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エネフリードとビーフリードの違い

エネフリードは、大塚製薬から2020年に発売された末梢静脈栄養輸液です。

エネフリードは、日本で初めて、糖、電解質、アミノ酸に加え、脂肪および9種類の水溶性ビタミンをダブルバッグに一剤化することにより、1~2週間程度の栄養管理を可能とした製剤です。

エネフリードとビーフリードの違い

これまで、末梢静脈栄養輸液としては、ビーフリードが有名でしたが、ビーフリードには、脂肪が含まれていませんでした。

また、ビーフリードには、糖質の代謝に必須のビタミンB1は含まれていましたが、その他の各種のビタミンが含まれていませんでした。

つまり、エネフリードとビーフリードを比べると、脂肪と各種ビタミンの含有の有無が異なることになります。

カロリーの違い

ビーフリードは、500mlあたり210キロカロリーです。

エネフリードは、500mlあたり310キロカロリーです。

エネフリードの注意点

エネフリードは、含有する脂肪が目詰まりするため、除菌用ファイナルフィルターを使用できない点に注意が必要です。

また、臨床検査値に影響する場合があります。具体的には尿検査です。エネフリードは、アスコルビン酸を含有しているため、尿試験紙での尿糖の検出反応を妨害する可能性があります。また、各種の尿検査(潜血、ビリルビン、亜硝酸塩)・便潜血反応検査で、偽陰性を呈することがあると注意喚起されています。

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浮腫の原因

浮腫とは、組織間隙に過剰な水分が貯留した状態のことを言う。

浮腫は患者の体内になんらかの原因があって現れた症状である。

浮腫の原因には、毛細血管内圧の上昇、血漿膠質浸透圧の低下、血管透過性の亢進、リンパ管の閉塞・ 発育不全の 4 つがあげられる。

毛細血管内圧の上昇は、心不全、腎不全、静脈瘤および深部静脈血栓症などが原因となる。

血漿膠質浸透圧の低下は、血中アルブミン濃度の低下が原因となる。

血管透過性の亢進は、炎症が原因となり、炎症性浮腫とも呼ばれる。

リンパ浮腫については、病期分類が参照可能である(国際リンパ学会)。

 

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CD毒素の検査でNAAT陽性の場合の解釈

近年、PCR装置の普及により、CD毒素の迅速診断検査(イムノクロマト法)で抗原陽性、毒素陰性となったときに、NAAT(PCR検査)をする施設が増えました。

NATT陽性の場合、ただちに、CDIと診断できるわけではないことに注意が必要です。

なぜなら、健常人にも、CDは保菌されていることがあるからです。だいたい2~15%の健常者が、CDを保菌していると言われています。

したがって、NATT陽性の場合、少量の毒素産生株の定着である可能性も考慮に入れて診断する必要があります。

*参考

クロストリディオイデス(クロストリジウム)・ディフィシル: Clostridioides(Clostridium) difficile関連下痢症(CDAD)

文献:『CDI の検査・診断・予防・治療』対象患者の考え方と新規薬剤による今後の展望 中村敦 名古屋市立大学大学院医学研究科 病院教授/名古屋市立大学病院 感染制御室室長(感染対策 ICT ジャーナル Vol.14 No.1 2019)

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溶血で変わる血算の検査データ

溶血とは、何らかの原因で、赤血球が生理的寿命を迎える前に破壊され、赤血球に含まれるヘモグロビン(Hb)や、さまざまな酵素など、赤血球の内容物が血漿中へ放出されることです。

この溶血は、生体内で起きる場合、病的です。

ひとつは、血管外溶血で、脾臓などの網内系で赤血球が破壊されます。

もうひとつは、血管内溶血で、血管内で赤血球が破壊されます。

なお、試験管内溶血という、採血時に過剰な陰圧がかかった場合の溶血や、全血の凍結・融解がなされた場合の溶血や、強い振動や撹拝、過度な低温あるいは高温の影響を受けた場合の溶血もあります。

溶血があると、赤血球数(RBC)と、ヘマトクリット値(Ht値)が偽低値となります。

なお、平均ヘモグロビン濃度(MCHC)と平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)は、偽高値となります。

