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BCG接種とツベルクリン反応の違いとは?

下記のように、「BCG」は結核ワクチンの接種のことで、「ツベルクリン反応」は結核感染の有無を調べる検査のことです。

BCG

BCGは、結核菌の毒性を弱めたワクチンです。

BCG接種は、結核菌に未感染の人に対してBCGを接種することであり、結核への免疫を作ります。

接種は法律により、生後3カ月〜6カ月となっており、接種後10日程度で、皮膚に針痕に一致したポツポツが10〜18個できます。その後、少し化膿しますが、3〜6カ月に瘢痕になります。

ツベルクリン反応

ツベルクリンは、結核感染の有無を診断する検査です。

結核菌の成分である、「ツベルクリン:PPD」を皮内に注射し、48時間後に、生体反応をチェックします。

具体的には、皮膚の発赤や、しこり(硬結)の大きさを測定し、陽性と陰性を判断します。

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ミアズマ病因説とは?

ミアズマ病因説(=miasma theory)とは、ヒポクラテスにより作り出された説です。

蔓延する疾病は、不潔な空気(miasma:瘴気)や、汚れた水が原因であるとする考えです。

しかし、14世紀〜15世紀に至ってヨーロッパを襲った天然痘、ペスト、梅毒の大流行により、疫病は、感染することが認識されました。

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ネガティブ染色とは?

ネガティブ染色とは、ウイルス粒子の形,大きさ,表面の様子を、電子顕微鏡によって観察するときに用いられる染色方法です。

ネガティブ染色では、指示膜の上に載せたウイルス粒子を、リンタングステン酸などの電子を散乱させやすい重金属塩の溶液で染色します。

この染色では、ウイルス粒子の周辺が、電子の散乱により黒く染まったように見えます。

これに対し、ウイルス粒子は、電子線が通過します。つまり、黒く染まりません。

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莢膜膨化反応とは?

細菌の莢膜が、特異抗体と反応し、莢膜が膨化する反応を、莢膜膨化反応と呼びます。

この莢膜膨化反応は、肺炎球菌や、インフルエンザ菌の血清型別に利用されています。

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コッホの4原則とは?

コッホは、ある微生物が特定の病気の原因菌であると認めるための条件として、下記の4つの条件を提唱しました(コッホの四原則)。

1. 特定の感染症の病変部位からは、特定の微生物が検出されること

2. 病変部位から検出された菌は、その病気にのみ認められること

3. その禁を動物に接種して感染させた場合、同じ病気を引き起こすこと

4. 感染させた動物から、同じ微生物が検出されること

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検査

抗酸性とは?抗酸性染色とは?

結核菌、らい菌、非結核性抗酸菌群などのマイコバクテリウム属や、放線菌の一部は、染色性が悪いが、加温染色すると、染まる性質があり、さらに、酸やアルコールで脱色されにいという性質があります。

こういった性質は、抗酸性と呼ばれます。

また、こういった性質を有する菌を選択的に染めることを、抗酸性染色といいます。

たとえば、チールネールゼン染色があります。

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薬剤耐性菌の種類

代表的な薬剤耐性菌としては、つぎのものが挙げられます。

グラム陽性球菌

グラム陽性球菌では、黄色ブドウ球菌、腸球菌、肺炎球菌が主に問題となり、以下のような耐性菌があります。

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA)

mecA 遺伝子によりPBP2’(PBP2プライム)を産生します。β‐ラクタム系抗菌薬はこの PBP2’に対 する親和性が低いため、細胞壁の合成が阻害されません。

バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA),バンコマイシン中等度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)

バンコマイシン耐性遺伝子(van遺伝子)により、バンコマイシンの結合部位であるD-アラニル-D-アラニン(ペプチドグリカンの構成単位のムレインモノマー末端)が、D-アラニル-D-ラクテートに変異しています。そのため、細胞壁の合成が阻害されません。

バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)

バンコマイシン耐性遺伝子(van遺伝子)の種類により9種類が確認がされています。VanA、VanB、VanC、VanD、VanE、VanG、VanL、VanM、VanNです。

ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP),ペニシリン中等度耐性肺炎球菌(PISP)

PBPをコードする遺伝子(pbp1a、pbp2x、pbp1a、pbp2b)の変異により、PBPが変異しています。そのため、細胞壁の合成が阻害されません。

グラム陰性球菌

グラム陰性球菌では、淋菌(リン菌)が問題となります。

ペニシリン耐性菌として、ペニシリナーゼ産生淋菌(PPNG)と染色体性ペニシリン耐性淋菌(CMRNG)とに分類されます。

前者はペニシリナーゼの産生により、後者はPBP2の産生を支配するpenA遺伝子の変異により、細胞壁の合成が阻害されません。

グラム陰性桿菌

グラム陰性桿菌では、さまざまな菌種が問題となります。

インフルエンザ菌

アンピシリン耐性菌として、βラクタマーゼ陽性アンピシリン耐性インフルエンザ菌(BLPAR)、βラクタマーゼ陰性アンピシリン耐性インフルエンザ菌(BLNAR)、βラクタマーゼ陽性アモキシシリン/クラブラン酸耐性インフルエンザ菌(BLPACR)に分類されます。

メタロβラクタマーゼ(MBL)産生菌

さまざまな抗菌薬を分解する酵素を産生する菌として、IMP型メタロβラクタマーゼ産生菌、NDM-1型メタロβラクタマーセ産生菌などがあります。

セリンβラクタマーゼ産生菌

さまざまな抗菌薬を分解する酵素を産生する菌として、基質特異性拡張型βラクタマーゼ (ESBL)産生菌、KPC型βラクタマーゼ産生菌、AmpC型βラクタマーゼ産生菌、OXA型βラクタマーゼ産生菌などがあります。

そのほか

上記のほか、多剤耐性緑膿菌(MDRP)、多剤耐性アシネトバクター・バウマニ(MDRAB)などが問題となります。

抗酸菌

抗酸菌では、多剤耐性結核菌などが問題となります。

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最小発育阻止濃度MICと最小殺菌濃度MBCの違いとは?

