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腫瘍マーカーの種類

腫瘍マーカーとは、癌の診断、癌の病状の経過や、癌の予後の指標となるものです。

腫瘍マーカーは、下記の5種類に分類されます。

①癌胎児性蛋白質
②癌関連抗原
③アイソザイム(正常と異なるアイソザイムパターン)
④ホルモン(ホルモンの異常)
⑤癌関連遺伝子または産物

測定法としては、腫瘍が小さいときには極めて微量しか存在しないので、RIA法、EIA法、ラテックス凝集法、IRMA法、化学発光免疫測定(CIA)法などが用いられます。

腫瘍マーカーの具体例

AFP(α胎児タンパク)

AFPは、590個のアミノ酸からなり、1本の糖鎖をもつ蛋白質です(分子量約7万)。

AFPは、肝細胞の描化に伴い、産生されるようになります。

成人では、肝細胞癌で要請率が高く、乳幼児では卵黄嚢腫で陽性率が高いです。

成人の上限基準値は4ng/mlです。

一般には、10または20ngを低濃度カットオフ値とし、400ngを高濃度カットオフ値とします。

境界域では、良性の肝疾患、早期汗癌、転移性の肝癌などが認められます。

高濃度カットオフ値(400ng)を超えた場合、肝癌が疑われます。

なお、実際の診断では、PIVKA-Ⅱなど他の腫瘍マーカーとともに病態が判断されます。

CEA(癌胎児性抗原)

大腸癌から抽出される抗原ですが、正常の胎児の大腸にも存在するため、このように呼ばれています。

CEAは分子逓約18万の酸可溶性糖蛋白であり、ペプチド部分は668個のアミノ酸よりなります。

特定方法としては、モノクロナール抗体を使った高感度の免疫測定法です。

カットオフ値は、測定環境ごとに異なります。

たとえば、2.5ng/ml、3.5ng/ml、4.0ng/ml、5.0ng/ml、10ng/mlといった具合です。

すい癌、胆道がん、大腸がんで陽性となる確率が高いです。

なお、陽性率の高い順に転移性肝癌、大腸癌、膵癌、胆道癌、胃癌となります。

CA19-9

CA19-9は、CEA、AFPに次いで広く利用されています。

CA19-9は、大腸がん培養細胞SW1116を免疫原として、マウスを免疫して作成したモノクロナール抗体NS19-9が認識する抗原として定義されていました。

ただし、エピトープがシアリルLe^aであることが判明した後、シアリルLe^aに対するモノクロナール抗体を使用した測定キットが開発されて以降、その定義は曖昧になっています。

カットオフ値は、測定環境ごとに異なります。

膵臓がん、胆道がん、大腸がんで陽性となることが多いです。

ほかには、陽性率の高い順に、胆嚢癌、胆管癌、胃癌、肝癌、腸癌などがあります。

PSA

PSAは、分子量が約33000の、前立腺に存在するセリンプロテアーゼです。

血清中では大部分はα1アンチキモトリプシン(ACT)などと結合しています。

PSAの機能としては、キモトリプシン様活性をもつため、精漿の凝固阻止などに働きます。

臨床的意義ですが、前立腺癌のスクリーニングや早期診断に広く用いられています。

鑑別には、PSA密度(PSA値/前立腺体積)が0.58以上、PSA速度(PSA増加速度/年)が0.75μg/年以上、PSA-ACT値/総PSA値の比が0.66以上となれば、前立腺癌の可能性が高いといわれています。

また、陽性を示す場合には、前立腺がんのほかにも、前立腺肥大症や、前立腺への機械的な刺激があった場合が知られています。

PIVKA-II

血液凝固因子の第2因子は肝臓で合成されますが、この第2因子は、ビタミンKが合成に必要です。
しかし、ビタミンKが欠乏すると、活性をもたない「PIVKA-II」、すなわち、protein induced by vitamin K absence or antagonist-II)が合成されます。
PIVKA-IIは、肝細胞癌は50~60%の場性率を示します。
ほかにも、新生児出血症、長期経静脈栄養、閉塞性黄疸、ワーファリン投与など、ビタミンK欠乏により増加します。
なお、肝癌は、AFPとの組み合わせで診断率が上昇します。

CA125

CA125は、ヒト卵巣の漿液性癌由来の培養系(OVCA433)を用いて作製したモノクローナル抗体「OC12」により認識される抗原です。

基準値は、35以下(U/ml)です。

CA125は、卵巣癌では陽性率が極めて高く、漿液性で約90%、粘液性で約60%です。

そのほか、肝癌、胆謹癌、膵癌、子宮内膜癌などでも、では30~50%程度の陽性率を示します。

また、腹膜炎や胸膜炎でも陽性を呈するとも言われています。

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急性腎障害AKIと慢性腎臓病CKD

急性腎障害AKI

急激に腎機能が低下します(48時間以内)。

血清クレアチニン値が、0.3mg/dl以上上昇したり、1.5倍以上に上昇したりします。

または、尿量が0.5ml/kg/時 以下が6時間以上続きます。

慢性腎臓病CKD

各種検査で腎障害が明らかであること、特に、0.15g/gCr以上の蛋白尿(30mg/gCr以上のアルブミン尿)の存在と、GFRが60ml/min/1.73m2未満であることが重要です。