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漏出性胸水、滲出性胸水

漏出性胸水

漏出性胸水は、血管内の圧が高まり、胸水がしみ出してくるイメージ。

心不全や、肝硬変やネフローゼ症候群などによる低アルブミン血症などが原因になり得ます。

滲出性胸水

一方、滲出性胸水は、胸膜の病変が、胸水を産生するイメージ。

一般細菌や抗酸菌による感染性の胸膜炎、がん性胸膜炎など。

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腸内細菌目細菌とは何か、その特徴は何か。

腸内細菌目細菌は、Enterobacteralesと表記される。

腸内細菌目細菌は、以前に腸内細菌科細菌と呼ばれていた細菌群である。

経緯としては、腸内細菌科細菌は2016年に再編成された。

Enterobacteriaceae(腸内細菌細菌)は、Enterobacterales(腸内細菌細菌)と上位レベルに変更され、7つの科に分けられたのである。

7つの科とは、Budviciaceae, Enterobacteriaceae(腸内細菌細菌), Erwiniaceae, Hafniaceae, Morganellaceae, Pectobacteriaceae, Yersiniaceaeである。

このような変更があった理由として、例えば、Proteus属菌がMorganellaceaeに移籍され、Edwardsiella属菌がHafniaceaeに移籍されるなど、これまでEnterobacteriaceae(腸内細菌科細菌)に属していた菌種が他の科に移籍されたという事情がある。

ちなみに、CLSIのドキュメントにおいても M100-30Edから表記が、腸内細菌細菌科細菌(Enterobacteriaceae)→腸内細菌目細菌(Enterobacterales)に 変更されている。

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診療報酬:プレアルブミンの保険適応と制限撤廃について

プレアルブミンについては、栄養サポートチーム (NST)の浸透とともに、動的栄養指標、すなわちRapid Turnover Proteinの検査として、近年重視されている。

ちなみに、プレアルブミンは、トランスサイレチンとも呼ばれる。

このプレアルブミンは、診療報酬に掲載された当時、検査の有用性は認識されていたものの、診療報酬上の制限があり、保険で査定されるために全くその活用が進んでいなかった経緯があった(なお、DPC病院では問題なかった)。

じつは、当初、診療報酬算定要件に、「手術前後の中心静脈注射の適用の検査または効果判定の検討に際して実施した場合のみ算定」という表記があったのである。

具体的には、厚労省からの通知に、つぎのように記載されていた。

▶︎通知:診療報酬点数表(平成六年厚生省告示第五四号)及び老人診療報酬点数表(平成六年厚生省告示第七二号)の一部改正に伴う実施上の留意事項について

(平成一六年二月二七日)

(保医発第〇二二七〇〇一号)

(地方社会保険事務局長・都道府県民生主管部(局)国民健康保険主管課(部)長・都道府県老人医療主管部(局)老人医療主管課(部)長あて厚生労働省保険局医療課長・厚生労働省保険局歯科医療管理官通知)

D015 血漿蛋白免疫学的検査

(5) 「9」のプレアルブミンは、手術前後の中心静脈注射の適用の検査又は効能判定の検討に際して実施した場合のみ算定できる。

しかし、のちに、平成20年度の診療報酬改訂において、この表記は削除された。

すなわち、以降、診療報酬上の制限はなくなったのである。

これにより、近年は、プレアルブミンの測定が活発に行われる傾向にある。

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HA-MRSAとCA-MRSAの遺伝的な違い・感受性の違い

HA-MRSAとCA-MRSAの違いを勉強しました。

ただ箇条書きしただけなので、整理はできていませんが、ご参考まで。

薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン

2016 年に発表された「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」の中では、“2020 年には黄色ブドウ球菌のメチシリン耐性率を 20%以下に低下させるという目標が打ち出されている。

CA-MRSAとHA-MRSA

・MRSA は 疫学的に市中感染型(community‒acquired MRSA:CA‒MRSA),医療関連感染型(hospital‒acquired MRSA:HA‒MRSA),家畜関連型(livestock‒associated MRSA:LA‒MRSA)に分類されることがある。

・従来、入院患者から検出される MRSA は SCC-mec IIaのいわゆる院内感染型MRSA(HA-MRSA)が多数を占めていた。

・近年、SCCmec IVに代表される市中感染型 MRSA(CA-MRSA)の増加が指摘されている。

・CA-MRSAは、病原因子として表皮剥脱毒素(exfoliative toxin:ET)やパントン・バレンタイン型ロイコシジン(Panton-Valentine leukocidin:PVL)を産生する株の割合がHA-MRSAよりも高いと言われる。

