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筋トレで痩せやすい身体になる?

筋肉は存在しているだけでエネルギーをよく消費するというイメージがあります。

それゆえ、

「筋トレをして筋肉を増やしたら、痩せやすい身体になるか?」

という疑問が生まれます。

 

自分の学習のためにも、医療系のジャーナルにあたって、実際のところを調べてみました。

 

📒安静時のエネルギー代謝

 

人は、安静時にも、呼吸したり、内臓を動かしたりと、エネルギーを消費しています。

体重70kgで平均的な体型の男性をモデルにすると、各臓器の重さと、安静時のエネルギー消費量は、つぎのようになるそうです。

体重70kgで平均的な体型の男性がモデル(Training Journal August 2015 p70 川田茂雄氏によるスポーツ医学トピックスより)

 

筋肉は、安静時、重量1kgあたり、13kcal/日の消費量しかありません(全身の安静時代謝量でみたら、21.6%と、少ないですよね)。

つまり、筋トレ(レジスタンストレーニング)によって骨格筋を1kg増やしても、安静時の一日当たりの消費カロリーは、たった13kcalしか増加しない、ということになります。

年間では、13×3654745kcal)です。

・・・年間でそれだけ!?

・・・筋トレをしても、たいして意味ないじゃないか!

そんな声が聞こえてきそうですね。

ただし、つぎのような話があります。

📒除脂肪体重の増加

 

じつは、筋トレ(レジスタンストレーニング)を継続すると、除脂肪体重(体重から、脂肪の重量を引いたもの)も増加することが知られています。

これは、内臓の重量の増加を意味します。

様々なデータを平均すると、除脂肪体重が1kg増えると、1日あたりの安静時の消費カロリー(安静時代謝量)は、50kcal ほど増えると見積もることができるそうです。

年間では、50×365=18250kcalの消費増ですね。

脂肪細胞1kgが持つエネルギーは、7200kcalほどなので、1kgの除脂肪体重の増加が、年間で、18250÷7200=2.5(㎏)の減量につながると計算できます。

ここまでの話を見る限りだと、筋トレで除脂肪体重を増やせば、「痩せやすい体」になれるとも思えます。

 

 

📒しかし実際は・・・

 

しかし、実際には、うまくいかないケースがほとんどのようです。

「筋トレのみで体脂肪量が減少した」という研究報告は少なく、「筋トレで除脂肪体重は増加したが体脂肪は変わらなかった」という研究報告が多いのが実際だそうです。

理由としては、上図に記載されているように、脂肪組織も、安静時にエネルギーを消費しているということがあります。

脂肪は、安静時、重量1kgあたり、4.5kcal/日の消費量です

つまり、脂肪が減った分だけ、安静時のエネルギー消費量は低下してしまうのです。

脂肪を減らし続けるには、それまでよりも、食事からの摂取エネルギー量を減らしたり、持久運動を増やしたりしないと、うまくいかないということですね。

 

米国スポーツ医学会の見解でも、筋トレ(レジスタンストレーニング)そのものが減量(体重減少)の効果的手段であるという立場はとっていません。

レジスタンストレーニングは減量を促進しませんが、無脂肪の質量を増加させ、脂肪の質量の減少を増加させる可能性があり、健康リスクの低減に関連しています。

Resistance training does not enhance weight loss but may increase fat-free mass and increase loss of fat mass and is associated with reductions in health risk. ー Appropriate Physical Activity Intervention Strategies for Weight Loss and Prevention of Weight Regain for Adults

 

 

📒結論は・・・

 

以上のことから、筋トレによる体重減少は、期待しないほうがよさそうです。

体重減少が目的であれば、食事制限や、持久運動をやるのがおすすめです。

ただし、筋肉を鍛えれば、たとえ体脂肪がそれほど減らなくても、見た目は格好よくなるので、それ自体は、悪いことではないはずです。

 

以上、参考になりましたでしょうか

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がん保険は改悪される恐れ。今すぐ入るべきか。

がん保険は,トータルの費用でみると,若いうちに加入する方が安くなります.

 

したがって,経済的な視点のみからは,がん保険に関しては,シンプルに,

・いま加入するか

・死ぬまで加入しない

この二択となります.

 

ここで,がん保険に加入すべきかについては,よく,コストとリターンを計算して議論されていますが…

 

そこでは,往々にして,重要な点が無視された議論が展開されています.

 

それは,

年々,医学は進歩する

ということです.