AKIとCKDの違い

進行速度

急性腎障害AKIは、時間・日単位で早く悪化します。

慢性腎臓病CKDは、年単位でゆっくり悪化します。

原因

急性腎障害AKIは、脱水、ショック、薬物、手術、急速進行性糸球体腎炎、急性間質性腎炎などが原因です。

一番多い原因は、敗血症といわれます。

慢性腎臓病CKDは、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、腎硬化症などが原因です。

治療方針

急性腎障害AKIは、腎機能の回復を目的に治療します。

慢性腎臓病CKDは、腎機能の悪化を防ぐ目的で治療します。

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病気

穿刺液の検査(漿液・髄液)

穿刺液とは

体内には、いくつかの体腔が存在し、体腔は、外界から遮断されています。

体腔は、内臓を覆っており、少量の体液が存在しています(潤滑油の役割)。

このため、臓器同士の摩擦が防がれたり、外界の震動による臓器の損傷が防がれたりします。

体腔のうち、主なものは「漿膜」、「脈絡膜」および「滑膜」に分けられ、少量の体液が存在します。

それぞれ順に、「漿液」、「脳脊髄液」および「滑液(関節液)」と呼ばれます。

各体液の成分は、漏出する血漿が主成分です。それゆえ、癌や炎症があると、そこからの成分が混入することがあります。

漿液の検査

漿膜と漿液

漿膜は、1層の扁平な中皮細胞で覆われており、疎性結合織の薄い層からなっています。

漿液は、血漿成分が濾過されたものであり、組織由来の物質はほとんど混入していません。

漿液は、漏出液と、滲出液に分類されます。

主な漿膜腔は、「胸膜腔」、「腹膜腔」および「心膜腔」です。

それぞれ少量の「胸水」、「腹水」および「心膜液(心嚢液)」が入っています。

漿液の検査

正常では、体腔にはごく少量の漿液が貯留しています。

しかし、病的な状態では、多量の漿液が貯留する場合があります。

このような場合、漿液の検査をするために、穿刺針を体腔に刺入し、無菌的に吸引して検査します。

漿液の検査では、主につぎのような検査をします。

①一般検査

・漿液の量,外観,異物の有無
・比重、pH
・蛋白量
・リバルタ反応
・漿液沈漬の鏡検

②微生物検査

③細胞診

髄液の検査

髄液について

脳脊髄液(通称「髄液」)は、主に、脳室にある脈絡膜層で作られます。

Luschka孔と、Magendie孔を通ってクモ膜下腔に出て、上方と下方に流れて脳表面、脊髄表面、神経根を潤して循環しています。

髄液の吸収は主としてクモ膜絨毛から静脈洞へと行われます。

髄液の総量は,正常成人で90~150ml程度です。

髄液の産生量は、正常人では1時間に15ml程度と考えられており、病的には、400mlにも及ぶとされています。

髄液の採取

通常は、第3、4腰椎間腔に針を刺して行う腰椎穿刺によって髄液を採取します。ときには後頭下穿刺や、脳室穿刺によります。

髄液の検査

髄液の検査には、たとえば以下のものがあります。

①一般検査
・髄液の色調・混濁の確認、浮遊物の有無の確認
・細胞数の算定、細胞の種類の確認
・グロブリン反応
・膠質反応

②生化学的定量検査
・蛋白、糖、酵素など
・電解質、Pco2、HCO3-、pH
・髄液蛋白分画、免疫グロブリン定量

③微生物検査

④血清検査(主に梅毒血清反応)

⑤細胞診

髄液の異常

外観

髄液は、通常、無色透明です。

しかし、細胞成分が混入すると、髄液は混濁し、また、血液が混入すると、血性となります。

細胞成分

髄液は、通常、細胞数は、0~5個/ml のリンパ球を含むのみです。

しかし、細胞数が10を超えると、神経系の炎症などを意味します。

好中球の増加であれば細菌性感染を、リンパ球の増加であれば、ウイルス、寄生虫、トレポネーマなどを疑います。

また、腫瘍細胞が見られる場合、神経系の腫瘍を疑います。

病原微生物

髄液から検出される菌には、細菌(髄膜炎菌、結核菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌)、スピロヘータ(梅毒トレポネーマ、レプトスピラ)、真菌(クリプトコッカス)、原虫(トキソプラズマ)、種々のウイルスがあります。

