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Column

妊婦のマタニティマークの目的

周囲の人に,自分が「妊婦」であることを知らせるマークとして, 2006年の3月10日に発表されたのが,マタニティマークです.

2018年の厚生労働省研究班の調査では,女性は20~60歳代まで6割以上で知っていたようなのですが,

男性は30~50歳代で5割以上で認知,20歳代男性の認知度は37%にとどまったそうで,男性の認知度は「高い」とは言えないのが現状です.

読売新聞:

「マタニティマーク」認知度まだ58%…20代男性は37%

さて,そんな男性の認知度が高くないマタニティマークなのですが,さらなる問題があるようです.

それは… 男性は,マタニティマークを認知していたとしても,女性がマタニティマークをつけている意味を大きく誤解しているという話です.

参考 http://econte.co.jp/works/maternity/

このデータによれば,女性は,主に,

緊急時に自分が妊婦であることを知らせたい

という目的でつけているんですね(56.8%).

たとえば,お腹がそれほど大きくない状態のときに,何かのきっかけで,意識がなくなったとします.

そのとき,周囲の人や,かけつけた救急隊は,マタニティマークから,患者が

妊娠状態

ということを迅速に把握できるんですね.

ネットでよく叩かれるような,「電車で席を譲ってほしいからつけている」とか,そういうのが主目的ではないんです.

上の図で「アピールするもの」という回答が38.4%という現状は…

なんだか悲しいですね.

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医療

ヘルプマークの認知度はどれくらい?

ヘルプマークというものがあります.

ヘルプマークは,外見から分からなくても援助や配慮を必要としている人のために作成されたマークです.

たとえば,義足や人工関節の人,体の内部に障害をもっている人たちが利用します.

このマークは,東京都が作成した比較的新しいマークなのですが,普及活動によって,他府県の自治体でも,導入するところが増えています.

参照 東京都福祉保健局ウェブサイト

このように全国の自治体で普及が進むヘルプマークですが,国民の認知度は,まだまだ低いのが現状だと思います.

せめて,この記事をきっかけに,把握していただけたら幸いです.

なお,東京都による普及のためのPR動画がありますので,よかったらご覧ください.

さて,ここまではヘルプマークの紹介でしたが,

多くの人にとって気になるのは,「ヘルプマークを身に着けた人を見かけたら,どうしたらよいのか」ということでしょう.

これについて,東京都福祉保健局のウェブサイトに,説明がありましたので,

最後に,下に紹介させていただきます.

電車・バスの中で、席をお譲りください。

外見では健康に見えても、疲れやすかったり、つり革につかまり続けるなどの同じ姿勢を保つことが困難な方がいます。 また、外見からは分からないため、優先席に座っていると不審な目で見られ、ストレスを受けることがあります。

駅や商業施設等で、声をかけるなどの配慮をお願いします。

交通機関の事故等、突発的な出来事に対して臨機応変に対応することが困難な方や、立ち上がる、歩く、階段の昇降などの動作が困難な方がいます。

災害時は、安全に避難するための支援をお願いします。

視覚障害者や聴覚障害者等の状況把握が難しい方、肢体不自由者等の自力での迅速な避難が困難な方がいます。

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病気

牛乳で前立腺ガンが増えるという噂の真相は?

牛乳を飲むことで健康にさまざまな悪影響があるという指摘が、世の中には存在しています。

みなさんも、そのような情報をご覧になったことがあるかもしれません。

たとえば、牛乳をたくさん飲むと前立腺がんになるという噂。

そこで、牛乳と前立腺がんについて調べてみたところ、どうやら、乳製品による前立腺がんへの影響は、はっきりとは判明していないようです。

たとえば、国立がん研究センター(社会と健康研究センター検診研究部)による論文(日本臨牀Vol75増刊号8:p67-71)では、つぎのように述べられています。

「国立がん研究センターによる日本人のがんリスクおよび予防要因についてのエビデンス評価では, 確立した罹患リスク因子はなく, 大豆の消費(およびイソフラボンの摂取)によるリスクの低下のみが「可能性あり」とされている. 国内外で喫煙, 飲酒をはじめ, 野菜・果物摂取, 乳製品の消費, 体格, 身体活動についても, 前立腺がん罹患との関連を探る研究が実施されてきたが, 結論に至っていない.」

調査する母集団や、解析方法に影響を受けるのかもしれませんが。

ちなみに、前立腺がんは、治る病気として知られています。

5年相対生存率は、ステージⅠ~Ⅲなら100%と報告されています。

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ビジネス 医療

がん保険は儲かる(将来ペイする)という予測

突然ですが、こんな話を紹介します.

診断されない「潜在がん」

それは、ガンと診断されないまま死んでいる人の割合です.

全てのがんについてのデータは無いのですが,男性の前立腺がんについては,こんな話があります.

前立腺癌を複雑にしているもうひとつの要素に潜在癌があります。 潜在癌とは生前、癌と診断されず、死後剖検によって初めてその存在が確認される癌を指します。 70歳以上の日本人剖検例では40%以上に潜在癌が認められ…(参照先

 

70歳以上で,がんと診断されなかった人のうち,死後の解剖で40%にがんが見つかる…

衝撃ですよね.