これまでもそうだったように,10年や20年も経てば,検査方法や診断方法,ならびに治療方法は大きく進歩します.

 

がん保険のコスト(=保険料)と,リターン(=給付金)のバランスは,いま得られている,がん患者に関する統計データに基づくものですから,

将来,この統計データに影響を与える出来事が起きれば,

コストとリターンのバランスは変化するでしょう.

 

実際,10年前や20年前のがん保険と,現在のがん保険は,違う点が多くあります.

いまから10年後や20年後のがん保険は,今とは保険料や保障内容が,全く違うものに変わっている可能性があります.

…将来のがん保険を予測したうえで,現在のがん保険に加入することが得かどうかを見積もることが大切なのかもしれません.

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イッキ飲みは急性アルコール中毒の危険がありNG

夏ですね.

自粛期間も終わり、みなさんお酒を飲む機会も増えるでしょう.

 

一気飲みは急性アルコール中毒の危険

 

時々、調子に乗って、他人にイッキ飲みをさせようとする人たちがいるものです.

イッキ飲みは,急性アルコール中毒を引き起こす場合があるので危険です.

呼吸困難など危険な状態を引き起こします.

死の危険のある「イッキ飲み」は,絶対に避けた方がよいでしょう.

特に,お酒に弱い体質の人は,より危険です.

私は,学生時代,よくイッキ飲みをしていましたが,呼吸が荒くなる,体が震えるなど,かなり辛かったです.

死の危険を感じたこともあります.

万が一のときは 急性アルコール中毒を起こしたと疑う場合は,すぐに救急車を手配しましょう.

なお,吐いたもの がノドにつかえて死亡することがあるので,顔は横に向けてあげて下さい. 口の中のものを無くすことも大切です.

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抗菌薬セフィデロコルへの期待

コロナウイルスはウイルス。

 

一方、細菌にも、怖いものがいます。

 

薬剤耐性菌による死亡者が世界全体で1000万人になるかも

 

細菌による感染症を治療するための薬(=抗菌薬)への耐性を示す菌(=薬剤耐性菌)を取り巻く事態は深刻化しています.

WHOや国連総会までもが議題に取り上げるほどです.

具体的な数値でいうと,薬剤耐性菌は,2050年までに毎年1000万人の命を奪うようになると予想されています.

抗菌薬は,生活習慣病の薬のように使用し続けるものではないので,抗菌薬からは,あまり利益が得られませんので,製薬企業にとっては,開発を頑張ろうというインセンティブがありません.

しかし,新しい抗菌薬の開発は必要です.

日本では,このような閉塞した状況を打破すべく,日本化学療法学会を含む関連6学会が動き出しています.

新規の抗菌薬開発を国家プロジェクトにしなければならないという認識のもと,6学会は,創薬ワーキングを立ち上げ,製薬企業やアカデミアが所有するseedの活用化,製薬企業の開発意欲向上のための新規抗菌薬の市場独占期間の延長を盛り込んだ提言をおこなっています.

ちなみに,そんな環境の中ではありますが,塩野義製薬の新しい抗菌薬が,海外で上市されそうです.

うまくいけば,いずれ日本でも使えるようになるでしょう.

それが、新規シデロフォアセファロスポリン抗菌薬です。

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新型コロナ感染拡大で子どもの命が危険に。

命と経済、バランスは難しいですね。

 

 

先日の事例ですが、

発熱した幼児が救急搬送の際、新型コロナ感染による発熱を否定できないという理由で、受け入れ先に難渋し、治療までに時間を要した事例がありました。

のちに、この幼児は、肺炎球菌の菌血症であったことが判明しました(素早く治療しないと致死率が高い)。

新型コロナ感染拡大により、こうした幼い命が失われる危険性も高まるということは、私たちは気に留めなければいけないでしょう。

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新型コロナ感染のリスク!? トイレットペーパーの三角折りは,やはり汚かった

トイレに入った時,

 

トイレットペーパーが三角折りされているとき,どう感じますか?

 

おそらく,こうではないでしようか.

…汚い!!

 

この直感は,正しかったようです.

http://www.news24.jp/sp/articles/2017/06/16/07364471.html

三角折り部分には,ウイルスや細菌が付着しており,それが手を汚染するということです.

たとえば,ノロウイルスに汚染され,ノロウイルスが,口から入れば胃腸炎になりえます.

今話題の新型コロナウイルスも,手に付着し得ますね.

…三角折りはやめた方がいいし,触ってしまったらよく手を洗うべきですね.