タンパク

正常では、タンパク濃度は14~45mg/dl 程度です。

増加する場合には、①血清タンパクの増加に影響される場合、②血液‐髄液関門が破壊された場合、③クモ膜下が閉塞し、髄液がうっ滞する場合、④免疫グロブリンの局所産生の増加する場合などです。

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検査

重炭酸イオン・炭酸ガス分圧について

代謝について

二酸化炭素(CO2)は、水と反応後、電離して重炭酸イオン(炭酸水素イオン)になります。

重炭酸イオン+クロールイオンは、体液中の総陰イオンの約85%を占めます。

重炭酸イオンの大部分は、塩基と結合して「重炭酸塩」として存在します。

重炭酸塩は、炭酸・重炭酸緩衝系を形成し、血液のPHの維持に重要な役割を担っています。

血中のHCO3イオン濃度は、肺や腎臓で調節されています。

検体について

重炭酸イオンと炭酸ガス分圧は、血液ガスの項目として、一般に、動脈血で測定されます。

動脈血は、採血後に、直ちに空気と遮断しながら測定します。

基準範囲

重炭酸イオン(HCO3)の基準範囲は、23~28mEq/L(23~28 mmol/L)です。

血液炭酸ガス分圧の基準範囲は、35~45mmHgです。

なお、血液酸素分圧の基準範囲は、75~115mmHg、血液水素イオン濃度の基準範囲は、pH7.35~7.45です。

臨床的意義

血液中の重炭酸イオン濃度は、腎臓からの水素イオンの排出、肺からの二酸化炭素の放出、および、尿細管からの重炭酸イオンの再吸収によって調節されています。

重炭酸イオン(HCO3-)が高値を示す場合には、嘔吐(H+の喪失)、低K血症、呼吸性アシドーシスなどがあり、低値を示す場合には、糖尿病ケトアシドーシスや、腎不全などの排泄障害などがあります。

また、動脈血酸素分圧(pO2)と、動脈血炭酸ガス分圧(pCO2)は心肺機能と腎機能、さらには、全身的機能の診断に用いる指標となります。

炭酸ガス分圧が上昇する場合には、呼吸性アシドーシスによる場合、原発性アルドステロン症、嘔吐、低K血症などがあり、低値を示す場合には、過換気症候群、肺炎、肺線維症の呼吸性アルカローシス、腎不全、糖尿病などがあります。

測定法

pO2とpCO2は、電極法による血液ガス分析装置により測定されることが多いようです。

重炭酸イオンは、pO2、pCO2、PH、および、ヘモグロビン濃度から算出されます。

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視床下部と甲状腺の機能と役割

以下では、互いに強く関連する視床下部と甲状腺の機能と役割について解説します。

視床下部と甲状腺

甲状腺は、右葉と左葉とからなり、気管の左右に位置します。

甲状腺を形作るのは、甲状腺濾胞です。濾胞の壁は、「濾胞細胞」という細胞からなります。

濾胞細胞は、サイロキシンおよびトリヨードサイロニンという2種類のホルモンを産生し、これらのホルモンは、濾胞細胞の中心に蓄えられます。

ちなみに、サイロキシンは、ヨウ素を4つもつため、T4とも呼ばれ、また、トリヨードサイロニンは、ヨウ素を3つもつため、T3とも呼ばれます。T4は、細胞により取り込まれると、多くの場合、ヨウ素を1つ失い、T3に変換されます。

さらに、濾胞と濾胞との間には、「傍濾胞細胞」という少数の細胞があり、カルシトニンを産生します。

T4とT3の作用

体内のほとんどの細胞は、甲状腺ホルモン受容体を持っています。

タンパク合成、ATP産生、トリグリセリドの分解、神経系の成長促進などの作用を及ぼします。

T4とT3の分泌量の調節

基本的に、視床下部の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)と、下垂体前葉の甲状腺刺激ホルモン(TSH)により、血中の甲状腺ホルモンの分泌量は調節されます。

なお、血中のヨウ素濃度が上昇すると、甲状腺ホルモンの分泌は抑制されます。

カルシトニンの作用

カルシトニンは、骨基質を破壊する破骨細胞の活動を抑制します。

これにより、血中Caの濃度を低下させます。

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視床下部と下垂体の機能と役割

以下では、互いに強く関連する視床下部と下垂体の機能と役割について解説します。

視床下部と下垂体

視床下部のニューロンは、「神経分泌細胞」と呼ばれ、その軸策は視床下部の毛細血管の近くに終わり、そこから血中にいくつかのホルモンを分泌します。

視床下部から分泌されたホルモンは、下垂体に作用します。

なお、視床下部の毛細血管と、下垂体前葉の毛細血管とをつないでいるのは、下垂体門脈(静脈)です。

下垂体前葉ホルモン

下垂体前葉は、「成長ホルモン」、「甲状腺刺激ホルモン」、「卵胞刺激ホルモン」、「黄体化ホルモン」、「プロラクチン」、「副腎皮質刺激ホルモン」を分泌します。

①成長ホルモン(GH)