・CA-MRSAの産生するPVLという白血球破壊毒素は、急激で重篤な致死性の壊死性肺炎や軟部組織感染を起こす主要な原因とされることから、CA-MRSAは世界的に警戒されている。

・なお、ETは、膿痂疹やブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(staphylococcal scalded skin syndrome:SSSS)の原因となる毒素である。

遺伝子

PBP2’の構造遺伝子はmecAである。

mecAは、SCCmec(staphylococcal cassette chromosome mec)と呼ばれる染色体カセット上に存在する。

SCCmecはアロタイプがあり、Ⅰ~XI型まで分類されている。

SCCmecがS.aureusの染色体に組み込まれ、βラクタム系薬に耐性を獲得したのがMRSAである。

HA-MRSAのSCCmec typeは、Ⅰ~Ⅲ(主にⅡ)であり、CA-MRSAのSCCmec typeは、ⅣとⅤ(主にⅣ)である。

代表的なクローン

HA-MRSAは、New York/Japan(ST5/SCCmecll),Pediatric(ST5/SCCmec IV),Berlin(ST45/SCCmec IV),Iberian(ST247/SCCmec I A),Brazillian(ST239/SCCmec皿),EMRSA-15(ST22/SCCmec IV),EMRSA-16(ST36/SCCmec IDが知られている。

CA-MRSAは、主に米国に分布するUSA400(STI/SCCmec IVa)やUSA300(ST8/SCCmec lVa),主に欧州に分布するST80/SCCmec IV,世界中に分布するST30/SCCmec IVc(またはIVa),台湾や米国に分布するST59/SCCmec V,より新しいST22/SCCmec IVaが知られている。

参考:小児科臨床 VoL68 No 12 2015

感受性の違い

CA-MRSAは、HA-MRSAと異なり、MPIPCやCFX、カルバペネムなどのβラクタム系薬に対しては軽度~中程度耐性を示し、マクロライド系薬,クリンダマイシン、ミノサイクリン、キノロン系薬、アミノグリコシド系薬には感性を示すことが多いと言われる。

これは、薬剤感受性パターンからCA-MRSAを推測することができる、ということになる。

参考:「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)」診断と治療 vol.104 no.6 2016(49)

MRSAの除菌

MRSAの保菌による医療関連感染症の発症を予防する一つの方法として、除菌療法がありうる。
MRSA の除菌療法には,鼻前庭部位へのムピロシン軟膏/ポビドンヨード液塗布療法,消毒用アルコール塗布療法,抗菌薬の内服療法などがある。

国内では、鼻前庭部位に塗布して除菌する治療薬として,現状使用可能な薬剤はム
ピロシン軟膏(商品名:バクトロバン軟膏)のみである。

参考;MRSA 保菌者対策(小児外科 52(1): 50-53, 2020)

治療

バンコマイシン,テイコプラニン,アルベカシン,ダプトマイシンなどの点滴の場合は、十分な有効性と安全性を確保するために,必ずtherapeutic drug monitoring(TDM)を実施し,用法・用量を調節することが重要である。

リネゾリドは、腎機能に応じた用法・用量の調節は不要とされているが,腎機能低下時に骨髄抑制が早期に,高率に発現することが報告されている。

なお、ダプトマイシンは、小児については国内未承認である。

そのほか

・CA-MRSAは、HA-MRSA に比し薬剤耐性は高度ではなが、治療に難渋する例が報告されている。CA-MRSAについて、臨床経過の解明が重要である。

・MRSAの保菌者に、MRSAに抗菌活性を有しない抗菌薬を
投与した場合、常在菌が抑制されMRSAの選択的な増殖が可能となり、MRSAによる感染リスクを高める要因となる。