80歳になると,この割合が50%近くになるとも報告されています.

もし,潜在がんを抱えたまま死んでいた人たちが,生前に「前立腺がん」と診断されていたら??

間違いなく,前立腺がんの罹患率は,統計上,今よりもかなり高くなっていたでしょう.

そして,これは重要なことですが,潜在がんを持っていた人たちが,もしも,がん保険に加入していて,がんの診断を受けていたら,診断給付金をもらえていたであろうということは考えられますね.

今後,普及が見込まれている,多種類のがんスクリーニング検査技術が実用化されると,このような,隠れているがんが沢山あぶりだされ,がんと診断される人が急増する可能性があります.

少なくとも「前立腺がん」については,可能性はかなり高いと思われます.

ここからは私の想像でしかありませんが,いま,生きているうちに「がん」と診断される人は,男女の区別なくいえば約2人に1人ですね.

将来には,検査技術の発展と,寿命の延伸との相乗効果によって,これが,3人に2人とか,4人に3人とか,そういうレベルになるんじゃないだろうかと考えています.

これは,現在のがん保険のコストパフォーマンス(期待値)が,将来,上昇することにつながると思うのです.

将来,私たちが70歳とか80歳になった時に,全身をくまなくチェックすれば,早期がんの一つや二つ,簡単に見つかるようになると思うんですよね.

それも,繰り返し.

そうなると,現在のがん保険って,診断されるたびに100万円とか200万円という診断給付金が支払われるわけですから(2年の間隔が必要ですが),老後になったときに十分にペイする可能性があるだろうという期待がもてるんですね.

あくまでも楽観的な妄想です.

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ビジネス 医療

早期がんの発見技術が、ガン検診・ガン診断・ガン保険にもたらす変化

年々、医学は進歩しています。

すごい検査技術の実用化が期待されています。

具体的には、マイクロRNA(miRNA)測定技術を用いた血液からの13がん種のスクリーニング検査や、線虫による尿からの10がん種のスクリーニング検査などがあります。

これらのような早期がんの発見技術は、ガン検診及びガン診断や、ガン保険に変化をもたらすかもしれません。

ガン検診やガン診断への影響

いま、がん検診の受診率は、高いもの(肺がん)でも5割くらいです。

健康意識の高まりからか、年々、少しずつ上昇しています。

早期がんの発見技術は、健康診断や人間ドック(自由診療)の分野で導入されますが、これは、がん検診の受診率の上昇につながると思われます.

人間心理として、

簡単に、しかも早期がんでも発見できるなら、検査を受けておこう

と考える人は多いはずだからです。

がんの診断数が増える?

過去、日本において、前立腺がんの検診(PSA健診)が普及してきました。

一方で、統計上、前立腺がんの罹患率も上昇しました。

前立腺がんと診断された人が増えたということですね。

PSA健診が普及したことは、日本で前立腺がんの罹患率が上昇した原因のひとつと考えられています。

上記の検査技術は、この現象を、おそらく、ほかのがんでも引き起こします。

それがどの程度になるのかは、まったく予想はつきません。

ちなみに ー 過剰診断の増加?

これは「がん検診のデメリット」としてよく語られている話なのですが、

がん検診で発見されるがんの中には、その後、進行がんにならないものや、そのままの状況に留まったりして、命に影響しないがんもあります。

しかし、見つけた時点では、普通のがんと区別できないので、基本的には治療することになってしまいます。

このように、治療がいらなかったはずのがんが発見され、治療されることは「過剰診断・過剰治療」などと呼ばれています。

上記の、miRNAや線虫を用いた新しい検査方法の実用化は、がん検診の受診率の上昇をもたらすと予想されますが、それは,過剰診断・過剰治療の増加を招く可能性もあります。

 

がん保険への影響

さて、上の話は、検査技術の発展などにより、今後、がんの罹患率は増えるだろうということですが、がん保険には、どんな影響を与え得るでしょうか?

想像ではありますが、書いてみます。

⒈診断給付金の支払いの増加により保険料や保障内容が見直される

現在のがん保険は,がんと確定診断(病理検査による)されると,診断された時点で,100万円とか200万円という診断給付金(用途は自由)がとりあえず支給されます.

がんの罹患率が増えるとすれば,保険加入者のうち,保険会社が診断給付金を支払う人の割合は,これまでよりも増加します.

これは,保険料と保障内容の見直しにつながるでしょう.

保険料を上げるか,診断給付金の減額を含む保障内容の見直しをするか,あるいはその両方になるでしょう.

この見直しにより,今後のがん保険は,現在のがん保険よりも金銭的なコストパフォーマンスが下がるかもしれないと疑われます.

ただ,見直しにあたっては,早期がんの段階での発見の増加によって治療などにかかる合計費用は今よりも下がるだろうという予測もできるため,軽々に「今後のがん保険は,現在のがん保険よりもコストパフォーマンスが劇的に悪くなる」とは言えないだろうとは思います.