下垂体前葉の中で一番豊富なホルモンであり、その分泌量は、視床下部から放出される「成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)」および「成長ホルモン抑制ホルモン(GHIH)」によって調節されます。

成長ホルモンは、インスリン様成長因子IGFの合成と分泌を促進します。IGFは、肝臓、骨格筋、骨などからGHに応答して分泌されます。

IGFは、タンパクの合成の刺激します。また、筋量と骨量の維持、脂肪組織での脂肪分解、肝臓でのグリコーゲン分解などを助けます。

なお、GHRHおよびGHIHは、主に血中のグルコース濃度により調節されます。すなわち、低血糖の場合、視床下部が刺激され、GHRH分泌が促進されます。逆に、高血糖の場合、GHRH分泌が抑制され、GHIH分泌が促進されます。

②甲状腺刺激ホルモン(TSH)

甲状腺刺激穂ホルモン(TSH)は、甲状腺を刺激して、甲状腺ホルモンの合成と分泌を促進します。

TSHの分泌量は、サイロトロピン放出ホルモン(TRH)という視床下部から放出されるホルモンによって調節されます。

なお、TRHの分泌は、甲状腺ホルモンの血中濃度に依存します。つまり、ネガティブフィードバックによって、TRH分泌は促進あるいは抑制されます。

③卵包刺激ホルモン(FSH)および黄体化ホルモン(LH)

女性では、卵包刺激ホルモン(FSH)は、毎月、数個の卵胞の成長を開始させ、黄体化ホルモン(LH)は、排卵のトリガーとなります。排卵後、LHは卵胞の黄体形成と、黄体からのプロゲステロンの分泌を刺激し、さらに、FSHおよびLHは、エストロゲン分泌を刺激します。

男性では、FSHは、清掃での精子形成を刺激し、LHは、清掃からのテストステロン分泌を刺激します。

なお、性腺刺激ホルモン(ゴナトトロピン)と放出ホルモン(GnRH)は、 FSHおよびLHの分泌を刺激します。また、女性ではエストロゲン、男性ではテストステロンが、GnRH、FSH、LHの分泌を抑制します。

④プロラクチン(PRL)

プロラクチンは、乳腺での乳汁の産生を促進します。

プロラクチンの放出は、プロラクチン抑制ホルモン(PIH)により抑制されています。

女性では、生理前にPIHが減少し、プロラクチンの血中レベルが上昇します。生理が始まると、PIHが分泌され、プロラクチンの血中レベルが低下します。妊娠中は、エストロゲン濃度が高くなり、このエストロゲンがプロラクチン放出ホルモンの分泌を促し、結果、プロラクチンの放出が刺激されます。

⑤副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)

副腎皮質刺激ホルモン(コルチコトロピン:ACTH)は、副腎の皮質から分泌されるグルココルチコイド(糖質コルチコイド)と呼ばれるホルモンの産生と分泌を促します。

なお、グルココルチコイドは、ネガティブフィードバックにより、CRHとACTHの両方の分泌を抑制します。

下垂体後葉ホルモン

下垂体後葉には、1万個以上の神経分泌細胞の軸索と、その神経終末があります。

神経分泌細胞は、細胞体の中で、オキシトシンと、抗利尿ホルモン(ADH)を合成し、それらのホルモンを、分泌小胞に詰め込みます。小胞は、軸索を移動し、軸索の終末へ移動し、さらに、神経インパルスによって、ホルモンは、下垂体後葉の毛細血管網内へ放出されます。

下垂体後葉は、これら2つのホルモンを貯留し、放出します。

①オキシトシン

出産中と、主産後にオキシトシンは、子宮と乳房に作用します。

出産中は、子宮筋の平滑筋の収縮を増強します。

出産後は、新生児の吸入に応じて、乳汁の放出を促進します。

②抗利尿ホルモン(ADH)

抗利尿ホルモン(バソプレシン)は、腎臓に作用し、より多くの水分を血液に戻すように働きかけます(血圧上昇の効果もあり)。

なお、視床下部では、血液浸透圧をモニターしており、浸透圧受容器が、ADHの分泌量を調節します。

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検査

凝固検査の解説(Pt,APTT,フィブリノゲン,FDP,TT,HPT)

PT(プロトロンビン時間)について

外因系血液凝固系のスクリーニングには、PT(prothrombin:プロトロンビン時間)を用います。

外因性血液凝固系に関与する因子のうち、Caイオン、組織トロンボプラスチン以外のVII、X、V、Ⅱ(プロトロンビン)、Ⅰ(フイブリノゲン)の各因子により影響されます。