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酸化型アルブミン,還元型アルブミンの知見

ヒトの体内では、アルブミンは、血液の膠質浸透圧の維持、血管系流動性の保持、種々の物質の輸送、抗酸化能など多様な機能を有する。

近年、病態と酸化ストレスとの関連性が明らかにされてくるに伴って、ヒトの体内のアルブミン分子の抗酸化作用が注目されるようになってきた。

アルブミンの基礎知識

  • ヒトの体内のアルブミン分子は、生体内で修飾を受ける。
  • アルブミンは、585個のアミノ酸から構成される。
  • このアルブミン分子内には35個のシステイン残基が含まれている。
  • そのうち、34個のシステイン残基は、それぞれジスルフィド結合(S-S結合)を介した分子内架橋を17箇所で形成し、アルブミン分子の高次構造の形成に役立っている。
  • 残りの一つのシステイン残基は、ジスルフィド結合に関与せず、反応性の高いチオール基(-SH基)をを有する。

酸化型アルブミンと還元型アルブミン

これまでに、血液透析(HD)患者や、心血管疾患、糖尿病など、多くの酸化ストレス関連疾患に関して、アルブミンの酸化度が上昇する(酸化型アルブミンが増える)ことや、透析療法や薬物療法などによって、酸化度が減少することが報告されており、注目されている。

酸化型アルブミン

チオール基が、フリーの状態にあるアルブミンは還元型アルブミン(mercaptalbumin(MA))と呼ばれる。

還元型アルブミン

このチオール基に、システインやグルタチオンなどの小分子が可逆的に結合したアルブミンは酸化型アルブミン1(non-mercaptalbumin1(NA1))と呼ばれる。

※例 システイン付加型(ALB-S-S-Cys)

さらにスルフィン酸やスルフォン酸が不可逆的に結合したものは酸化型アルブミン2
(non-mercaptalbumin2(NA2))と呼ばれる。

※例 スルホン化(ALB-SO3H)

健常成人では、還元型アルブミン(MA)が約75%、酸化型アルブミン1(NA1)が約23%、酸化型アルブミン2(NA2)が約2%を占めるという報告がある。

ちなみに、還元型アルブミンは、Human Mercapto Albumin(HMA)と呼ばれることもあり、酸化型アルブミンは、Human Non‐mercapto Albumin(HNA)と呼ばれることもある。

アルブミン製剤

アルブミン製剤には、還元型と酸化型のアルブミンが混在している。

ある報告によれば、還元型比率は20%未満の製剤から50%程度の製剤まで、さまざまな製品が存在している。

これは、酸・塩基平衡や、抗酸化作用、薬物代謝などに影響を与える可能性を否定できない。

参考

酸化型アルブミンが増加する病態には、つぎのようなものがある。

  • 加齢
  • 糸球体硬化症
  • 腎不全
  • 糖尿病
  • 外科手術
  • 肝疾患

測定法に関して

BCP従来法では、MAに対する反応性が、NAより低いという問題があった。

※また、そもそも血清保存中に、MAからNAへの変換が生じ、NAの割合が経日的に上昇するという問題もあった。

BCP改良法は、BCP従来法の問題点であったMAとNAの反応差の解消を目的に開発された。

 

アルブミンに関する記事

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腸肝在位ヘリコバクター属菌感染症(Helicobacter cinaedi)

Helicobacter属には、37菌種がいる。

ヒトから分離されるHelicobacter属菌は、胃在位のH.pyloriと腸肝在位のH.cinaedi を含む7菌種が知られている。

H.cinaedi

H.cinaedi (Helicobacter cinaedi) については、日本国内では2003年に最初の感染例が報告された。

基礎疾患があって免疫機能が低下した患者の腸管や肝臓,血液からの分離報告例が多くを占めている、とされる。

イヌ,ネコ,ハムスターなどの糞便から分離されたという報告があり、動物からヒトへ感染することも示唆されている。

臨床的には、蜂商織炎、直腸炎、発熱,下痢,腹痛,胃腸炎,丹毒,関節炎,髄膜炎,敗血症などの病態を呈する。

敗血症では、血液培養ボトルを、1週間ほど培養すると検出される。

平板培地での培養時には、血液寒天培地を用いる(水素添加の微好気条件が良いとされる)。

寒天培地上ではフィルム状に生育するため発育を視認しにくい問題があり、注意を要する。

治療では、広域ペニシリン,セフェム系抗菌薬が有効。

なお、日本国内で近年分離される株には、エリスロマイシンなどのマクロライド系抗菌薬や、シプロフロキサシンなどのニューキノロン系抗菌薬に耐性があることが報告されている。

H.cinaedi の感染症には、いまだ不明な部分が多く、今後のさらなる研究が必要であると言われている。