⒉がん保険への加入希望者にスクリーニング検査が義務づけられるかも?

現在,生命保険や医療保険に加入するときに,健康診断書を提出する喫煙の有無を唾液で調べるなどの事前チェックが普通に行われています.

他方,がんはリスク要因が明確ではないという理由から,現在のがん保険では,加入にあたって,そういう手続きは基本的には要求されていません(間違ってたらすみません).

しかし,簡単に多種類のがんがスクリーニングできる検査が実用化されたら,その検査に合格した人だけががん保険に加入できるようになる可能性があります.

なぜかというと,これはモラルの問題になりますが,新しいスクリーニング技術で「精査が必要」という結果が出た人が,短期間の間に,(場合によっては多くの)がん保険に積極的に加入し,90日間の免責期間の後に,がんの診断を受け,結果的に給付金で大きく得する現象が起きるのを防ぐ必要があると思われるからです(いわゆる「逆選択」の抑制).

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散録

ぜんざいの名前の由来

雑学です.

「ぜんざい」ってありますね.

実はぜんざいは,もとは別の名前で呼ばれていたそうです.

10月は日本中の神さまたちが出雲大社に集まるため,出雲地方では「神在月」と呼ばれていました.

このとき,出雲地方では「神在祭(かみありさい)」が行われ,小豆の雑煮「神在(じんざい)餅」が振る舞われたそうで…

出雲弁(ズーズー弁)ならではの訛りから「ずんざい」→「ぜんざい」となって,京都に伝わったと言われています.

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散録

【雑学】和菓子の「栗きんとん」

江戸時代の後期ごろ,「京」と「江戸」とを結ぶ中山道の宿場町などでは,俳諧(はいかい)が盛んだったどうで,俳人や歌人が,多く集まっていたようです.

そんな彼らに人気のお菓子だったのが,「栗きんとん」でした.

この和菓子の「栗きんとん」は,栗を潰して裏ごししたもので,京都に伝わってからは,「栗茶巾(くりちゃきん)」とも呼ばれるようになりました.

明治時代中期ごろになって,商品化が進み,庶民にまで広まったそうです.

他方,おせち料理の「栗きんとん」は,栗を粘度の高い黄色のあんで和えたもので,和菓子の「栗きんとん」とは別物となります.

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生物

胃腸の中は、体の外? ヒトの体はトンネル構造

ヒトの胃腸の中は,体の中と思われていませんか?

直感的には,そう思うのが普通でしょう。

しかし,生物としては,胃腸の中は,体の外なのです。

どういうことかと言うと…

トンネルを想像してもらえるとわかりやすいでしょう。

トンネルの中の空間は,山の一部ではありませんよね。

だから,トンネルの中は,山の外と言えます。

同じように,ヒトの体は口から肛門までトンネル構造ですから,胃腸の中は “体の外” となるわけです。

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散録

マズローの欲求の6段目にある自己超越

きのうテレビで,「他人の人生を変えたい」という欲求を持ち,実践している人が紹介されていました.

それを観て思ったのです.

この欲求は,人間心理の中では,どんな位置にあたるのだろう? と.

そこで思い出したのが,有名なマズローの欲求階層説です.

その欲求は,1〜5段目には当てはまらなさそうでしたが,

なんと,マズローの欲求には,6段目がまだ存在するそうです.

それが…

自己超越.

ただ目的のみに没頭し,何かの課題や使命,職業,仕事に貢献している状態だそうです.

ひょっとしたら,上記の欲求は,この6段目にあたるのかな? なんてことを思いました.

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Column

医療系の専門学校生の進路指導

一般的には,就職活動をするとき,学生は,たくさん受験して,内定が出た会社の中から,一番良いと思う会社を選ぶのが自然だと思います.

しかし,医療系の専門学校生が病院を受験するときは,事情が大きく異なります.

医療系の専門学校では,基本的に,就職活動のとき,このように指導されます.

『同時に複数の病院を受験してはいけない.あなたが辞退した病院に後輩が就職できなくなるから.』

生徒は,不満を抱えながら,これを真面目に守り,一つずつ病院を受験します.

※学校によっては「卒業見込み証明書」や「成績証明書」を,一部ずつしか渡さず,強制的に一箇所ずつしか受けられない状況にするほどです

しかし,「辞退した病院に後輩が就職できなくなる」のが本当だとしたら,単なる差別であり“病院の採用基準は間違っている”と言えますし,憲法に保障された「職業選択の自由」の観点から言えば,“生徒の自由を侵害する学校の指導は間違っている”とも思えます.

とはいえ,専門学校のいうことも理解できます.

採用には時間や費用がかかるため,病院側が安心して内定を出したいと考えるのは当然です.

併願せず,一つずつ受験した方が,応募する病院に対して,誠実という考え方もありえるでしょう.

考えてみると,けっこう悩ましい問題で,僕には結論が出ない問題です.

みなさんのご意見は,どうですか?