検体の準備

検体の準備では、クエン酸3Na溶液を1としたときに、血液を9の割合で混合します。

なお、採決の際は、皮下組織成分の混入をなるべく少なくすることが重要です。たとえば、注射器から試験管に血液を移す場合には、注射筒内の最後の血液1mlを、血液凝固検査には使用しないことが望ましいです。

採決後、遠心により、血漿を分離します。

基準値について

被検血漿に、Caイオンと組織抽出成分とを添加したときの、フィブリン塊形成までの凝固時間をチェックします。

注意点として、組織トロンボプラスチン製剤と測定装置の組み合わせにより、基準値には、施設間差が生じます。

施設間で凝固時間が一定しないことの主な原因は、組織トロンボプラスチン製剤が、動物組織からの粗抽出液であるために、同じ会社の製剤でもロットごとに活性が異なるからです。

そのため、検査ごとに、正常対照血漿を同時に測定し、その凝固時間と比較する必要がありますが、用いる指標としては、たとえば、以下のものがあります。

・プロトロンビン活性 (prothrombin activity %)

正常血漿を100%として、生理食塩水による希釈列から検量線を作成して活性を計算して求めます。基準値は80~100%となります。

・InternationalNormalizedRatio (INR)

その製剤により得られた、正常血漿の凝固時間(秒)と、検体血漿の凝固時間(秒)とから、プロトロンビン比を求め、以下の計算式により求めます。

INR = (検体血漿凝固時間/正常血漿凝固時間)^ISI

INRの基準値は、1.0±0.1 です。

なお、組織トロンボプラスチン製剤のISIは、1.0~2.3程度であり、ISIが大きい製剤は測定値のバラツキも大きいため、WHOはISIが1.7以下の製剤の使用を推奨しています。

PTが短縮する場合

DICなどの場合に、組織因子が流入して、PTの短縮が起こりえます。

実際には、採血時に皮下組織の組織トロンボプラスチンが混入した場合がほとんどです。

PTが延長する場合

先天性血液凝固因子異常

一部の血液凝固因子が先天的に欠乏していたり、活性に異常がある場合、PTは延長します。

なお、APTTの延長がなく、PTのみ延長するのは、VⅡ因子の欠乏または異常がある場合です。

肝細胞障害

PTに関する血液凝固因子の多くは、肝細胞で、ビタミンKに依存して合成されますので、肝細胞障害があるとPTは延長します。

ビタミンK欠乏症

Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ因子は、ビタミンK依存性因子であり、肝臓で合成されます。

ビタミンKが欠乏していると、異常構造をもった血液凝固因子が合成されてしまいます。

そういった因子は、正常の血液凝固活性をもたず、proteins inducedbyvitamin Kabsenceorantagonists (PIVKA)と呼ばれます。

経口抗凝血薬治療

ワーファリンのような経口抗凝血薬を投与すると、PTが延長します。

このような患者のモニタリングのために、定期的にPT値の測定が実施されます。

その他の出血傾向

ヘパリン投与や、線溶冗進状態などでも延長を示します。

APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)

内因系血液凝固系のスクリーニングには、APTT(activated partial thromboplastin time:活性化部分トロンボプラスチン時間)を用います。
透明なフィブリノゲンから白濁するフィブリン形成の瞬間を結果判定の終末点として利用しています。

検体の準備

Ptの項で記載したのと同様です。

検体の準備では、クエン酸3Na溶液を1としたときに、血液を9の割合で混合します。

なお、採決の際は、皮下組織成分の混入をなるべく少なくすることが重要です。たとえば、注射器から試験管に血液を移す場合には、注射筒内の最後の血液1mlを、血液凝固検査には使用しないことが望ましいです。

採決後、遠心により、血漿を分離します。

基準値について

自動分析機は、フィブリノゲンからフィブリン形成の終末点を自動的に検出します。

検出原理や、試薬などが異なれば測定値が異なるため、管理血漿の測定により、それぞれの検査室の基準値を設定しますがが、通常、血漿のAPTTは、30~40秒程度の凝固時間が得られます。

APTTが延長する場合

APTTの延長をきたす場合、循環性抗凝血素(循環抗凝固物質)が存在していることが考えられます。

循環抗凝固物質とは、通常、in vivoで特定の凝固因子を中和する自己抗体、または、in vitroで蛋白と結合したリン脂質を阻害する自己抗体のことです。

また、APTTの延長をきたす場合には、別の可能性として、「Ⅰ」、「Ⅱ」、「Ⅴ」、「Ⅹ」のいずれかの因子が欠乏している、あるいは、「VIII」、「IX」、「XI」、「XII」のいずれかの因子が欠乏していることが考えられます。

