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遠隔医療

遠隔診療の初診が対面の理由

いまのところ、病気の患者さんが遠隔診療を開始するためには、初診を対面診療で行なうことが必要です。

患者にとっては、遠隔診療を利用したいのに、対面診療をしなければならないという点に不満を持つかもしれません。

しかし、これには理由がありますので解説します。

理由1:健康保険のルールの影響

保険診療を遠隔(オンライン)でするとき、実は、健康保険上の制限があります。

それは、初診料の加算ができないことです。

つまり、いまの健康保険のルールでは、初診を遠隔診療にしたときは、病院は、患者に「初診料」を請求することができません。

したがって、病院は、初診料を受け取るべく、初診を対面診察にしています。

ただし、病院が、初診料の受け取りを諦めるのであれば、初診を遠隔診療にすることが可能です。

しかし、実際には、そのような運用を、する医療機関は稀と言えるでしょう。

理由2: 行政の見解

遠隔診療では、患者から得られる情報に限りがあるため、不正確な診断がされるリスクがあります。

このリスクを不安視して、現在の行政は、「保険診療の初診は、対面診療を原則とすべき」との見解を示しています。

行政の見解を無視することはできないため、現在の遠隔診療サービスは、基本的に、開始前に対面診療で初診を行なうことを原則とする運用がなされています。

参考:法律

なお、保険診療の初診を、遠隔(オンライン)ですること自体は、法律的には問題ありません。

ただし、初診から最後まで遠隔診療で完結させた場合には、医師法に違反するというのが現在の考え方です。

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遠隔医療

遠隔診療と法律

医師法には遠隔診療えんかくしんりょうを認める明文の規定はありませんが、行政は、法解釈により遠隔診療を認めています。

ただし、行政は、遠隔診療について、対面診療たいめんしんりょうと組み合わせるべき」と、一定の制限が必要という考えを明らかにしています。

ここでは、この制限について、法律を交えて解説します。

医師法との関係

まず、医師法は、医師が自ら診察しないで治療をしたり診断書や処方せんを交付したりすることを禁止しています(医師法第20条)。

遠隔診療が、ここでいう「診察」に該当するのであれば、何も問題はありません。

しかし、医師法には、遠隔診療がここでいう「診察」にあたることを明示した規定がありません。

したがって、医師法第20条をどのように読み解くのか(すなわち法解釈)が問題になります。

行政解釈

この問題について、行政は、医学的に妥当な内容であれば、遠隔診療も、医師法第20条にいう「診察」にあたると解釈しています。

ただし、行政の解釈では、遠隔診療は、あくまでも直接の対面診療たいめんしんりょうを補完するものとして位置付けられており、始めから終わりまでの全てを遠隔診療で済ませることは「診察」にはあたらないとされています。

つまり、行政は、遠隔診療だけで診療を完結させることは、医師法第20に違反する違法行為であると考えています。

実際の運用

上記の行政解釈を受けて、現在の遠隔診療は、医師法第20違反との指摘を受けないよう、対面診療を組み合わせて運用されています。

たとえば、仕事が忙しく、なかなか病院へ行けない在宅の糖尿病の患者さんに遠隔診療をするとき、3回の診察のうち1回は対面診療にするなどの運用がなされています。

ただし、対面診療をどれくらいの頻度で組み合わせたら良いのかについては、行政は基準を示していません。

対面診療の頻度は、患者さんの病状や居住地などに合わせて、常識的な範囲で調節されるべきものと言えるでしょう。

今後への期待

なお、今後もしも行政が医師法20条の解釈を変えたり、国会によって医師法20条が改正されたりした場合には、遠隔診療だけで診療を完結させられるようになるかもしれません。

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医療従事者向け

ベルトトランセクト法とは

ベルトトランセクト法とは、汀線(ていせん)に対し直角に設定した測線に沿って、1辺が 25cm、または 50cm の方形枠(コドラ ート)内の生物付着状況(種類、個体数、被度など)を目視で記録する方法をいいます。

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化学

ケトースとは?