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減量のための力ロリー制限の計算方法

・減量の仕方がわからない人がいる

・無計画な減量をしている人がいる

こんな現状があるようです。

日頃のお仕事で、栄養に関わることもあるので、自分の学習のためにも、少し医療系のジャーナルにあたって調べてみました。

目標体重に向けて、どのようにカロリー制限をすればいいのか?

という話です。

最初に把握すべきこと

最初に把握すべきは、 「自分の1日あたりの必要エネルギー摂取量」です。

1日に必要なエネルギー摂取量は、 基礎代謝量×身体活動レベルで推定できます。

基礎代謝量は、こちらで算出できます。

https://www.nibiohn.go.jp/eiken/hn/modules/kisotaisya/

 

つぎに、身体活動レベルを、3通りから選びます。

・低い→1.5 (生活の大部分が座位)

・ふつう→1.75 (生活の中で、通勤・買物・家事、軽い運動などをしている)

・高い→2.0 (仕事でよく動く、活発にスポーツをやっている)

 

たとえば、170㎝で、体重70㎏の人は、基礎代謝量が1571kcalと算出されます。

 

この人が、普段あまり運動せずに過ごしているとします。

身体活動レベルは低い(1.5)になります。

そして、1日に必要なエネルギー摂取量は、1571×1.5=2357 (kcal/日)と推定できます。

この人が、身体活動レベルを変えずに、1日に2357kcal程度のエネルギーを摂取し続けた場合、この人の体重は、増えも減りもしないことになります。

適切な力ロリー制限の計算方法

この人が、1年間で5kg減量したいと思ったとき、1日に制限すべき力ロリーはどれくらいでしょうか。

 

じつは、そのための推定式があります。

 

「⊿W =0.712×⊿E」です。

 

⊿Wは、「体重(kg)の初期値からの変化割合(%)」です。

⊿Eは、「エネルギー消費量(kcal)の初期値からの変化割合(%)」です。

 

体重70kgの人が5kg痩せたい場合は、体重の変化割合は、5÷70=7.1(%)です。

この数値を代入すると、 「7.1=0712×⊿E」となります。

解は、⊿E ≒ 10(%)ですね。

したがって、摂取エネルギーを今の2357kcalから毎日10%(236kcal)減らせば、1年 後には、今より5kg減量することが期待できます。

 

詳細は、こちらの「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書」における、「Ⅱ 各論 1 エネルギー・栄養素」をご参照ください。

62ページです。

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586556.pdf

 

なお、このプランは、月に一度くらい、見直すのがいいそうです。

挫折しそう・・・というときは、続けられる目標体重に再設定する、というわけです。

 

以上、参考になりましたでしょうか✨

 

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筋肉が増えるHMBサプリメントは信じられる?

世の中には、さまざまな効果をうたうサプリメントがありますね。

たとえば、筋トレ関係なら、

「これを飲めば筋骨隆々の身体になれます!」

なんてサプリメントが雑誌に載っていたりします。

でも、その効果については「それ本当かな?」と思ってしまうことは多々あります。

仮に、「〜には、という試験結果があります!」というものでも、その中身を見ると、

数人の被験者に効果の実感をアンケートしたものに過ぎなかったりとか

…ありがちですね。

信じられるエビデンス(科学的根拠)とは、いったい何でしょうか?

わかりやすく説明するために、医学の分野の話を例に出すと、実は、エビデンスの信頼度には、レベルが付けられています。

エビデンスレベルと呼ばれます。

エビデンスレベルは研究の結論の強さを順位付けしたものです。

エビデンスレベルは、

「ナラティブ・レビュー(一般的な総説)」や「専門家の意見」等から始まり

「コホート研究」、「ランダム化比較試験」「シス テマティック・レビュー/メタアナリシス」と順に高くなります。

各用語の解説は、ここでは割愛します。

ここで注目なのは、専門家の意見ですら、エビデンスレベルが「低い」という点です。

素人の意見なら、そもそも検討に値しないということになるでしょう。

筋トレに関しては、最近、β-ヒドロキシ-β-メチルブチレート (HMB)を含むサプリメントが有名です。

YouTubeで、「HMB」と検索すると、スマホは広告で埋め尽くされます。

売れているのでしょうか。

「脂肪量を減らす」「筋肉量を増やす」などと言われています。

しかし、調べてみたところ、今のところ、このHMBについて、「脂肪量を減らす」「筋肉量を増やす」という効果を示す信頼できる十分なデータは見当たりません。

効果があるのかどうかが、不明ということです。

今後、きちんと検証したら、「大きな効果あり」、「少し効果あり」、「効果なし」のいずれかなのかが明らかになる、ということです。

…信じるか信じないかは、買う人に委ねられている、ということですね。

最後になりますが、世の中には根拠のないものが多く出回っています。

「まさか効果がないものを売らないだろう」

という考えは、現代では通用しません😑

 

ご注意ください…

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医療

ヘルプマークの認知度はどれくらい?

