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アシドミアとアルカレミア

アシドミアとアルカレミアは、pH値のみで明確に区別できます。

アシドミア

アシドミアとは「酸血症」のことです。

一般には、pHが7.35より小さい場合です。

アシドミアになる過程をアシドーシスといいます。

アルカレミア

一方、アルカレミアとは、「アルカリ血症」のことです。

一般には、pHが7.45より大きい場合です。

アルカレミアになる過程をアルカローシスといいます。

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被蓋上皮とは?

被蓋上皮とは、皮膚の外表面や、器官の内面を構成する上皮のことです。

被蓋上皮は、扁平上皮細胞、立方上皮細胞、円柱上皮細胞、移行上皮細胞に分類できます。

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熱が出る病気

発熱の主な原因を挙げます。

感染症

多くの場合、発熱の原因は細菌やウイルスによる感染症です。

感染症は、部位により様々な名称があります。

・上気道感染症(咽頭炎,喉頭炎,扁桃腺炎)

・下気道感染(COPD,気管支拡張症など)

・結核(肺結核,結核性胸膜炎,腸結核),非結核性抗酸菌症(MAC等)

・慢性中耳炎,慢性副鼻腔炎

・慢性尿路感染症,慢性前立腺炎,腎周囲炎

・循感染性心内膜炎,心外膜炎

・骨髄炎,関節炎

・肝膿瘍,胆嚢炎

・髄膜炎,脳炎,脳膿瘍

・腹腔内膿瘍

・歯性膿瘍,歯周病

・菌血症

・皮膚化膿症,褥瘡,肛門周囲膿瘍

・骨盤内感染症,Fitz-Hugh-Curtis症候群

・寄生虫感染症

感染症以外の原因

感染症以外で発熱する可能性のある代表的な原因は、以下の通りです。

・悪性腫瘍(癌)

・白血病

・悪性リンパ腫

・関節リウマチ

・SLE

・成人Still病

・リウマチ性多発筋痛症

・多発性筋炎/皮膚筋炎

・全身性硬化症(強皮症)

・Sjoegren症候群

・MCTD

・Wegener肉芽腫症

・各種の血管炎

・甲状腺機能亢進症,褐色細胞腫などの内分泌異常

・外傷,熱傷

・脱水

・貧血

・うっ血性心不全

・肝硬変

・体温中枢障害

・Crohn病,潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患

・熱射病,熱中症

・川崎病(MCLS)

・サルコイドーシス

・慢性疲労症候群

・心因性発熱(ストレス)

・本態性高体温症

・月経前熱

・薬剤熱

・妊娠

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排尿が痛いときの性病

おしっこをするときの痛み(排尿時の痛み)には、さまざまな原因がありますが、性病としては、男性でも女性でも、淋菌(リン菌) やクラミジアへの感染が疑われます。

リン菌

淋菌(リン菌)は、感染すると、尿道炎を起こします。

排尿時痛のほかに、尿道がかゆくなったり、おしっこのときに焼けるような感じがしたり(排尿時灼熱感)、尿道の出口が赤くなったり(発赤)します。

感染してから発症するまで(潜伏期間)が、2 ~ 7 日間と言われていますのて、思い当たる場合は注意が必要です。

淋菌は、女性の場合は症状があまり無いケースが多く、男性でも、排尿痛が少ないものや尿道からの膿が目立たないものがあります。

したがって、排尿時に、激しい痛みがなくても、リン菌を疑うケースもあります。

クラミジア

一方のクラミジアも、リン菌と同じように、尿道に炎症を引きおこします。

高い感染率のある性病ですが、症状が現れる割合は低く、無症状なのは、男性で約50%、女性で約75%と言われていま。

したがって、不快感や、軽度の腹痛、腰痛などがあるだけでも、疑うことができる性病です。

淋菌の検査と治療

男性は、尿道の分泌物をスライドグラスに塗って標本をつくり、顕微鏡で見ることで診断できます。

また、女性は、子宮頸部と尿道の分泌物を綿棒で採取してスライ ドグラスに塗って標本をつくり、顕微鏡で見ることで診断できます。

治療は、抗菌薬が処方されます。

たとえば、セフトリアキソン、セフォジジム、スペクチノマイシンといった薬になります。

クラミジアの検査と治療

クラミジアは、顕微鏡で診断できないため、基本的には、遺伝子検査を行います。

クラミジアの遺伝子を検出できれば、診断できます。

治療としては、抗菌薬の投与になります。

一般的には、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、レボフロキサシン、トスフロキサシン、シタフロキサシンなどを処方してもらいます。