なお、各因子の欠乏を同定するには、各凝血因子の定量をします。

検体の保存

遠心後の血漿で測定します。

保存が必要な場合には,-80℃の冷凍庫に凍結します。

これは、不安定な凝固因子の不活性化を防ぐことが目的です。

注意点

検体には、適当な量のフィブリノゲンが血漿検体に含まれている必要がありますので、凝固時間の結果を判定する場合、フィブリノゲンが著しく減少していないことを確認する必要があります。

もしも、フイブリノゲンが200mg/dL以下である場合、フィブリン形成が悪くなるので凝固時間が延長する可能性があります。100mg/dL以下である場合には、明らかな凝固時間の延長が見られます。

フィブリノゲン

フィブリノゲンは、血液凝固因子です。

フィブリノゲンは、トロンビンの作用により、フィブリン塊となり、さらに、血液凝因子(XIII)により、安定化フィブリンとなります。

基準値

成人での基準値は200~400mg/dlです。

フィブリノゲンが増加する場合

フィブリノゲンは急性相反応蛋白の一つで、感染症、悪性腫瘍、自己免疫性疾患など、さまざまな疾患で400mg/dl以上に増加することがありますが、一般には、フイブリノゲンの低下が臨床的に問題となります。

フィブリノゲンが低下する場合

先天性の合成能低下の場合

低フィブリノゲン血症、無フィブリノゲン血症などがあります。

なお、異常フィブリノゲンでは、PTが延長したり、フィブリノゲン塊の形成が認められなかったりします。

後天性の合成能低下の場合

フィブリノゲンは肝細胞で合成されますので、重症の肝障害では、血漿フィブリノゲンが低下します。

消費の冗進する場合

播種性血管内凝固症候群(disseminatedintravaScularcoagulation:DIC)、広範な血栓症、大量出血、蛇毒製剤の投与などでは、フィブリノゲンの体内消費が進むため、血漿フイブリノゲンの測定値は減少します。

仮に線溶が充進すれば、フィブリノゲンの分解が進み、血漿フィブリノゲンが減少します。

測定の注意点

APTTやPTのような凝固検査では,検査結果を判定する終末点はすべて、フィブリノゲンからフィブリンヘの転化を利用していますので、検体血漿に十分な量のフィブリノゲン(200mg/dL以上)が含まれているか否かを確認する必要があります。

FDP

FDPとは

FDPとは、フィブリンやフィブリノゲンの分解産物です。

FDPは、fibrin/fbrinogen degradation products の略です。

FDPが血中に出てくるメカニズム

血液凝固機構では、フィブリノゲンからフイブリン網を形成し、血栓を補強します。

そして、トロンビンは、VⅢ因子を活性化し、フィブリン塊を安定化します。

しかし、損傷血管を元に修復し、再び血流を回復するためには、フイブリン塊を溶かすことが必要です。

その反応は、線維素溶解現象(線溶)といいます。

線溶活性が病的に冗進すると、フィブリン塊、さらには、フイブリノゲンを溶解してしまい、止血機構を阻害してしまいます。

ここで、血管内皮細胞で産生されるプラスミノゲンアクチベータ(組織プラスミノゲンアクチベータ:tPA)は、プラスミノゲンを活性化し、その活性化されたプラスミノゲン(プラスミンといいます)は、フィブリノゲンやフィブリンを分解します。

この分解された物質が、フィブリン/フィブリノゲン分解産物(fibrin/fbrinogen degradation products:FDP)です。

FDPの構造

フィブリノゲンが溶解するとき(一次線溶)、フィブリノゲン分子は、プラスミンの作用により、X分画およびY分画という中間産物を経て、最終的には2分子のD分画(Dmonomer)と1分子のE分画(Efragment)となります。

さらに、フィブリンが溶解するとき(二次線溶)、安定化フィブリンがプラスミンによって分解され、種々の高分子中間産物を経て、最終的にDダイマー(Ddimer)およびE分画になります。

一般的には、血管内ではフィブリンが分解されたものが主成分です。

測定上の注意点

FDP測定では血清検体を使いますが、フィブリノゲンやフイブリンモノマーが残存していると、それらの分解産物が測定されてしまい、誤差の要因となります。

また、線溶が亢進していると、血清分離までに線溶が進行してしまい、その後の測定値が、体内の状態を正確に反映しません。

正確に測定したい場合、採血時に抗プラスミン剤を加える必要がありますが、ラテックス粒子表面に抗フィプリノゲン抗体が付着しているので、リウマトイド因子が存在するときは偽陽性を示すことがあります。

FDPが高値を示す場合

FDPは一次線溶と二次線溶によって生じた分解産物を含みますので、FDPの測定により、腺溶冗進があるかどうかをチェックできます。

FDPの値が高いときは、Dダイマーを測定し、二次線溶が主として冗進しているかどうかを推定します。

FDPの高い場合として、以下の場合など考えられます。

血管内血栓形成

代表的なものとしては、播種性血管内凝固(DIC)、多発性の塞栓症があります。

肝疾患

劇症肝炎や肝硬変症のような重症な肝障害で、FDPは増加傾向を示します。これは、FDPの代謝が遅延して血中にうっ滞するためと考えられています。

トロンボテスト(TT)

