスにも取り組んでいます(予約相談・今すぐ相談)。

ポートメディカル

自宅からなるべく近くの医療機関にかかることができます。

診察は、ビデオ電話やテキストメッセージを組み合わせて行われます。

サービス内で処方薬を購入したときは、院内処方薬を配送してもらえます。

サービスは、健康保険が使えない自由診療となっています(全額自己負担)。

運営は、株式会社ポートです。

※現在は、医療機関を限定してサービスを行っています。

DoctorsCrowd

健康保険組合向けの遠隔医療サービスです。

すなわち、DoctorsCrowdを利用する会社の従業員が利用できるサービスです。

ビデオ通話で、重症化予防を目的とした遠隔診療などを受けることができます。

アプリをみる

運営はメドケア株式会社です。

リモートドクター

リモートドクターを導入している医療機関で使うことができるサービスです。

遠隔診療に対応している医療機関に申し込みをしてた後、アプリを使ってオンラインで診療を受けられます。

運営は、株式会社アイソルです。

curon

クロンを導入している医療機関で使うことができるサービスです。

必要に応じて、ビデオ通話等でオンライン診察・処方が可能です。

運営は、株式会社情報医療です。

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医療従事者向け

栄養要求性連鎖球菌NVSの種類と培養方法

NVSの種類

栄養要求性レンサ球菌(NVS:nutritionally variant streptococci)とは、発育にL-cysteineとpyridoxal hydorochloride(ビタミン B6)を要求する、通常の連鎖球菌とは栄養要求性が異なる菌です。

NVSは、ヒトの口腔内や消化管内に常在する viridans streptococciのグループに属する菌です。

具体的には、下記の4菌種があります。

Abiotrophia defectiva
Granulicatella adiacens
Granulicatella elegans
Granulicatella balaenopterae

NVSは、微好気性のグラム陽性球菌です。
性状は、カタラーゼ陰性、PYR陽性、LAP陽性です

感染性心内膜炎、敗血症、結膜炎、中耳炎、膵膿瘍、創部感染なとの原因菌として知られています。

NVSの培養方法

HIA血液寒天培地(以下、HIA)や、TSA血液寒天培地(以下、TSA)での好気培養では、発育しません。

しかし、HIAやTSAに、pyridoxalあるいはL-cysteine添加した培地では発育が認められます。

また、チョコレート寒天培地、GAM寒天培地、ブルセラHK寒天培地での炭酸ガス培養もしくは嫌気培養でも、発育が認められます。

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検査

プレセプシンとは?(Presepsin)

プレセプシンとは

プレセプシンはタンパク質であり、敗血症で血中レベルが上昇します。

血中レベルが上昇する仕組みとしては、細菌が顆粒球などに貪食された際、同時に取り込まれたCD14が、テプシンDなどの酵素作用により消化され、その一部がプレセプシンとして血中に放出されます。

プレセプシン測定のメリット

敗血症は、早期に積極的な治療を開始する ことが救命率を上げるために重要です。

そのためには、早期診断が欠かせませんが、臨床所見のみで敗血症の診断をするのは難しく、また、血液培養は確実な検査ができるが検査に時間がかかるという欠点があります。

さらに、炎症マーカーの『プロカルシトニン(PCT)』や、『C反応性蛋白(CRP)』は、敗血症を確実に診断できるという検査でもありません。

このような背景がある中で、敗血症時に特異的に上昇すると言われているのがプレセプシンです。

プレセプシンは、CRPやプロカルシトニン(PCT)よりも半日から数日は早く血中レベルが上昇する(陽性になる)ため、迅速な診断に役立ちます。

また、プレセプシンを測定するメリットとして、外傷や熱傷、手術などによる侵襲の影響が少ないため、CRPやPCTと比べ、偽陽性となることが少ないというメリットがあります。

また、PCT 濃度は敗血症の重症度 や死亡率と相関しないのに対して、プレセプシンについては、敗血症が重症であるほど高い値を示すため、重症度判定と予後の予測に役立ちます。