かかるべき診療科

淋菌やクラミジアは、いずれも簡単な検査ですぐに結果がわかりますので、積極的に『泌尿器科』の診察を受けることがよいでしょう。

自宅用の検査キット

ネット上では、自宅で性病の検査ができる検査キットが紹介されています。

匿名で(名前を知られずに)、郵送で結果が分かりますので、だれにも知られる心配はありません。

クラミジア、淋菌、トリコモナス、梅毒、HIV、ヒトパピローマウイルスなどに幅広く対応しています。

値段などを比べて、申し込むと良いでしょう。

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のどが痛くなる性病

のどが痛いときに考えられるのは、風邪ですが、咳が出ていないようなときは、性病の可能性もあります。

性行動の多様化や、風俗サービスの増加を背景に、喉(のど)についての性感染症患者が増えていますので、のどが痛くなる性感染症を紹介します。

ちなみに、医者にかかる場合は、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

梅毒

梅毒は、口の中(口腔)や、のど(咽頭)が痛くなります。

性器や皮膚にも、病変が現れる場合があります。

梅毒は、粘膜や体液を介して他者へ感染する病気です。

1回の性行為で相手が感染する確率は約30パーセントとされています。

顕微鏡検査や、血液検査で診断できます。

抗菌薬の投与で治る病気です。

梅毒について

淋菌とクラミジア

淋菌(リン菌)とクラミジアは、のどに感染します。

尿道や、女性の子宮にも感染します。

症状のない場合が多いです。

女性は、性器への感染が放置されると不妊の原因になりえますので、早めの治療が必要です。

血液検査や、菌の培養検査で診断できます。

抗菌薬の投与で治る病気です。

単純ヘルペスウイルス(HSV)

単純ヘルペスは、キスなどの性的接触によってうつる性病です。

のどに強い痛みが出る場合があります(咽頭炎や扁桃炎)。

感染の疑われる細胞を採取して検査することで診断可能です。

抗ウイルス薬を投与して治る病気です。

ヒトパピローマウイルス(HPV)

ヒトパピローマウイルスは、性交経験者の 60% が少なくとも1 回以上は感染すると言われています。

このウイルス(HPV)は、生殖器(性器)にイボができる『尖圭コンジローマ』という病気を発症することがあるウイルスです。

この人パピローマウイルスは、生殖器だけではなく、のどへの感染により、のどが痛くなる場合があります。

この病気は、感染の疑われる細胞を採取して検査することで診断できます。

現在のところ、治療方法は確立されていないようです。

なお、癌(がん)の原因として注目されているため、感染があるかどうか確認するのは重要です。

自宅用の検査キット

ネット上には、自宅で性病の検査ができる検査キットが、いくつも紹介されています。

匿名で(名前を知られずに)、郵送で結果が分かりますので、だれにも知られる心配はありません。

いずれの会社も、クラミジア、淋菌、トリコモナス、梅毒、HIV、ヒトパピローマウイルスなどに幅広く対応しています。

検査の値段を比べて、自分に合うものを選べばよいでしょう。

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ニコチン依存症の薬理学的メカニズム

「タバコはカッコいい」

そんな昭和の価値観は,現代では否定されていますね.

ご存知の通り,主な理由は,本人だけでなく,周囲の人の健康を害するからです.

特に,煙の影響は,妊婦の胎内にいる胎児や,家庭内の幼い子どもにまで及びます.

このことから,タバコを,「悪」あるいは「憎むべき敵」として見る人もいるほどです.

しかし,タバコを吸っている人は,そういうことが分かっていてもなかなか辞められないのが現状ではないかなと思います.

JTの調査によれば,2018年の段階で,約28%の男性と,約9%の女性が喫煙しているようです.

これだけネットが発達して,タバコの害を把握しやすいのに,彼ら/彼女らは,なぜタバコをやめられないのでしょうか?

 

ここでは,その現象を理解するため,ニコチン依存の仕組みについて,文献を参考に勉強したことをまとめてみました.

 

内容を理解すると,けっこう面白く感じられます.

 

禁煙ストレスの正体

喫煙者がタバコをやめると,たった1日で,ストレス悩まされます.

そして,ストレスに耐えきれなくなります.

しかし,再びタバコを吸うと,ストレスが消えてしまいます.

すると,「やはりタバコは必要だ」と考え,辞められなくなってしまいます.

そのストレスの正体は,ニコチン依存の離脱症状と呼ばれるものです.

 

脳の仕組みとニコチンの作用

やや小難しい話になりますが,脳の神経細胞のシナプスはアセチルコリン,ドーパミン,ノルアドレナリン,セロトニンなどの神経伝達物質で情報の伝達を行っています.