ケトースとは、単糖のうち、ケト基を含むものをいいます。

一般的に、炭素数nのケトースは、n-3個の不斉炭素を持ちます。

たとえば、代表的なトリオース(三炭糖)であるジヒドロキシアセトンは、ケト基をもつケトースです。

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化学

身の回りの高分子

身の回りの高分子には、たとえば容器や繊維があります。

容器

身近な容器であるペットボトルはPET(ポリエチレンテレフタレート)からできています。

また、スーパーで見かけるような白い皿は、ポリスチレンからできています。

家電製品のキャビネットには、ポリプロピレンが中心となっていることが多いです。

さらに、バケツには、ポリ塩化ビニルや、ポリエチレンが用いられています。

繊維

繊維は、天然繊維と、合成繊維に分類され、身近では、衣服や装飾品に用いられています。

天然繊維の代表例は、綿(コットン)、麻、毛(ウール)、カシミヤ、絹(シルク)などです。

合成繊維の代表例は、ナイロンと、ポリエステルです。

ナイロンは、単位分子がカルボキシル基COOHとアミノ基CONHとの間の「アミド結合」によって結合したものです。

また、ポリエステルは、単位分子がカルボキシル基COOHとヒドロキシル基OHとの間の「エステル結合」によって結合したものです。

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医療従事者向け

比濁法と比ろう法の違いとは?

「比濁法」は、吸光度測定法により測定します。

すなわち、試料を通る光(透過光)の減衰(=「吸光度」)を自動分析器で計測して検体に含まれる物質量を測定する方法です。

これに対して、「比ろう法」は、散乱光測定法により測定します。

すなわち、 試料により散乱された光(散乱光)の増幅を自動分析器で計測して検体に含まれる物質量を測定する方法です。

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化学

スピュー切れとは

スピューとは?

一般に、タイヤの加硫用の金型には、加硫故障を防止するため、
グリーンタイヤとモールドとの間の気体を逃がすためのベントホールが、多数設けてあります。

このベントホールには、グリーンタイヤをモールド内面に押し当てて気体を排出した後、未加硫のゴムが流れ込みます。流れ込んだ未加硫のゴムは、タイヤを加硫したときに、タイヤ表面にヒゲ状の突起となって残ります。

このヒゲが、「スピュー」です。

スピュー切れとは?

スピューがトレッド踏面部の法線方向に沿って延びている場合、タイヤの加硫金型の型開き時に、スピューが切れてしまいます。

これを「スピュー切れ」といいます。

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化学

BET比表面積とは?

BET比表面積について解説します。

そもそも、比表面積とは?

ある物体の単位質量あたりの表面積のことを、「比表面積」といいます。
単位は「m2/g」や、「mm2/g」、あるいは「nm2/g」などです。

物体が粒子の場合、一般的には、比表面積が大きいほど粒子は細かいことになります。ただし、表面の構造が複雑なものほど、比表面積の値は大きくなるため、必ずしも、比表面積の値が、粒子の大きさを反映するとは限りません。

粒子の比表面積の測定法には、
・BET法
・液体吸着法
・浸漬熱法
・透過法

などがあります。

では、BET比表面積とは?

BET法で求めた比表面積を、「BET比表面積」といいます。

BET法は、窒素(N)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、酸化炭素(CO)などの気体分子を固体粒子に吸着させ、吸着した気体分子の量から固体粒子の比表面積を測定する気体吸着法です。

具体的には、まず、圧力(P)吸着量(V)との関係からBET式(Brunauer,Emmet and Teller’s equation)によって、単分子吸着量(Vm)を求めます。なお、Vmは、固体粒子の表面に吸着した気体分子の質量です。

そして、気体分子の吸着断面積(Am)などを用いて、固体粒子の比表面積を求めます。なお、吸着断面積は、分子1つあたりの占有面積のことで、「分子占有面積」とも呼ばれます。

比表面積は、下記の式により算出できます。

比表面積 =(Vm×N/M)×Am

なお、Nはアボガドロ数(6.02×1023mol−1)、Mは気体分子の分子量(=気体分子1つの質量×N)です。

この式では、吸着した分子数(Vm×N/M)に、分子1つあたりの占有面積Amを掛けています。

なお、窒素(N)の場合、吸着断面積は、0.162nm2であり、窒素を用いて測定したBET比表面積は、「窒素吸着比表面積」と呼ばれます。

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化学

共析と共晶の違いとは

共析とは、 一つの「固相」から二つの「固相」が同時に「析出」する現象です。

共晶は、一つの「融液」から二つの「固相」が同時に「晶出」する現象です。

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化学

冶金的接合法(やきんてきせつごうほう)とは?

冶金的接合法(やきんてきせつごうほう)とは、金属が持つ特性を利用して接合する方法です。

たとえば、以下の接合方法があります。

・金属の接合部を局部的に溶融接合する方法(溶接)

・加熱した接合部に圧力を加えて接合する方法(圧着)