尿中の非糸球体型赤血球と糸球体型赤血球とについて解説します。
非糸球体型の赤血球
下部尿路系の出血(非糸球体性)では、赤血球は、同一標本上では、大きさにバラツキはあっても、形態がほぼ均一で単調です。
このような尿中赤血球形態を示すものは、非糸球体型赤血球あるいは均一赤血球(isomorphic RBC)と呼ばれます。
小分類には、『円盤状赤血球』、『球状赤血球』、『円盤•球状移行型赤血球』、『膜部顆粒成分凝集状脱ヘモグロビン赤血球』があります。
非糸球体型赤血球には、尿浸透圧や尿 pH などにより、萎縮状や膨化状、円盤状、球状などの形態を示すものも含まれます。
糸球体型の赤血球
糸球体からの出血(糸球体性)では、赤血球は、不均一な形態を呈し大小不同または小球性を示します。
形状はコブ状、ドーナツ状、標的状など多彩です。
このような尿中赤血球形態を示すものは、糸球体型赤血球あるいは変形赤血球(dysmorphic RBC)と呼ばれます。
小分類には、『有棘状不均一赤血球』、『ドーナツ状不均一赤血球』、『ドーナツ•有棘状不均一混合型赤血球』があります。
赤血球円柱をはじめ種々の円柱や蛋白尿を伴う場合が多くなります。
なお、糸球体糸球体型赤血球の出現機序については諸説あり、1)赤血球が糸球体基底膜を通過する際に赤血球膜に機械的損傷を受けるため変形するとの説、2)赤血球がネフロンを通過する際に急激な浸透圧変化を受けるために変形するとの説、3)その両方であるとする説があります。
鑑別のポイント
両者は、赤血球のくぼみの形状が均一か、そうでないかが、鑑別のポイントとなります。
一般的に、「非糸球体型」の赤血球は、赤血球の中央部分(くぼみ部分)の膜の形状が均一で、丸くくぼんでいます。
一方、糸球体型の赤血球は、くぼみの形状が、不均一でいびつな形状をしています。これは、糸球体型赤血球の多くが、脱ヘモグロビンの状態にあることと関連しています。
なお、判断が難しいものとして、『コブ赤血球』、『球状赤血球』がありますが、これらのうち、穴があいていないものや、穴があっても穴の小さいものは、「非糸球体型」の赤血球であり、それら以外は、「糸球体型」であると考えられています。
また、『ドーナツ型赤血球』については、辺縁が丸く均一なものは、「非糸球体型」の赤血球であり、穴が大きいものや、穴の形状がいびつなものは、「糸球体型」の赤血球であると考えられています。