シナプス前膜では,神経伝達物質の合成と放出が行われます.

シナプス後膜では,神経伝達物質の受容体があり,放出された神経伝達物質の識別を行います.

識別されたときはシナプス後膜で電気的興奮が生じます.

役目を終えた余分な伝達物質はシナプス間隙で速やかに代謝されます.

ところが,

ニコチンがシナプスに入り込むと,シナプス前膜に作用し,神経伝達物質の合成と放出を促進します.

また,ニコチンは,自らシナプス後膜に働きかけ,受容体を介さずに,後膜の電気的興奮を生じさせます.

このメカニズムにより,ニコチンの気分高揚感や覚醒作用が現れます.

ニコチン離脱症状

ニコチンは本来の神経伝達物質と異なり,シナプス間隙で代謝されません.

つまり,シナプス前膜では神経伝達物質を合成放出し続け、,シナプス後膜は通常より長く興奮を続けることになります.

喫煙によりニコチン刺激が常態化するとシナプス前陣では神経伝達物質が枯渇し,シナプス後膜では受容体が減少してしまいます.

この状態ではニコチンが存在しないとシナプス間隙で神経伝達が不十分となり,気分が沈んだりイライラしたり眠たくなったりする症状が現れます。

これが「ニコチン離脱症状」と呼ばれるストレスの正体なのです.

 

以上,タバコをやめられないメカニズムでした.

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小児の脱水症の症状、診断、治療

脱水症は小児科によくある疾患ですので、解説します。

なぜ小児は脱水しやすいか

子供が脱水症になりやすいのは、体液の回転が早いからです。

つまり、水が入ってから出て行くまでのスピードが、大人よりも早いです(約3倍の早さ)。

脱水がよく起きるのは、急性胃腸炎のときや(下痢,嘔吐,発熱により水分摂取が低下)、インフルエンザ,ヘルペス性口内炎などの熱性疾患のとき、あるいは、肺炎や気管支喘息などの呼吸器疾患のときです。

脱水の症状と診断

脱水症では、皮膚緊張度(ツルゴール)の低下、口腔粘膜の乾燥、採血や点滴ラインの確保時などの痛覚刺激に涙がでない、などが典型的な徴候です。

また、短期間で体重が減少したときは、体液が減少していると考えます。

普段の体重から、5%未満の減少は「軽症」、5〜9%の減少は「中等症」、9%以上は「重症」と判断します。

中等症以上の脱水症では、心拍数の増加が認められ、また、全身状態が明らかに悪化します。

中等度〜高度の脱水では、下記の「低張性脱水」では意識状態の低下から昏睡を認め、また、下記の「高張性脱水」では易刺激性の充進・けいれんなどを認めます。

脱水の分類

脱水には、大きく分けて3つのタイプがあります。

低張性脱水(血清Na値:135 mEq/L未満)

細胞外液が低張になることにより自由水が細胞内に流入し、体外への細胞外液の喪失以上に細胞外液量の低下が生じている状態です。

等張性脱水(血清Na値:135~145 mEq/L)

電解質のin-outのバランスは取れていますが、細胞外液が減少した状態です。

高張性脱水(血清Na値:145 mEq/L以上)

浸透圧勾配によって、細胞内液中の自由水が細胞外液に移動するため、細胞外液量の減少は比較的少ないものの、神経系細胞やアストロサイトなどの細胞内液が減少し、それに伴って神経系細胞の細胞容積が減少している状態です。