トロンボテストは,活性の弱いウシ脳組織トロンボプラスチンと,第V因子を含むウシ吸着血漿を加え、第Ⅶや、X因子(ビタミンK依存性凝固因子)の変動を反映するよう工夫したものです。

トロンボテストは、経口抗凝血薬(ワーファリンなど) のモニタリングに用いられています。

へパプラスチンテスト(HPT)

トロンボテストではPIVKAの影響を受けるので、PIVKAの阻害作用を除去する目的で、ウシ脳の代わりにウサギ脳由来組織トロンボプラスチンを使用し、試薬に対する検体量を少なくしたのが「へパプラスチンテスト」です。

ヘパプラスチンテストは、ビタミンK依存性凝固因子の肝での産生能を評価するとされています。

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検査

赤血球のスクリーニング検査の種類

赤血球に関して、スクリーニング検査では、赤血球数(個/μL)、ヘマトクリット(全血に対する赤血球容積比)、および、ヘモグロビン濃度(g/dL)などが行われます。

赤血球数

基準値

男性で40万~70万/μl 程度、女性で30万~60万/μl 程度を基準とします。

男性では、加齢とともに低くなり、成人と比較し、60歳代で、20万/μl ほど低くなり、75歳以上で、50万/μl ほど低くなります。

女性では、加齢によっては、ほとんど変化しません。

測定法

従来、計算盤を使って顕微鏡でカウントしていました。近年は、自動計数器(電気抵抗法、静電容量法、あるいは光学的方法)を用いてカウントしています。

ヘモグロビン量

最も重視される検査です。酸素運搬に関わるヘモグロビン濃度を測定します。

基準値

男性で13~19 mg/dl 程度、女性で10~16 mg/dl を基準とします。

測定法

非シアン界面活性剤法、シアンメトH b法、オキシHb法、ザーリ・小宮法、アザイドヘモグロビン法、アルカリヘマチン法などの方法があります。

ヘマトクリット

基準値

男性で40~60程度、女性で35~50程度を基準とします。

測定法

ミクロヘマトクリッ卜法、ウインドローブ法(Wintrobe法)、導度測定法,パルス波高法などがあります。

現在は、検体を遠心することなく自動計数器で測定した電気伝導度または平均赤血球容積に基づいてHct値を求めています。

そのほか

平均赤血球容積(meancorpuscularvolume)、平均赤血球ヘモグロビン量(meancorpuscular hemoglobin)、平均赤血球ヘモグロビン濃度(meancorpuscula hemoglobinconcentration)なども、赤血球の指標として用いられます。

MCH

MCHの計算方法は、[ヘモグロビン濃度(g/dl)×10]/[赤血球数(10^6/μl)] から求められ、基準値は約32pgです。

MCV

MCVの計算方法は、[ヘマトクリット(%)×10]/[赤血球数(10^6/μl)] から求められ、基準値は約90flです。

MCHC(MCC)

MCHC(MCC)の計算方法は、[ヘモグロビン濃度(g/dl)×10]/ヘマトクリット(%)から求められ、基準値は約34%です。

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生物

血球の分化について

血球の分化

血球の分化は、全能性幹細胞からはじまります。

全能性幹細胞は、骨髄系幹細胞およびリンパ系幹細胞に分化します。

①骨髄系幹細胞

→ 顆粒球単球系幹細胞(顆粒球-マクロファージ系幹細胞)、赤血球系幹細胞、巨核球系幹細胞

顆粒球単球系幹細胞

→ 骨髄芽球→前骨髄球→骨髄球→顆粒球

あるいは

→ 単芽球、前単球、単球

赤血球系幹細胞

→ 前赤芽球→赤芽球→網状赤血球→赤血球

巨核球系幹細胞

→ 巨核芽球→巨核球→血小板

②リンパ系幹細胞

→ Tリンパ系幹細胞、Bリンパ系幹細胞

呼称

分化の過程の血球の名称に対する略称を挙げます。

  • 全能性幹細胞(CFU-S)
  • 骨髄系幹細胞(CFU-GEMM)
  • 顆粒球単球系幹細胞(CFU-GM)
  • 赤血球系幹細胞(CFU-E)
  • 巨核球系幹細胞(CFU-Meg)
  • Tリンパ球幹細胞(CFU-TL)
  • Bリンパ球幹細胞(CFU-BL)
カテゴリー
医療

酵素(AST,ALT,γ-GT,LD)の解説

酵素の検査の目的と、血液検査で測定される血中酵素のAST,ALT,γ-GT,LDついて解説します。

酵素と疾患

臓器の役割は,酵素によって支えられています.