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Column

免疫細胞の種類

免疫に関わる細胞を紹介します。

病原体を食べる細胞

好中球

好中球は、体内に入ってきた病原体を食べて消化する細胞です。

好中球は、成人の白血球のうち、最も多く存在する細胞です。

感染が起こると、反応して一気に数が増えます。

通常は、末梢白血球のうち、約50~70%を占めます。

分葉型の核が特徴で、2~3カ所のくびれの入った核となっています。

強い貧食能を有し,細胞質内にはミエロペルオキシダーゼなどの活性酸素を産生する酵素や、蛋白分解酵素を含んだ順粒が多く存在しています。

感染および炎症部位にすみやかに集積することから、感染の初期防御に重要な細胞です。

単球、マクロファージ

好中球と同じく、体内に入ってきた病原体を食べる役割のある細胞です。

単球は、リンパ球より大型の単核細胞です。

血液中を循環しており、脾臓や肺胞などの組織に移行・定着することで、最終的にマクロファージと呼ばれる食細胞に分化します。

マクロファージには強い貧食能、殺菌能および抗原提示能があり、病原体(外来抗原)の直接的排除ならびにリンパ球への抗原の受け渡しを主な役割としています。

病原体に侵入された細胞を破壊する細胞

NK細胞(ナチュラルキラー細胞)

NK細胞は、ウイルスに感染した細胞やがん細胞を破壊する細胞です。

NK細胞は、穎粒を有したリンパ球様細胞で、末梢血には15%前後存在します。

自然免疫に関与し、大きさはリンパ球よりも大きいです。

強いインターフェロン‐γ産生能を有しています。

NKT細胞(ナチュラルキラーT細胞)

NKT細胞は、NK細胞と同様に、ウイルスに感染した細胞やがん細胞を破壊する細胞です。

NKT細胞は胸腺外で分化し、NK細胞とT細胞の両方の性質をもっています。

腫瘍免疫に重要な役割をしており、NK細胞抗原レセプターとT細胞抗原レセプターの両方を発現しています。

そのほかの細胞

リンパ球

リンパ球は、小型の単核細胞です。

核の占有率は高く、細胞質はわずかです。

また、穎粒を有しません。

さらに、リンパ球の細胞表面には、病原体の一部(抗原)を特異的に認識する抗原受容体が発現しています。

リンパ球の分類

リンパ球は、胸腺(thymus)で分化・成熟する「Tリンパ球」、および、骨髄(bonemarrow)で分化・成熟する「Bリンパ球」の2種類に大別されます。

Tリンパ球は、常者末梢血中リンパ球の70~80%を占め、Bリンパ球は、健常成人末梢血リンパ球の5~15%を占めます。

・Tリンパ球

Tリンパ球は、さらに、いくつかのグループに分類されます。

例えば、抗体の産生や他の免疫担当細胞の活性化を補助する「ヘルパーTリンパ球(Th)」や、感染細胞や腫瘍細胞を攻撃する「細胞傷害性Tリンパ球(Tc)」や、過剰な免疫応答を抑制する「調節性Tリンパ球(Tr)」などです。