脱水の治療

経口補液療法

脱水症の治療は、経口補液療法(oral dehydration therapy:ORT)が基本です。

軽症および中等症の脱水では、経口補水が可能なときはORTを試します。

一方、中等症以上の脱水があり、嘔気などがあり経口補水が十分に期待できないときは、経静脈的輸液を選択します。

経静脈的輸液

経静脈的輸液は,初期輸液と維持輸液の2種類に分類されます。

初期輸液

脱水症の多くは初期輸液(欠乏輸液とも呼ばれる)のみで十分です。

初期輸液には、「生理的食塩水」、「細胞外液型製剤」、あるいは「低張性輸液製剤(開始液:1号液など)」を用います。

初期輸液を迅速に行い、数時間のうちに、失った体液のおよそ半分〜2/3を補充します。

排尿を確認し、全身状態が改善したところを治療の目安とします。

維持輸液

維持輸液は、一日に必要とされる水分・電解質の補充と、最低限のエネルギーの補充を目的とする輸液です。

維持輸液には、基本的には、低張性輸液製剤(低張液)を用います。

この維持輸液が必要になるのは、初期輸液の後も、嘔吐および下痢の持続などで体液喪失が継続し、経口補水療法のみでは脱水が再び起きる可能性があるときです。

また、意識状態の低下や、全身状態の悪化で飲水ができない場合や、何らかの理由で経口的な水分摂取が不能な場合も、維持輸液が必要になります。

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糖尿病性ケトアシドーシス

糖尿病性ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis:DKA)について解説します。

糖尿病性ケトアシドーシスとは

糖尿病性ケトアシドーシスは、高血糖、高ケトン血症(ケトーシス)、アシドーシスが揃った病態です。

DKAの発症は、1型糖尿病の発症時や1型糖尿病患者がインスリン注射を中断したとき、シックデイのとき等にみられます。

また、2型糖尿病の患者(特に若年の肥満者)が、清涼飲料水を多飲し続けたときなどにも発症します(清涼飲料水ケトーシス)。

糖尿病性ケトアシドーシスの原理

糖尿病性ケトアシドーシスの原因は、インスリンの極端な低下です。

また、グルカゴン、カテコラミン、コルチゾール、成長ホルモンなどのインスリン拮抗ホルモンの増加によりインスリンの作用が妨げられるのも原因です。

糖尿病患者では、インスリンの作用が不足すると、エネルギー源としてグルコースを利用できなくなります。

グルコースが利用できないとき、代替エネルギとして脂肪組織から遊離脂肪酸が動員されます。

遊離脂肪酸はミトコンドリアでβ酸化されますが、遊離脂肪酸の量が多いと「アセト酢酸」や「β-ヒドロキシ酪酸」、「アセトン」などのケトン体が産生されます。

ケトン体は弱酸ですが、大量に産生されるとアシドーシスとなります。

糖尿病性ケトアシドーシスの症状

口渇、多飲多尿、疲労、全身倦怠、体重減少、 吐き気、嘔吐、腹痛、顔面紅潮、粘膜や口腔内の乾燥頻脈などが認められます。

病状が進行すると、傾眠傾向、低血圧、過呼吸けいれん、ケトン臭を呈し、さらに進行すれば昏睡状態になり、クスマウル大呼吸,体温の著しい低下などが起こります。

クスマウル大呼吸

換気量の増加した規則的な呼吸型で、呼吸数は一般に緩徐です。呼気相が努力性である点が特徴的で、糖尿病や尿毒症時のケトアシドーシスの際に出現します。

糖尿病性ケトアシドーシスの検査

病歴などから糖尿病ケトアシドーシスを疑ったら、まず、簡易血糖測定器で血糖値を測定します。

高血糖であれば、血液ガスや、血中ケトン体の測定、一般生化学検査や尿一般定性検査を行います。

典型的には、つぎのような所見となります。

・血糖 300mg/dL以上

・ナトリウム 正常〜軽度低下

・カリウム 軽度高値

・BUN 上昇

・尿ケトン 陽性〜強陽性(+〜3+)