ヘルプマークというものがあります.

ヘルプマークは,外見から分からなくても援助や配慮を必要としている人のために作成されたマークです.

たとえば,義足や人工関節の人,体の内部に障害をもっている人たちが利用します.

このマークは,東京都が作成した比較的新しいマークなのですが,普及活動によって,他府県の自治体でも,導入するところが増えています.

参照 東京都福祉保健局ウェブサイト

このように全国の自治体で普及が進むヘルプマークですが,国民の認知度は,まだまだ低いのが現状だと思います.

せめて,この記事をきっかけに,把握していただけたら幸いです.

なお,東京都による普及のためのPR動画がありますので,よかったらご覧ください.

さて,ここまではヘルプマークの紹介でしたが,

多くの人にとって気になるのは,「ヘルプマークを身に着けた人を見かけたら,どうしたらよいのか」ということでしょう.

これについて,東京都福祉保健局のウェブサイトに,説明がありましたので,

最後に,下に紹介させていただきます.

電車・バスの中で、席をお譲りください。

外見では健康に見えても、疲れやすかったり、つり革につかまり続けるなどの同じ姿勢を保つことが困難な方がいます。 また、外見からは分からないため、優先席に座っていると不審な目で見られ、ストレスを受けることがあります。

駅や商業施設等で、声をかけるなどの配慮をお願いします。

交通機関の事故等、突発的な出来事に対して臨機応変に対応することが困難な方や、立ち上がる、歩く、階段の昇降などの動作が困難な方がいます。

災害時は、安全に避難するための支援をお願いします。

視覚障害者や聴覚障害者等の状況把握が難しい方、肢体不自由者等の自力での迅速な避難が困難な方がいます。

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がん保険は儲かる(将来ペイする)という予測

突然ですが、こんな話を紹介します.

診断されない「潜在がん」

それは、ガンと診断されないまま死んでいる人の割合です.

全てのがんについてのデータは無いのですが,男性の前立腺がんについては,こんな話があります.

前立腺癌を複雑にしているもうひとつの要素に潜在癌があります。 潜在癌とは生前、癌と診断されず、死後剖検によって初めてその存在が確認される癌を指します。 70歳以上の日本人剖検例では40%以上に潜在癌が認められ…(参照先

 

70歳以上で,がんと診断されなかった人のうち,死後の解剖で40%にがんが見つかる…

衝撃ですよね.

80歳になると,この割合が50%近くになるとも報告されています.

もし,潜在がんを抱えたまま死んでいた人たちが,生前に「前立腺がん」と診断されていたら??

間違いなく,前立腺がんの罹患率は,統計上,今よりもかなり高くなっていたでしょう.

そして,これは重要なことですが,潜在がんを持っていた人たちが,もしも,がん保険に加入していて,がんの診断を受けていたら,診断給付金をもらえていたであろうということは考えられますね.

今後,普及が見込まれている,多種類のがんスクリーニング検査技術が実用化されると,このような,隠れているがんが沢山あぶりだされ,がんと診断される人が急増する可能性があります.

少なくとも「前立腺がん」については,可能性はかなり高いと思われます.

ここからは私の想像でしかありませんが,いま,生きているうちに「がん」と診断される人は,男女の区別なくいえば約2人に1人ですね.

将来には,検査技術の発展と,寿命の延伸との相乗効果によって,これが,3人に2人とか,4人に3人とか,そういうレベルになるんじゃないだろうかと考えています.

これは,現在のがん保険のコストパフォーマンス(期待値)が,将来,上昇することにつながると思うのです.

将来,私たちが70歳とか80歳になった時に,全身をくまなくチェックすれば,早期がんの一つや二つ,簡単に見つかるようになると思うんですよね.

それも,繰り返し.

そうなると,現在のがん保険って,診断されるたびに100万円とか200万円という診断給付金が支払われるわけですから(2年の間隔が必要ですが),老後になったときに十分にペイする可能性があるだろうという期待がもてるんですね.

あくまでも楽観的な妄想です.