それぞれの臓器には,特有の酵素があり,また,各種臓器に共通する酵素でも,濃度が異なります.

もしも,臓器疾患になったときは,組織細胞の状態の変化,あるいは,壊死により細胞中の酵素が血液中に遊出したり,放出が減少したりします.

つまり,血中の酵素の変動は,疾患臓器の特定と程度を知る目安となります.

また,代謝のほとんどすべてのステップで,酵素が関与しています.

酵素の欠損や,機能低下・機能冗進をきたすと,代謝異常(代謝疾患)となります.

酵素活性の単位

酵素活性を表す単位として,世界保健機構(WHO)は,酵素にSI単位系を設定し, μmol・min-1と表現しています.

カタール(kat)は,mol・s-1と表します.

AST,ALTについて

ASTは,アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(L-aspartate:2-oxoglutarateaminotransferase)の略称です.

また,ALTは,アラニンアミノトランスフェラーゼ(L-alanine:2-oxoglutarateaminotransfbrase)の略称です.

体内分布

ASTは心筋,肝臓に多く分泌し,ALTは肝臓や腎臓に多く分布しています。

臨床的意義

細胞の損傷程度に応じ,組織内の酵素が逸脱します.

ASTは心臓や肝臓に多く,ALTは肝臓に多いので,それぞれの臓器の損傷時に血中に増加します.

基準範囲

JSCC常用基準法における正常範囲は,ASTが「5~25U/L」,ALTが「3~30U/L」です.

検体について

ASTは溶血の影響を大きく受けるのに対し,ALTはそれほどでもありません.

γ-GTについて

γ-GTは,アミノ酸転移酵素の1つであり,ペプチドの末端アミノ基に結合したグルタミン酸のγ-カルボキシル基を加水分解して他のアミノ酸に転移させる反応を触媒します.

体内分布

γ-GTは,腎臓に最も多く分布しています.次いで,膵臓,肝臓,脾臓に存在しています.

γ-GTは,刷子縁の膜の脂質二重層に結合しているため,結合が切断されると,血中に出てきます.

一般に,肝臓での解毒機能活性時に,γ-GTの血中活性が上昇することが知られています.

なお、血清中に存在するγ-GTは,ほとんどが肝臓由来です.

ちなみに,分子量は約86,000と大きいものであるため,通常は,尿中へは排出されません.ただし,腎障害があると,尿中へ排泄されます.

臨床的意義

胆管閉塞症では,高値となります.このとき,ALPやLAP(ロイシンアミノペプチダーゼ)も同時に高値になります.

肝硬変症では,肝臓の線維化の活発な時期に高値となります.

アルコール性肝障害では,高値を示します.

基準値

男性の正常範囲は12~55U/Lです(JSCC法).

女性のほうが低い傾向があります.

なお,アルコール摂取量の多い人は高値となります.

LD(乳酸デヒドロゲナーゼ)

LDは,嫌気的解糖系の最終段階であるピルビン酸と乳酸の変化を触媒する酵素です.

LDは,嫌気的解糖系の最終段階に働く酵素であり,広く全身組織に分布しています.

心筋,肝臓,骨格筋,肺などの組織や,赤血球,白血球,血小板などにも存在します.

なお,LD1~LD5のアイソザイムが知られています.

臨床診断的意義

血液疾患などで,血球が過剰に生産される病気では,LD1やLD2が上昇します.

また,心筋梗塞では,発作発生から3~4日日後に,心筋由来アイソザイム(LD1)が遊出してピークに達し,6日経過したころに正常化します.

さらに,肝炎では骨格筋型アイソザイム(LD5)が遊出されます.

肺疾患のときには,LD3やLD4が上昇します.

なお,LD1が多いのは心筋・膵臓・腎臓・甲状腺です.

LD1やLD2が高いのが血球や血清で,LD3が高いのが肺,さらに,LD4やLD5が高いのが肝臓や骨格菌です.

測定原理と基準値

測定方法は,(1)ピルビン酸から乳酸へ反応させて測定する方法と,(2)乳酸からピルビン酸に反応させて測定する方法の2つがあります.

後者を採用する日本臨床化学会OSCC)勧告法では,基準値は60~120U/Lです.

測定原理としては,まず,LDに補酵素であるNADHが結合し,このNADHに,基質であるピルビン酸が結合し,ピルビン酸のケト基がNADHの水素を取ります.

結果,ピルビン酸は乳酸に変わり,複合体からはずれます.

次に,NADがLDからはずれることで,一連の反応が終了します.

この反応は、オーダーBiBi反応と呼ばれます.

検体について

血球中のLD活性は,血清中の活性と比較して約160倍ありますので,溶血試料は測定に注意する必要があります.