・動脈血pH 7.3未満

・血漿浸透圧 300mOsm/L以上

・HCO3― 10mEq/L未満

治療

補液

はじめは、生理食塩水を500〜1000 mL/時の速さで点滴します。

経過とともに、速度を遅くしていきます。

血糖値が300を下回ったところで、3〜5%ブドウ糖を含んだ補液とします。

インスリン

はじめに速攻型インスリンを静注し、その後に、インスリンを持続注入します。

尿中ケトン体が消失するまで継続します。

経口摂取が可能になったところで、皮下注射に切り替えます。

そのほか

必要に応じて、カリウム補充や、重炭酸補充をします。

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ジフテリア

ジフテリアとは

ジフテリアは、感染したCorynebacterium diphtheriae(ジフテリア菌)の毒素よる上気道疾患です。

感染症法では、第2類疾患に分類されています。

病態の分類

主に3つの病態があります。

扁桃・咽頭ジフテリア、鼻ジフテリア、喉頭ジフテリアです。

なお、重大な合併症は,毒素による、心臓や中枢神経の症状です。

特に、心筋炎を合併すると予後が悪くなります。

扁桃・咽頭ジフテリア

扁桃ジフテリア、咽頭ジフテリアは、2〜5日の潜伏期間を経て、発熱、倦怠感,食欲不振,咽頭痛,微熱、嚥下痛などの症状から始まります。

24時間後には扁桃,咽頭などに特徴的な厚い偽膜(白い膜)が形成されます。

頸部のリンパ節炎は、大きく腫れると、“bull neck”と呼ばれる状態になります。

症状は毒素血症の程度によって異なり、10日ほどで治癒する患者もいれば、死亡に至る患者もおり、様々です。

鼻ジフテリア

病初期は微熱で、次第に鼻汁は血液が混ざります。また、粘液膿性となります。

鼻孔,上唇はびらんします。無治療の場合、この症状は数週間続きます。

喉頭ジフテリア

咽頭ジフテリアから進行し、発熱、咳嗽、嗄声、犬吠様の咳「クループ」などが特徴です。

気道に膜が形成され、呼吸困難が生じます。気道閉塞によって死亡に至る例もあります。

診断

診断は,病変部からの菌の分離によって行います。鼻咽腔粘膜や結膜などから偽膜を採取し、特殊な培地で培養します。

または、PCR法によりジフテリア菌の遺伝子を検出します。

治療方法

ジフテリア菌の産生する毒素を迅速に抗毒素により中和し、さらに、適切な抗菌薬を投与します。

抗毒素は北里研究所が管理しています。

保健所に届け出て、抗血清を入手します。

抗菌薬はエリスロマイシンが第一選択となります。培養が陰性になることを確認するまで投与します。

予防法

本症の予防には、ジフテリア、百日咳、破傷風(DPT)3種混合ワクチンや、ジフテリア、破傷風(DT)2種混合トキソイドの接種が行われています。

ジフテリア発生地に渡航する際にはDTワクチン接種が望ましいです。

疫学

国内においては3種混合ワクチンの普及により1999年の1例を最後に発生はありませんが、2000年以降ジフテリア菌に近縁のCorynebacterium ulceransによる5例のジフテリア類似症例が報告されています。

法律関係

本症は2類感染症に分類され,診断した医師は直ちに保健所へ届出義務があります。

C. ulceransの産生する毒素もまたC. diphtheriaeの産生する毒素と類似しているため、診断したときは速やかに厚生労働省に届け出なければいけません。

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ペスト

ペスト感染症とは

ペストは、ペスト菌(Yersinia pestis)の感染による疾患です。

感染症法では、第1類疾患に分類されています。

原因と感染ルート

ペスト菌は、マウス,ラットなどのげっ歯類が保菌しています。

ペスト菌を保有している動物を吸血したノミ(ケオプスネズミノミなど)を介してヒトに感染します。ノミに咬まれた傷口から感染を起こします。

世界的にはアフリカを中心として,現在でも患者が発生しています。

なお、日本では、「黒死病」として直近では大正15年(1926年)に報告がありました。

病態の分類

ペストの病態は,「腺ペスト」,「敗血症ペスト」、「肺ペスト」の3つに大別されます。

腺ペスト

ペスト菌が、局所リンパ節に移行し、リンパ節は化膿性変化によって腫大します。

ペスト菌が、脾臓,肝臓,骨髄などのほかの臓器に移行して重症化すると、敗血症ペストを起こします。肺ペストを起こすこともあります。

39℃以上の発熱,頭痛,悪寒,筋肉痛,関節痛,倦怠感などが生じ、腫脹リンパ節は自発痛や圧痛を伴います。

敗血症ペスト

意識レベルの低下,四肢末端部の壊死,紫斑、皮膚の出血などが現れ,播種性血管内凝固症候群(DIC)やショックを伴い,数日以内に死亡することが多いです。

肺ペスト

腺ペストや敗血症ペストの経過中に肺炎として発症したり、肺ペスト患者の咳などで排出されるエアロゾルを吸引することで発症したりします。

頭痛,嘔吐,高熱などの症状とともに呼吸困難や血痰を訴え,肺炎は急速に進行し重篤な状態に陥りやすいです。

確定診断

血液などから、培養によって菌が分離されたり、PCRで遺伝子が検出されたりすれば、確定診断となります。

なお、蛍光抗体法でエンベロープ抗原を検出した場合や、エンベロープ抗原に対する血清抗体が急性期に比べて回復期で上昇した場合にもペストと診断できます。

治療方法

アミノグリコシド系、キノロン系、テトラサイクリン系の抗菌薬が用いられます。

特に、肺ペストは進行が急激の場合があるので、初期治療が重要です。

なお、ペスト患者と接触した場合は経口抗菌薬を予防内服します。

ワクチンも存在します。

法律関係

ぺストは1類感染症に指定されているため、法に則り、ペスト患者、無症状ペスト菌保有者、ペスト疑似症患者、ペスト死亡者、ペスト死亡疑い者について、医師は保健所へ届け出る必要があります。