Tリンパ球は、細胞表面にT細胞受容体(TCR)を発現し、さらに、CD4またはCD8分子を発現しています。

Tリンパ球は、それ自体では抗原を直接認識することはできず、マクロファージ・樹状細胞などによる抗原提示が必要です。

・Bリンパ球

Bリンパ球は、細胞表面に、Tリンパ球とは異なった抗原受容体(BCR)が存在します。

Bリンパ球は、BCRを介して抗原を直接認識して活性化し、最終的に形質細胞に分化して免疫グロブリン(抗体)を分泌します。

リンパ球の循環

リンパ球は骨髄で生まれ、リンパ節、胸腺、扁桃、脾臓、腸管のバイエル板(これらの器官は「リンパ組織」と呼ばれています)に多く存在します。

リンパ球はひとつの場所にとどまっておらず、リンパ球は各リンパ組織から血管(またはリンパ管)というふうに絶えず体内を循環しています。

このリンパ球の循環(特にあるリンパ組織から循環し、再びもとのリンパ組織に戻ってくること)をリンパ球の「ホーミング:homing」といいます。

参考:リンパ管について

ヒトの体には血管のほかにもう一つ、リンパ管という管が、組織のすみずみまで分布しています。

リンパ管には、小さい穴が多数あり、まわりの組織から出た水分、分泌物(組織液)、組織中のリンパ球・マクロファージ・樹状細胞などがその穴からリンパ管に入ります。

末梢のリンパ管は体の中心部に向かっていくうちに合流し、リンパ本幹に集められ、リンパ液は、最後に太い静脈に注ぎ込まれます。

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病気

感染症の定義

定義

感染(infection)とは、微生物が、付着した場所で定着し、分裂・増殖することです。

微生物が、ヒトの排除能力(免疫など)を超えて侵襲するとき、「感染」が成立します。

生体にさまざまな障害が現れた場合、発病(発症)となり、この状態を「感染症」といいます。

参考

潜伏期

感染してから発病(発症)に至るまでの時期を、潜伏期(incubation period)」といいます。

ただし、感染した場合でも、すべて発病(発症)するわけではありません。感染しているが発病していない状態を特に「不顕性感染」といいます。

日和見感染

正常のヒトに感染しないが、排除能力の低下に伴い侵襲能力の弱い微生物が感染することは「日和見感染」と呼ばれ、また、日和見感染を受けやすい宿主は、「易感染宿主」と呼ばれます。

病原体

ヒトに侵襲能力をもつ微生物は、病原体(病原菌)と呼ばれます。

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医療従事者向け

カルバペネマーゼとは?

βラクタマーゼ

βラクタマーゼは、βラクタム環をもつ薬を分解する酵素で、様々な種類があります。

Amberの分類によれば、遺伝学的に、クラスAからDまで4分類されています。

カルバペネマーゼ

βラクタマーゼのうち、カルバペネムを分解できるβラクタマーゼを、カルバペネマーゼと呼びます。

なお、カルバペネマーゼは、基本的に、カルバペネム以外のβラクタム薬も分解できます。

カルバペネマーゼの種類

カルバペネマーゼは、活性中心の構造により、メタロβラクタマーゼに分類されるものと、セリンβラクタマーゼに分解されるものとに分けられます。

メタロβラクタマーゼに分類されるものには、IMP型、NDM型、VIM型などがあります。

一方、セリンβラクタマーゼに分類されるものには、KPC型、OXA-48型、GES型、IMI/NMC-A型などがあります。

なお、カルバペネマーゼの日本での検出数は、IMP型が多いようです。具体的には、IMP-1や、IMP-6です。

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医療

自然免疫と獲得免疫

免疫とは

免疫とは、「一度、ある病原微生物が原因で感染症になったら、同じ病原微生物に対する抵抗力が飛躍的に上がる(二度とその感染症にはかからない)」という現象のことをいいます。

免疫という言葉の由来

たとえば、麻疹(はしか)や水疱瘡(みずぼうそう)に一度かかったら、二度目はかからないことが多いです。

このような現象を確認し、一般化したのは、「免疫学の父」といわれるルイ・パスツールです。

彼はそれを「二度なし現象」と表現し、それが「免疫」という言葉の元来の意味です。

自然免疫と獲得免疫

私たちが接触する病原微生物は、おおまかに、「細菌」、「ウイルス」、「真菌(カビ)」、「寄生虫」に分類できます。

そして、それらの感染(体内への侵入・増殖)によって何らかの症状が出るのが、「感染症」と呼ばれる病気です。

感染の原因である病原体を排除するため、ヒトは、自然免疫(先天免疫)と、獲得免疫(後天免疫)の防御機構をもっています。

自然免疫

自然免疫は、ヒトがもともと備えている防御機構で、主につぎの因子が関与します。

・補体
・インターフェロン
・好中球
・マクロファージ

たとえば、皮膚に傷つき、そこから細菌が侵入してきた場合、皮下組織まで侵入してきた細菌は、マクロファージに食べられます。

細菌などの異物の侵入を察知したマクロファージは、他のマクロファージや、好中球を近くに呼び寄せる物質(ケモカイン=遊走因子)を放出します。

この非特異的な防御が自然免疫(自然抵抗性)と呼ばれます。

なお、マクロファージは体内の各組織に点在しているのに対し、好中球のほとんどは、血管中に存在するため、好中球が組織中に移動するためには、ケモカインの働きが重要になります。

獲得免疫

獲得免疫は、病原体に感染することにより、初めて獲得される免疫応答です。

獲得免疫は、さらに体液性免疫と細胞性免疫とに分類されます。

前者は「Bリンパ球」と「抗体」が、後者は「Tリンパ球」が中心的に関与します。

自然免疫と獲得免疫の違い

自然免疫(自然抵抗性)は、その感染をくり返しても、抵抗力が強くなるわけではありません。

これに対して、獲得免疫の特徴は、異物に対する反応が特異的・長期間に記憶され、同一の病原体に再度感染した場合に、素早く対応できる点です。