ネガティブ染色とは、ウイルス粒子の形,大きさ,表面の様子を、電子顕微鏡によって観察するときに用いられる染色方法です。
ネガティブ染色では、指示膜の上に載せたウイルス粒子を、リンタングステン酸などの電子を散乱させやすい重金属塩の溶液で染色します。
この染色では、ウイルス粒子の周辺が、電子の散乱により黒く染まったように見えます。
これに対し、ウイルス粒子は、電子線が通過します。つまり、黒く染まりません。
ネガティブ染色とは、ウイルス粒子の形,大きさ,表面の様子を、電子顕微鏡によって観察するときに用いられる染色方法です。
ネガティブ染色では、指示膜の上に載せたウイルス粒子を、リンタングステン酸などの電子を散乱させやすい重金属塩の溶液で染色します。
この染色では、ウイルス粒子の周辺が、電子の散乱により黒く染まったように見えます。
これに対し、ウイルス粒子は、電子線が通過します。つまり、黒く染まりません。
細菌の莢膜が、特異抗体と反応し、莢膜が膨化する反応を、莢膜膨化反応と呼びます。
この莢膜膨化反応は、肺炎球菌や、インフルエンザ菌の血清型別に利用されています。
コッホは、ある微生物が特定の病気の原因菌であると認めるための条件として、下記の4つの条件を提唱しました(コッホの四原則)。
1. 特定の感染症の病変部位からは、特定の微生物が検出されること
2. 病変部位から検出された菌は、その病気にのみ認められること
3. その禁を動物に接種して感染させた場合、同じ病気を引き起こすこと
4. 感染させた動物から、同じ微生物が検出されること
アミノ酸が、蛋白の合成に使われるためには、エネルギーとして使われてしまう分を少なくすることが必要です。
そのためには、糖質や脂質を、うまいバランスで、アミノ酸とともに投与する必要があります。
その投与バランスを、糖質+脂質(kcal)/窒素量(g)で表し、これを、NPC/N比といいます。
なお、NPCは、非蛋白質熱量の意味です。Nは、窒素量です。
150〜200程度であれば、効率よく蛋白の合成が進むと言われています。
代表的な薬剤耐性菌としては、つぎのものが挙げられます。
グラム陽性球菌では、黄色ブドウ球菌、腸球菌、肺炎球菌が主に問題となり、以下のような耐性菌があります。
mecA 遺伝子によりPBP2’(PBP2プライム)を産生します。β‐ラクタム系抗菌薬はこの PBP2’に対 する親和性が低いため、細胞壁の合成が阻害されません。
バンコマイシン耐性遺伝子(van遺伝子)により、バンコマイシンの結合部位であるD-アラニル-D-アラニン(ペプチドグリカンの構成単位のムレインモノマー末端)が、D-アラニル-D-ラクテートに変異しています。そのため、細胞壁の合成が阻害されません。
バンコマイシン耐性遺伝子(van遺伝子)の種類により9種類が確認がされています。VanA、VanB、VanC、VanD、VanE、VanG、VanL、VanM、VanNです。
PBPをコードする遺伝子(pbp1a、pbp2x、pbp1a、pbp2b)の変異により、PBPが変異しています。そのため、細胞壁の合成が阻害されません。
グラム陰性球菌では、淋菌(リン菌)が問題となります。
ペニシリン耐性菌として、ペニシリナーゼ産生淋菌(PPNG)と染色体性ペニシリン耐性淋菌(CMRNG)とに分類されます。
前者はペニシリナーゼの産生により、後者はPBP2の産生を支配するpenA遺伝子の変異により、細胞壁の合成が阻害されません。
グラム陰性桿菌では、さまざまな菌種が問題となります。
アンピシリン耐性菌として、βラクタマーゼ陽性アンピシリン耐性インフルエンザ菌(BLPAR)、βラクタマーゼ陰性アンピシリン耐性インフルエンザ菌(BLNAR)、βラクタマーゼ陽性アモキシシリン/クラブラン酸耐性インフルエンザ菌(BLPACR)に分類されます。
さまざまな抗菌薬を分解する酵素を産生する菌として、IMP型メタロβラクタマーゼ産生菌、NDM-1型メタロβラクタマーセ産生菌などがあります。