最小発育阻止濃度:MICと、最小殺菌濃度:MBCについて解説します。

MIC

最小発育阻止濃度MICは、試験管内(in vitro)で菌の発育が阻止される最小の薬剤濃度を意味します。

MICを確認するには、抗菌薬を二倍連続希釈した培地を用意して、各培地に菌を接種し、培養して発育の有無を確認します。

MBC

一方、最小殺菌濃度MBCは、試験管内(in vitro)で菌が殺菌される最小の薬剤濃度を意味します。

測定

MIC値とMBC値は、同時に測定することができます。

すなわち、MIC以上の濃度(発育阻止されている濃度)において、細菌が殺菌されているのかどうかを、追加検査で明らかにします。

具体的には、発育阻止されている培地のうち、薬剤濃度が最も低い培地の一部を、別の液体培地に接種し、培養します。

培養の結果が陰性(菌が増殖しない)

培養結果が陰性であれば、その薬剤の濃度においては、菌が殺せているということで、薬剤の効果が「殺菌的」と評価され、その濃度はMBC値となります。

つまり、MIC = MBCとなります。

培養の結果が陽性(菌が増殖した)

逆に、培養結果が陽性であれば、その濃度においては、菌が殺せていないということで、薬剤の効果は「静菌的」と評価され、その濃度よりも高い濃度がMBC値となります。

つまり、MIC < MBCとなります。

この場合、MBCを確認するための追加試験として、発育阻止されている培地のうち、薬剤濃度が二番目に低い培地を使って、培養試験を行います(培養が陰性になるまで、薬剤濃度を上げていきます)。

なお、MIC値とMBC値に大きな差がある菌の場合、その薬剤に対する耐性を獲得しやすいと言われています。

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敗血症と敗血症性ショック

敗血症や敗血症性ショックについて解説します。

敗血症の定義

敗血症の定義は、「感染症に対する制御不能な宿主反応によって引き起こされた生命を脅かすような臓器障害」です。

敗血症の診断基準

敗血症の診断基準は、次の通りです。

ICU患者

感染症が疑われ、SOFA scoreが2点以上増加するもの

非ICU患者

quick SOFA scoreで2点以上のもの

quick SOFA scoreは、呼吸数 22回/min上(1点)、精神状態の変化(1点)、収縮期血圧100mmHg以下(1点)を指標とします。

敗血症性ショックの定義

敗血症性ショックの定義は「適切な輸液負荷にもかかわらず、平均動脈血圧65mmHg以上を維持するために循環作動薬が必要で、血清乳酸値が 2mmol/L(18mg/dL)より高いもの」です。

敗血症の進行

敗血症は、原発巣を制御しないと、重傷敗血症、敗血症性ショック、多臓器機能不全症候群(MODS)へと連続的に変化します。

菌血症との違い

菌血症は、血液中に生きた菌がいることを意味します。

菌血症が敗血症と同義に用いられることがありますが、厳密には、意味が異なります。

すなわち、敗血症は感染症に起因しますが、血中に菌が検出されない場合も含まれ、この点が菌血症とは異なります。

培養検査

適切な治療のためには、血液培養と、原発巣の培養を行います。

血液培養は、2セット採取が望まれます。

血液からの分離菌と、原発巣からの分離菌が一致すれば、起炎菌と考えてよいでしょう。

なお、原疾患として頻度が高いのは肺炎、腹腔内感染症、泌尿・生殖器、皮膚・ 軟部組織感染症です。

治療

基礎疾患、原発巣、腎機能、肝機能、先行抗菌薬の有無と種類などを考慮して、抗菌薬を最大許容量で投与します。

参考

なお、2016年以前は、敗血症は感染症に起因するSIRSと定義されていました。

SIRSとは、全身性炎症反応症候群のことで、下記の診断項目(全身性炎症反応の指標)を2項目以上満たす場合を言います

〔成人〕
【1】体温>38℃または<36℃
【2】脈拍数>90/分
【3】呼吸数>20回/分またはPaCO2<32Torr
【4】白血球数>12,000/mm3または<4,000/mm3,あるいは未熟型白血球>10%

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β-D-グルカンについて

β-D-グルカンの定義

β-D-グルカンは、真菌であるカンジダ属やアスペルギルス属などの細胞壁骨格を構成する主要な成分です。

正式には「(1→3)一β一D一グルカン」と表記します。

β-D-グルカンの解説

β-D-グルカンは、真菌の出芽のとき、または糸状菌菌糸の先端発育のとき、内因性グルカナーゼの作用によって、細胞外へ遊離されます。

侵襲性または播種性真菌症のマーカーとして利用することが可能です。

測定法としては、現在のところ、カブトガニ凝固系を利用したものとして、比色法と比濁法の2種類の方法があります。

なお、血清以外でも髄液や腹水中のβ一D一グルカン値を測定する有用性も報告されています。