さまざまな抗菌薬を分解する酵素を産生する菌として、基質特異性拡張型βラクタマーゼ (ESBL)産生菌、KPC型βラクタマーゼ産生菌、AmpC型βラクタマーゼ産生菌、OXA型βラクタマーゼ産生菌などがあります。
上記のほか、多剤耐性緑膿菌(MDRP)、多剤耐性アシネトバクター・バウマニ(MDRAB)などが問題となります。
抗酸菌では、多剤耐性結核菌などが問題となります。
最小発育阻止濃度:MICと、最小殺菌濃度:MBCについて解説します。
最小発育阻止濃度MICは、試験管内(in vitro)で菌の発育が阻止される最小の薬剤濃度を意味します。
MICを確認するには、抗菌薬を二倍連続希釈した培地を用意して、各培地に菌を接種し、培養して発育の有無を確認します。
一方、最小殺菌濃度MBCは、試験管内(in vitro)で菌が殺菌される最小の薬剤濃度を意味します。
MIC値とMBC値は、同時に測定することができます。
すなわち、MIC以上の濃度(発育阻止されている濃度)において、細菌が殺菌されているのかどうかを、追加検査で明らかにします。
具体的には、発育阻止されている培地のうち、薬剤濃度が最も低い培地の一部を、別の液体培地に接種し、培養します。
培養結果が陰性であれば、その薬剤の濃度においては、菌が殺せているということで、薬剤の効果が「殺菌的」と評価され、その濃度はMBC値となります。
つまり、MIC = MBCとなります。
逆に、培養結果が陽性であれば、その濃度においては、菌が殺せていないということで、薬剤の効果は「静菌的」と評価され、その濃度よりも高い濃度がMBC値となります。
つまり、MIC < MBCとなります。
この場合、MBCを確認するための追加試験として、発育阻止されている培地のうち、薬剤濃度が二番目に低い培地を使って、培養試験を行います(培養が陰性になるまで、薬剤濃度を上げていきます)。
なお、MIC値とMBC値に大きな差がある菌の場合、その薬剤に対する耐性を獲得しやすいと言われています。
疫学研究の基礎知識を解説します。
疫学研究は、観察研究と介入研究とに大別されます。
観察研究は、観察によって、曝露要因と健康影響の関連を明らかにします。観察研究では、人為的な操作を加えません。
一方、介入研究は、対象者に何らかの処置をして、その結果をみる研究手法です。
研究の始めで、曝露と結果の因果関係がまだよく分からないときは、まずは観察研究から始めます。
例えば、研究仮説が、「長時間労働をしている会社員は、うつ病を発症しやすい」である場合、本当に長時間労働が、うつ病の発症の原因となっているのかをまず確かめる必要があります。
実際に観察研究を行い、因果関係が認められれば対策が立案できます。つまり、「労働時間を減らすと、うつの発症が減少する」 を研究仮説とする介入研究を計画することができます。
実際に介入研究を行い、労働時間を減らした群では、そうでない群と比較してうつ病発症が減少していれば、仮説を証明するエビデンスとなります。
観察研究は、記述疫学と分析疫学に大別されます。
記述疫学とは、人間集団中の疾病の頻度および分布を、人,場所,時間別に観察し、目的とする疾病の発症パターンの特徴を明らかにします。
例えば、人口動態統計や、労働者健康状況調査、健康診断受診状況調査などは記述疫学の手法を用いた研究です。
一方、分析疫学では、「疾病」と「記述疫学から得られた、疾病と関連があると疑われた要因(仮説要因)」と間の統計学的関連を確かめ、その要因の因果性の推定を行います。
分析疫学は、曝露指標と結果指標のデータを、どのタイミングで収集するかの違いによって、さらに横断研究,コホート研究,症例対照研究に大きく分けることができます
ある一時点での曝露(原因)と結果(疾病の有無〉とを同時に調べる研究を、横断研究といいます。
横断研究は、調査がシンプルで時間やコストがかからないという点がメリットです。
例えば、「運動時間の短い人ほど、高血圧になりやすい」ことを明らかにしたい場合は、調査時点の運動時間と血圧を調査することになります。
ただし、横断研究では、調査によって曝露と疾病との間に関連があることを示せたとしても、因果関係までは明らかにできません。
コホート研究は,ある特定の人間の集団を継時的に追跡し,その集団からどのような疾病・死亡が起こるのかを観察して,曝露と疾病との間の因果関係を明らかにする研究です。
仮説を検証するためのターゲットとなる曝露指標をベースライン時に収集し,一定の時間を置いて結果指標を追跡時に収集します。
前向きに追いかけるので,前向き研究,縦断研究とも呼ばれます。
例えば,「喫煙者は非喫煙者よりも心疾患を発症する傾向がある」ことを明らかにしたい場合は、まず、心疾患を発症していない対象者を、喫煙状況で分類しておきます。
そして数か月~数年後に、対象者を調査し、新規の心疾患の発症の状況について調べます。
その結果、二つの群で心疾患の発症率に差があれば、喫煙と心疾患との間に因果関係があると言うことができます。
コホート研究は、曝露と疾病の時間的な前後関係が明確であるため、観察研究の中では、結果の信頼性が高いです。
また、複数の疾病について曝露の影響を調べることができるという利点もあります。
ただ、前向き調査であるため、時間と費用と労力がかかるという欠点があります
症例対照研究とは、疾患群と非疾患群とで、曝露の程度を比較することで、曝露と結果との関連を調べる研究です。
つまり、過去にさかのぼって、特定の要因への曝露状況を調べ、曝露要因と結果との関連を検討します。
例えば、研究仮説が「喫煙者は、結核にかかりやすい」であるとすると、症例対照研究では「既に結核を発症している患者」が まずターゲットとなります。
同時に、「結核を発症していない喫煙者」を選び、対照群とします。
これらの対象者に、過去の喫煙歴について質問して比較します。
症例対照研究では、曝露指標と結果指標との関連はオッズ比(Odds Ratio:OR)で示されます。
オッズとは「確率」のことで、オッズ比とは、事象が起こる確率と起こらない確率の比です。
つまり、症例群の曝露オッズと対照群の曝露オッズの比であり、オッズ比が大きくなるほど,曝露要因と結果指標との関連が強いと判断されます。
症例対照研究は、既に疾患や症状を持つ人を対象とするため、時間がかからない利点があり、また、難病などの稀な疾患に適しています。
なお、症例対照研究では、選択バイアスや情報バイアスなどの偏りが生じないように注意する必要があります。
介入研究とは、分析疫学によって疾病との因果関係との推定がなされた要因(危険因子/予防因子)を、慎重に除去/適用して(介入)、集団を一定期間観察し、疾病の増減などを実験的に確かめる研究です。
介入研究は、無作為化比較試験、非無作為化比較試験、前後比較試験に大別できます。
無作為化比較試験とは、介入群と、非介入群(対照群)を用意し、研究参加者を無作為にグループ分けします(無作為割り付け)。
無作為割り付けは、研究参加者のあらゆる特性について、グループ間の偏りを取り除くことができます。
非無作為化比較試験とは、無作為割り付けを行わない介入研究です(準実験研究と呼ばれることもあります)。
非無作為化比較試験は、無作為化が不可能な場合などに用いられます(例えば、健康を害するおそれのある要因の影響を調べたいとき、ランダムに対象者を選ぶことには倫理的な問題があり、実施できません)。
非無作為化比較試験は、上記の無作為化比較試験よりも実施しやすいという利点はありますが、介入を受けるグループと受けないグループとの間に違いが生じやすく、介入後に生じたグループ間の差を純粋な介入の効果と結論づけることが難しいという欠点があります。
前後比較試験とは、介入を受けるグループのみ用意し、介入の前後での変化を比較する試験です。
前後比較試験は、介入を受けないグループと結果を比べることができませんので、生じた変化が介入によるものか、その他の要因によるものか、判定ができないという欠点があります。
ポストアンチバイオティックエフェクトとは、患者に薬剤を投与するときに、投与のタイミングに時間的な間隔を設けた場合でも、前回に投与した薬剤の効果が残っていることを意味します。
これにより、投与間隔が長い場合でも、薬剤の効果が加算されていくというメリットがあります。
核酸や蛋白の合成阻害剤にこのPAEがあり、たとえば、アミノ配糖体、キノロン、マクロライド、テトラサイクリン系の薬剤には、PAEがあります。
また、βラクタム剤では、グラム陽性球菌には、PAEがあることが知られています。
サブテロメアについて解説します。
サブテロメアは、染色体の端部にある配列です。
染色体の端から順に「テロメア」→「サブテロメア」と並んでいます。
サブテテロメアは、24種類の染色体(1〜22番染色体、X染色体、Y染色体)の各腕(短・長腕)に存在します。
1個の細胞の中には、各染色体の各腕について2個ずつサブテロメアが存在します。1個は父親由来で、もう1個は母親由来です。
なお、男性の場合、X染色体もY染色体も1本ずつしかありません。したがって、X染色体・Y染色体の各腕のサブテロメアはそれぞれ1個です。
サブテロメアの近傍は、染色体が複製されるときに切断されやすいと言われてます。
そして、切断されたときには、他の染色体部分に付着する傾向(転座)があります。
こうして、1個のサブテロメアが失われた状態は「サブテロメア微細欠失」と呼ばれています。サブテロメア微細欠失となったヒトは、サブテロメアの部分モノソミーと診断されることになります。
他方、1個のサブテロメアが過剰となった状態は「サブテロメア微細重複」と呼ばれています。サブテロメア微細重複となったヒトは、サブテロメアの部分トリトミーと診断されることになります。
インスリンと低カリウム血症について解説します。
糖尿病の患者で、持続インスリン投与を行っている人は、低カリウム血症になりがちです。
理由は、インスリンに、細胞の外から中へ、カリウムを取り込む作用があるためです。
これは、カリウムシフト(Kシフト)と呼ばれます。
細胞外液中のKの一部は、起電性のNaポンプを介して能動的に細胞内へ移行します。
インスリンは、ブドウ糖とは無関係に骨格筋や肝細胞のNaポンプ活性を刺激し、Kの細胞内への取り込みを促進します。
血清カリウム値の基準範囲は、3.6 〜 4.8mEq/Lです。
血清カリウム値が3.5mEq/L以下になると、脱力・筋力低下・テタニーなどの骨格筋症状、嘔吐・便秘・麻痺性イレウスなどの消化器症状、糖代謝異常、腎肥大、多尿、T波の平低化・U波の出現・PQ間隔の延長などの心電図異常が現れます。
なお、急性心筋梗塞の患者を対象とした研究では、血清カリウム値が「3.5 〜 4.0mEq/L」のときに死亡率が低く、その範囲外では死亡率や心室細動発生率,心停止が高いと報告されています。
低カリウム血症では、カリウムの経口補給(野菜,果物, ジュースなど)を第一選択とします。
不十分であれば、経口薬で補充するか、カリウム製剤の輸液を行います。
カリウムの補充中は、定期的に血清カリウム値を確認します。
輸液の場合の補正の目安としては、カリウム製剤を40mmol/L 以下に希釈して 20mmol/h を超えない速度で投与します。
なお、2型糖尿病の場合、ブドウ糖はインスリン分泌を促進し、カリウムの細胞内流入を惹起させ、低K血症を増悪させる可能性がありますので、カリウム溶解液としては、生理食塩液や細胞外液補充液など、ブドウ糖を含まない溶液が望ましいでしょう。
ちなみに、カリウムを補充する以外の対応策としては、原因となるインスリンの投与量を減らす方法があり得ます。
ただし、インスリン量を減らすことで、血糖値の上昇を招いたり、血清カリウム値の上昇を招いたりする可能性があります。
従って、インスリン量を減らす場合には、血糖値やカリウム値の動きに注意する必要があります。